表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/154

第23話プレゼントは、良いと悪いが背中合わせ

フィーネと予想外の混浴をしてから、約1ヶ月が経過した。


今日は1日授業がない休みの日だ。


なので、朝から遊びに来てたロミアと一緒に庭で色々遊んでいる。


最近は能力の扱いにも慣れて、戦術の幅が広がった。


遠距離は魔法、中距離や近距離は剣術、近距離は武術で、能力はオールマイティーに戦える。


剣術が使えるなら、武術は使わなくて良いんじゃないかって思うかもしれないが、剣術は武器がなきゃ使えないからいつでも使える武術は俺の中でかなり需要がある。


どれも、手を抜けないということでどの授業や修行も力を入れている。


毎朝の自主トレは、ランニングや素振りに加えてダッシュと武術の型や技の練習、後は魔法の的当ても追加した。


魔法の的当ては、土の魔法でジークと同じくらいの高さの岩の柱を作って、離れた場所から走りながら魔法でそれに当てるというものだ。


結構楽しいけど、ランニングの時にやってたのとは難易度はケタ違いだ。


走りながらの魔力を注入するだけでも難しいのに、それを的に当てるのはあのロミアですら未だにうまくできないくらいだ。


魔法に関しては、俺よりも使える種類が多くて魔力の量も俺より多いロミアだけど、的当てのやり方を教えて最初にやった時はその難しさにいじけるくらいだった。


まぁ、この修行は俺の体力を想定して考えたものだからロミアじゃ体力面で辛いよな。


それでもできるようになりたいって言って、次の日から体力作りし始めたあいつの努力の姿勢には本当に脱帽ものだ。


・・・修行の量は2倍になったのに、今じゃ所要時間が2倍になる前の時間と一緒だからなぁ。


俺も今度、修行の量増やそうかな。


そういえば、最初ロミアは俺にベッタリだったけどこの頃はそうでもないな。


いや、今でも俺を発見したら飛び付いて腕絡めて嬉しそうにしてるんだけど。


根本的に、一緒にいる時間が減ったからかな?


前は、授業終わってからも家に居ることが多かったけど、この頃は授業が終わって少ししたら帰ってるし。


ベ、別に寂しくなったわけじゃないからね!


・・・多分。


「ねぇ、ガル」


俺が口に出さないツンデレのような発言をしていると、ロミアが後ろから俺の服の袖をチョンチョンと引っ張ってきた。


振り向くと、ロミアが俺の顔を見ていた。


「ん?どうした?」


「あのね、ガルはフィーネさんへのプレゼント決めた?」


「ん?プレゼント?」


「うん、昨日ママとガルのママに言われたの。

まだ少し先だけど、フィーネさんの誕生日にみんなでプレゼント渡そうって考えてるからロミアとガルも話し合って決めておいてって。

近い日に、買いに行くから」


なるほど、それでプレゼントか。


でも、俺が生まれてから今まで誕生日を祝うなんてやってなかったけど急にどうしたんだろう?


・・・まぁ、それは後で誰かに聞いてみるとして。

「プレゼントか。

というか、フィーネの誕生日の事を聞いたのが今が初めてだからまだ何も考えてないな」


俺が言うと、ロミアが少し俯いて残念そうにいた。


「そっか・・・」


「ロミアは、何か良いの思いついたのか?」


「ううん、ガルと一緒に考えようと思ってたから私もまだ考えてないの」


「そうだったのか。

うーん、何がいいんだろうなぁ」


前の世界でも、誰かにプレゼントあげるなんてほとんどなかったしなぁ。


それが異性となれば、ほぼ皆無だ。


フィーネも15歳だし、難しい年頃だから慎重に考えなきゃいけないだろうし。


「うーん、誰かフィーネさんと年の近い人で相談できる人がいればなぁ」


「でも、クレアさんとかに相談したらフィーネさんに聞かれちゃうかも・・・」


俺が言うと、ロミアが不安そうに言った。


確かに、家の中や近くじゃどこで聞かれるか分からないしな。


それにみんな被らないほうが良いだろうし、そうすると何か案が出てきても、みんなでそっちがどうぞどうぞ状態になっちゃうだろうからなぁ。


女性で、フィーネと年が近くて気を使わないで良い相手か。


・・・そういえば、一人いたな。


「ロミア、昼食食べたら一緒に行って欲しい所があるんだけど付き合ってもらえるか?」


「ん?うん、いいけどどこ行くの?」


「実年齢は分からないけど、見た目だけならフィーネと年が近くて、気を使わなくて良い女性の所」


俺はロミアの頭を撫でながら、このあと相談に行く相手の特徴を言った。


久しぶりに会いに行くから、何かお供えものでも持っていってやるか。








「ねぇガル、どこに行くの?」


昼食を食べ終わった後、俺とロミアは森の中を歩いていた。


ちなみに、俺の左手はフィーネに頼んで作ってもらったサンドイッチの入ったバスケットを持っている。


「もう少ししたら見えてくるから、まぁ騙されたと思って着いてきて」


俺の後ろを歩いているロミアに、俺は首だけで後ろを見て笑いながら言った。


そして、前を向くとY字の二手に別れた道が見えてきた。


俺は、無言でそこを左に行った。


そして少し歩くと、木に囲まれた中に堂々とある一軒屋が見えてきた。


前に来たときから3ヶ月ぶりだ。


「・・・すごい」


俺の後ろにいるロミアが呟いた。


「ロミアはここに来るの初めてか?」


後ろを振り向いて俺が聞くと、ロミアが少しオドオドながら頷いた。


「う、うん」


「緊張しなくて良いよ、俺も一緒に行くから」


そう言って、俺はロミアの手を握った。


「うん!」


ロミアが嬉しそうに頷いた。


そして、俺はそのまま扉の前まで歩いていき扉を開けた。


「おーい、紅。

遊びに来たぞー」


俺は、ロミアの手を握ったまま中に入っていった。


「ロミア、ドア閉めてもらっていいか?」


「う、うん」


俺が振り返らずに言うと、ロミアが慌てたようにドアを閉めた。


ガチャン、という音が聞こえ後ろから射していた光が消えた。


ただ、ここは相変わらず左右の窓からの光で充分な明るさだ。


「お久しぶりですね、ガルファット様」


そして、最初と同じく奥の暗闇から紅が笑いながらこっちに歩いてきた。


すると、俺の服の背中の部分が引っ張られる感覚がした。


どうやら、ロミアが俺の後ろで怖がっているらしい。


そりゃ、初対面の奴があんなの見たら怖いよな。


「紅、俺はともかくロミアが怖がっているからその登場やめてあげてくれ」


俺が言うと、紅が少し残念そうな顔をした。


「少しは、威厳があるように見せようとしたんですが」


「威厳より、恐怖と胡散臭さのほうが見えたぞ」


俺が言うと、ロミアが後ろから恐る恐る聞いてきた。


「ガル、あの人は?」


そんなロミアを俺は、手を引っ張って横に来させた。


「大丈夫、悪い人じゃないよ。

あれでも、一応神様だし」


俺が言うと、紅が少し拗ねながら言った。


「一応じゃなくて、立派な神様だもん」


「立派な神様は、子どもを怖がらせたりしないよ」


俺と紅が普通に会話しているの見たからか、ロミアが紅に質問した。


「本当に、神様なんですか?」


そんなロミアの質問に、紅は優しく答えた。


「はい、神様です。

それに、そんなかしこまらなくていいよ」


俺の時もそうだったけど、紅って相手が子どもでも敬語とか嫌なのかな?


「じゃあ、紅。

そろそろ本題に入ってもいいか?」


「はい、大丈夫ですよ」


紅の返事を聞いて、俺はロミアと一緒に紅の前まで歩いた。


そして、紅にバスケットを突きだした。


「ん?これは?」


「おみやげ。

この前から時間経っちまったからそのお詫び」


俺が言うと、紅は嬉しそうにバスケットを受け取った。


「ガルファット様からのおみやげ、中身は何でしょうね~」


紅は嬉しそうにバスケットの蓋を開けた。


「これは・・・」


中身を見た紅は、驚いて固まった。


フィーネの作るサンドイッチって、味も良いけど見た目も綺麗だからな。


紅を見ると、いつのまにかどこか懐かしい物を見る目でサンドイッチを見ていた。


「ん?どうしたんだ?」


俺が聞くと、紅はそのまま静かに答えた。


「少し、昔を思い出しました」


「昔を、か?」


「はい。

ところで、このサンドイッチ私が食べても良いんですよね?」


紅が嬉しそうに聞いてきた。


「別に、そのまま俺たちが食べちゃってもいいぞ?」


「いただきまーす」


俺の冗談を気にせず、紅がバスケットからサンドイッチを取り出して一口食べた。


「・・・おいしい」


紅の顔は、子どもが自分の好物を食べているような顔だった。


とても、幸せそうだ。


「俺たちは時間あるから、味わって食って良いぞ」


そう言って、俺はバスケットを紅に預けたままロミアと一緒に少し離れた。


俺たちが離れると、紅はその場にちょこんと座って美味しそうに食べている。


「あれだけ見てると、神様だって思えないだろ?」


「うん」


俺が聞くと、ロミアが笑顔で答えた。


どうやら、初対面でついた紅の怖いイメージは消せたみたいだ。


そのまま俺とロミアは、サンドイッチを食べる紅をしばらくの間見ていた。







「ふぅ、美味しかったです」


紅が満足したように笑みを浮かべていた。


「フィーネさんに伝えておくよ」


「それで、まさか私にサンドイッチを食べさせるだけに来た訳じゃないですよね?」


紅の質問に、俺は頷いた。


「そのサンドイッチを作ってくれた人。

フィーネさんの誕生日が少し先にあるらしいんだよ」


「そうなんですか?

それはおめでたいですね」


紅は、笑顔のまま言った。


「それで、俺とロミアでフィーネさんの誕生日プレゼントを考えてるんだけど良いのが思い浮かばなくてな。

誰かに相談しようってなって、白羽の矢が立ったのがお前なんだよ」


「なるほど。

それにしても、プレゼントですか。

うーん、相手の好きな物をあげるのが一番良いんですけどねぇ」


紅が悩みながら言った。


「相手の好きなものか。

フィーネさんの好きな物って、何だろうなぁ」


「後は、普段使っているような物でも良いかもしれませんよ?」


紅が言うと、ロミアが思い出しかのように言った。


「そういえば、前にフィーネさんがエプロンがちっちゃくなってきたって言ってたよ?」


「おぉ、そうだったのか。

じゃあ、一個はエプロンで良いな。

選ぶセンスは、ロミアに任せるよ」


俺が言うと、ロミアが嬉しそうに頷いた。


「そういえば、2人で1個のものを渡すのですか?

それとも、1人1個ずつにするんですか?」


紅に聞かれて、少し悩んだ。


「うーん、できれば1人1個ずつにしたいけど予算の都合とかあるだろうしな。

まぁ、どちらにしろ候補はあって困ることないからあと2個くらいは決めておきたいな」


「あと2個ですね、うーん」


紅が腕を組んで悩んでいる。


俺の隣にいるロミアも、同じように悩んでいた。


「・・・あ、1つあった」


俺が思い付いて言うと、2人が俺を見た。


「結構前の話だけど、フィーネのハンカチをダメにしちゃった事があるんだ。

だから、そのお詫びもこめてハンカチをプレゼントしたいな」


「良いんじゃないですか?

ハンカチなら、色々な所で使えるだろうし」


紅が笑いながら言った。


ロミアを見ると、ロミアも笑いながら俺を見ていた。


どうやら、ハンカチは満場一致で採用らしい。


「すると、あと1個ですね」


紅に言われ、俺たち3人はまた悩んだ。


うーん、フィーネの好きな物って何だったかなぁ。


・・・あ、そうだ。


「そういえば、フィーネさん読書が好きだな」


「本買ってプレゼントする?」


俺が思い出したように言うと、ロミアが質問してきた。


俺は、その質問に首を横に振って答えた。


「いや、フィーネさん色々な本読んだことあるって言ってたから、そこら辺の本じゃ買っても被る可能性が高いな」


「では、世界に1つしかない本を用意すればいいじゃないですか」


俺の言葉に、紅が言ってきた。


「世界に1つしかない本って・・・」


そんなの普通の人が読む本じゃないんじゃないか?


あとできるとすれば、新しく作るしかないけど・・・


「お前、まさか・・・」


俺の顔を見て、紅は笑いながら言った。


「ガルファット様なら、出来ますよね?」


俺は紅の言葉に、あわてて返した。


「いや、俺まだ4歳だぞ?

ああいうのって、色々な経験な知識が必要になるし」


「こっちで色々な本を読んだじゃないですか。

あれだけ読んでいれば、大丈夫ですよ」


・・・簡単に言ってくれるな。


でも、やってみたい気持ちも少しあるな。


「・・・失敗したら恨むからな」


「今度会ったときは、できれば成功した報告を聞きたいですね」


俺の言葉に、紅は笑顔でさらっと返した。


結局そのあと話し合っても良いものは思い浮かばず、時間が時間だったので俺とロミアは家に帰った。


そしてその夜、俺はフィーネが風呂に入ったのを確認してシルビアの元に向かった。








「母さん、今大丈夫ですか?」


ガルがドアをノックして、私に聞いてきた。


「大丈夫よ、入ってらっしゃい」


私が言うと、ガルがドアを開けて部屋に入ってきた。


「どうしたの?」


「フィーネさんへのプレゼントについて、相談したいことがあって来ました」


ガルの言葉を聞いて、私は声を少し落としてガルに訪ねた。


「ちなみに、今フィーネは?」


「今、お風呂に入っています」


「そう、なら大丈夫ね」


私は、改めてガルに訪ねた。


「それで、相談したいことって?」


「はい、プレゼントなんですけど、まずロミアはハンカチかエプロンを渡そうと考えています」


ガルの言葉に、私は苦笑いしながら答えた。


「うーん、ハンカチはカリアが考えていたから、できればエプロンのほうがありがたいかしらね」


私が言うと、ガルは素直に頷いた。


「分かりました。

明日、ロミアに言っておきますね」


「それで、ガルは何を渡すの?」


私が聞くと、ガルが真剣な顔をして返した。


「実は、相談というのはそれについてです」


「どいうことかしら?」


「実際の所、フィーネさんに渡すものはもう決まっています。

ただ、それを用意するのに必要なものがあるんです。

それを、買いたいというのが相談の内容です」


用意するのに必要なもの、ねぇ。


少し気になるわね。


「何が必要か教えてくれるかしら」


私が聞くと、ガルは必要なものを教えてくれた。


そして、何でそれが必要なのかも。


「確かに面白い発想だと思うけど、フィーネも色々な本を読んできたわ。

そんなフィーネを満足させられる物を用意できるのかしら?」


私が聞くと、ガルが真剣な顔のまま答えた。


「確かに期限は短いですけど、フィーネさんの好みはこれでもある程度知っているつもりですから。

それに、やれるだけやってみたいですから」


この子の目は、とても頼もしい目をしていた。


親ってこういう時どうしたらいいのかしらね?


「分かったわ、頑張ってみなさい」


私は、笑顔でガルに言った。


他の親がこういう時何て言うかは分からないけど、私はこの子の書いた本を読んでみたいと思った。


私も大概親バカね。


「ありがとうございます!」


ガルは、私に一礼した。


「今夜、予算とかは考えておくから明日に備えてもう寝なさいね」


「はい!」


元気よく返事をしたガルは、お辞儀をして部屋を後にした。


私は、窓から空を見た。


ガルが渡したプレゼントを見て、フィーネが驚く顔が容易に思い浮かぶ。


・・・フィーネから酷評だらけで、ガルの心が折れなきゃいいけど。


息子の無事を祈って、私は空に向かって少し笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ