表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

64/169

第48話 ワンポイント・ヒーローモード

《何、言ってんの!? いや、秀矢のことを信じてないわけじゃないけど。でも、ゲージはほぼ空だし、根本的に人手が足りないのよ!》


 暗闇からモンスターの群れが姿を現す。


 4階に生息するモンスター達に混じって、ガーゴイルの姿が散見される。


 モンスター達は、サムライ達の姿を見て警戒してるのか、敵意は向けてくるが何かを仕掛けてくる様子がない。


《なかなか動かないわね。――ったく、こいつら何しに来たのよ》


「亜由美、犯人は現場に戻るって奴だ。こいつらの中では、さっきの魔法で俺達を倒したつもりだったんだろ」


《はは~ん。それで、私たちの死体を拝みに、のこのことやってきたのね》


「――で、実際に来てみたら、俺達が生きてたもんで、驚いて足が止まったんだろうな」


 モンスターの動く気配がない。このまま時間が過ぎるのを待って、三人で戦うという手も悪くない。


 そう考えてた時、荒川が一歩前に出た。


「いいか? 俺は、前しか見ねえぞ」


 荒川は、こちらを見ずに言うと、勢いよく敵陣に飛び込んだ。


 後を追うように、秀矢も飛び出す。


 基本戦術は、荒川がヘイトをコントロールし、秀矢が各個撃破する。


 懸念点は日下部の戦線離脱、それに伴い長光の参戦が遅延したことによる数的不利の深刻化。


 その中で唯一の救いは、この戦闘が終われば、ベースキャンプに退避できること。


 被害状況を考慮すると、帰還の可能性も十分にあり得る。


 つまり、この戦闘は後先を考えず、全力を出し切っても良いのだ。


 秀矢は、耐久力が比較的に低いメイジ、プリースト、ワーラット辺りを優先で倒した。


 次いで、ジャイアントスパイダー、オーガと的が大きく、動きが緩慢で戦いやすいモンスターを狙った。


 近接戦闘が強いナイトと耐久力が高いガーゴイルは先送りにする。


《秀矢の狙いは、わかったけど……やっぱり、あれくらいじゃゲージは稼げないわ》


 亜由美のいう通り、秀矢はゲージの回収に注力した。


 耐久力の低いモンスターは一刀で斬り伏せることでリスクを減らしつつ、ジャイアントスパイダーとオーガには、できるだけ多くの斬撃を浴びせた。


 秀矢の刃機は、近接戦闘によって生み出された衝撃や反動等の力をエネルギーに変換してる。


 だから効率よくゲージを稼ぐために、1回でも多くモンスターに攻撃することは合理的と言える。


 ゲージを確認する。微量しかない。ウルトの稼働時間に換算すれば約1秒。


 とてもじゃないが命を賭けるには、心許ない。


 ゲージ回収の最中、秀矢は狙いをガーゴイルに切り替えた。


 大きく飛び退いてオーガと距離を置いてから、ガーゴイルに切りかかる。


 戦意を察知したのか、ガーゴイルが振り向く。


 間合いに入る。


降魔斬デモンバスター!!」


 魔を断ち切る強力無比の剣技でもって、ガーゴイルを両断した。


《え!? 何で、降魔斬そのスキルを使えるの!?》


 亜由美が驚きの声をあげた。


 秀矢のスキルポイント配分を把握してるからこそ、衝撃を受けたのだろう。


「ゲージを見てみな」


《ん? あれ? 空になってる。――っ、まさか!? 勝ち筋って、攻撃の時だけ英雄叙事詩(ウルト)を使ったの!?》


「ああ。こいつらは死神と違って、倒すだけなら1秒であれば十分だからな」


 秀矢は、英雄叙事詩(ウルト)を攻撃時のみ発動させることで、火力不足を補った。


 同時に、先ほど挙がった問題点もクリアした。


 死神のような難敵と戦う場合、火力とフィジカル、どちらも必要なので稼働時間が攻略の要となる。


 しかし、雑魚戦なら話は変わる。


 火力かフィジカル、どちらか片方で凌げるなら、力が必要なタイミングを見計らい、必要な時間だけ発動させれば良いのだ。


 さらに稼働時間が短くなることで、ヘイトを分散させることなく、遠くにいるモンスターに察知される危険性も減る。


 つまり、適切なタイミングでウルトを使うことによって、基本戦術に影響を与えず、リスクを減らした状態で格上のモンスターを素早く倒すことを可能にした。


《おお~、頼もしさすら感じる不敵な笑顔。いいね~》


 頬が吊り上がってるのを自覚した。


 自分でも驚くほど、思惑通りに事が進んだので、笑みが零れたのだろう。


 もはや、今の秀矢にとって目の前のモンスターの群れは、烏合の衆も同然。


 ゲージの回収とウルトの発動を適宜切り替える戦法を用いて、無事、難局を乗り切った。


 長光が秀矢たちと合流する頃に、ようやく任務達成の通知が来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ