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第四章 明かされる真実

本作は『聖魔剣戦記』の外伝です。


本編では語られなかった人物たちの過去や、物語の裏側で起きていた出来事を描いていきます。


彼らが何を経験し、何を思い、どのような道を歩んできたのか。


本編とはまた違った視点から、『聖魔剣戦記』の世界を楽しんでいただければ幸いです。


それでは、外伝の物語をお楽しみください。

  カシアン外伝 闇に葬られた任務


 戦闘が続く中、カシアンは村の路地で白衣姿の男を見つけた。

 男は何かから逃げるように走っていたが、足をもつれさせ、地面に転倒した。

 カシアンは素早く駆け寄り、その腕をつかんだ。


「待て!」


「ひっ……!」


 男は怯えた表情でカシアンを見上げた。

 白衣には土と血が付着している。

 胸元には、聖剣教団の研究員であることを示す徽章があった。


「こんな所で教団の研究員が何をしているんだ?」


「そ、それは……」


「答えろ! あの子供たちは何者だ!」


 男は周囲を見回した。

 子供たちの叫び声が響くたびに、身体を震わせている。

 そして、耐えきれなくなったように口を開いた。


「あの子供たちは実験の……」


「実験?」


 カシアンの表情が変わった。


「今、実験と言ったな」


「……っ」


「被験体、ということか?」


 男は口を閉ざした。

 しかし、カシアンの目から逃れられないと悟ったのか、やがて必死に訴え始めた。


「全部話す! だから離してくれ! 頼む、俺を助けてくれ!」


「助けてくれだと?」


「俺たちは教会の地下で、人工聖剣の研究をしていたんだ!」


 カシアンは息をのんだ。

 教会の地下。

 あの小さな村の教会で、そんな研究が行われていたというのか。


「子供たちの魔力を使って剣を生み出した。剣そのものは完成したんだ。だが、使い手の精神が侵食されて……ああなった!」


 男は震える声で続けた。


「俺たちにも制御できなかった! 枢機卿は研究を失敗と判断して、関係者を全員始末しようとしている!」


「枢機卿が……?」


「頼む! 俺を守ってくれ! 研究資料は別の研究員たちが持ち出した。俺たちが死ねば、すべてが闇に葬られる!」


 カシアンは男を見つめた。

 村を襲っているのは、魔剣使いではなかった。

 教団が秘密裏に行っていた実験の犠牲者たちだったのだ。

 そして、その事実を隠すために、教団は村ごと証拠を消そうとしている。


「……分かった」


 カシアンは低い声で言った。


「お前の話は後で聞く。まずは、これ以上の犠牲を止める」


 男の顔に安堵が浮かんだ。


「ほ、本当か……?」


「まだ助けると約束したわけじゃない。だが、真相を明らかにするためにも、お前には生きていてもらう必要がある」


 カシアンは男を立たせようとした。

 その瞬間だった。


 ――閃光。


 何かが、カシアンの視界を横切った。

 次の瞬間、白衣の男の首が切断され、血が地面に散った。


「なっ……!」


 男の身体が崩れ落ちる。

 カシアンは即座に剣を構え、周囲を見渡した。


 屋根の上、路地の奥、建物の影。

 黒いローブをまとった人影が、音もなく現れていた。

 その剣には、聖なる力が宿っている。


「お前たち……何者だ!」


 カシアンの問いに、ローブの一人が答えた。


「残念だが、事実を知ったお前達も死んでもらう」


 その言葉を聞いた瞬間、カシアンはすべてを理解した。


 こいつらは、研究員を始末するために送り込まれたのだ。

 そして、真実を知った自分たちも、同じように消すつもりなのだろう。


「教団の命令か……!」


「お前たちは、村に来るのが早すぎた、事が起こった後に村に来るべきだったのだ」


 黒衣の男が剣を構える。


「だが、もう遅い」


 カシアンは剣を握り直した。


「ふざけるな……!」


 彼の目に怒りが宿る。


「村人を救おうとしただけの俺たちが、なぜ殺されなければならない!」


「答える必要はない」


 黒衣の男が踏み込んだ。

 剣戟が響き渡る。


 カシアンはその一撃を受け止め、反撃に転じた。


 だが、相手の剣技は異様だった。

 一人が正面から攻める間に、別の一人が死角へ回り込む。さらに別の一人が逃げ道を塞ぎ、連携して追い詰めてくる。

 正規の戦闘とは違う。

 殺すためだけに磨き上げられた技だった。


「隊長!」


 部下たちが駆け寄る。


「全員、警戒しろ! こいつらは教団の秘密部隊だ!暗殺術をつかうぞ」


 しかし、その声が響いた直後、別の場所から悲鳴が上がった。


 部下の一人が、背後から襲いかかった黒衣の男に斬られたのだ。


「ぐあっ!」


「くそっ! 仲間を守れ!」


 部下たちは応戦する。

 彼らもまた、教団の任務を忠実にこなしてきた精鋭だった。


 だが、相手は違った。

 闇の中から現れ、隙を突き、確実に命を奪っていく。

 カシアンは歯を食いしばった。


「全員、村人の救助を優先しろ! 俺がこいつらを引きつける!」


「隊長を置いていけません!」


「命令だ! 生き残った者は村の外へ退け!」


 カシアンは敵の攻撃を受け止めながら、部下たちへ叫んだ。


 しかし、彼らが退くよりも早く、黒衣の男たちが襲いかかる。


 一人。


 また一人。


 仲間たちが倒れていく。

 聞き慣れた声が、悲鳴に変わる。

 カシアンは必死に剣を振るった。

 だが、目の前の敵を相手にしながら、離れた場所にいる部下たちを守ることなどできなかった。


「やめろおおおっ!」


 叫び声が、血に染まった村に響く。

 それでも、惨劇は止まらなかった。


第四章 完

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


今回の外伝では、『聖魔剣戦記』本編では語られなかった物語をお届けしました。


本編では描ききれない人物たちの過去や、それぞれが歩んできた道。その裏側にある出来事を知ることで、物語の世界をより深く楽しんでいただけたら嬉しいです。


これからも、本編では描かれない物語や人物たちの知られざる一面を、外伝を通してお届けしていきたいと思います。


少しでも楽しんでいただけたなら、ぜひ感想や応援をいただけると励みになります。


これからも『聖魔剣戦記』をよろしくお願いします!


三國ユウ

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