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第三章 村の惨劇

本作は『聖魔剣戦記』の外伝です。


本編では語られなかった人物たちの過去や、物語の裏側で起きていた出来事を描いていきます。


彼らが何を経験し、何を思い、どのような道を歩んできたのか。


本編とはまた違った視点から、『聖魔剣戦記』の世界を楽しんでいただければ幸いです。


それでは、外伝の物語をお楽しみください。

 カシアン外伝 闇に葬られた任務


「隊長、前方に村が見えます!」


 部下の報告を受け、カシアン・ヴェイルは馬上から前方を見据えた。


「報告では、魔剣使いの一団が村を襲撃しているとのことだったな」


「はい。教団に敵対する魔剣使いが住民を襲っているとの情報です」


「……急ぐぞ」


 カシアンは眉をひそめた。

 遠くから聞こえてくるのは、剣戟の音だけではない。

 人々の悲鳴。

 助けを求める叫び。

 そして、何かが破壊される音だった。


「住民の救助を最優先とする!」


「はっ!」


 部隊は速度を上げ、村へと突入した。

 そこでカシアンが目にしたのは、想像していたものとはまったく異なる光景だった。


 村の通りには、倒れた人々が横たわっていた。


 家々の壁には剣で切り裂かれた跡が残り、逃げ惑う住民たちを、十人の子供が追い詰めている。


 子供たちの手には、聖剣のような輝きを放つ剣が握られていた。


「……子供?」


 カシアンは一瞬、言葉を失った。

 魔剣使いの反乱と聞いていた。

 しかし、目の前にいるのは、どう見ても子供たちだった。


「隊長! あの剣……聖剣なのでしょうか?」


「いや、違う。あんな剣は見たことがない」


 剣から放たれる力は異常だった。


 子供の身体に見合わぬ威力で地面が砕け、家の壁が吹き飛んでいる。


 だが、剣を振るう子供たちの表情には、明らかな異変があった。


 目は虚ろで、顔には苦痛が浮かんでいる。


 それでも、彼らは剣を振るうことをやめられなかった。


「全員、住民の救助に回れ! 子供たちは可能な限り生け捕りにする!」


「しかし、あの力は危険です!」


「分かっている! だが、子供たちも何かに巻き込まれている可能性がある。殺すことを前提にするな!」


 カシアンは剣を抜き、最前線へ駆け出した。

 一人の子供が、逃げ遅れた村人へ剣を振り下ろそうとしていた。


 カシアンは間一髪で間に入り、その一撃を受け止める。


 衝撃が腕を駆け抜けた。


「ぐっ……!」


 予想以上の威力だった。

 子供の身体からは想像できない力。

 それでもカシアンは剣を押し返し、村人を背後へ逃がした。


「早く逃げろ!」


「あ、ありがとうございます……!」


 村人が走り去るが別の子供に切り殺された。


 カシアンは目の前の子供を見つめた。


「聞こえるか? もう剣を振るわなくていい。俺たちが助ける!」


 しかし、子供は答えなかった。

 口元からかすかなうめき声が漏れる。


「……たすけ…て…ころ…す」


 その声は、子供自身の意思なのかさえ分からなかった。

 剣が再び輝く。

 カシアンは表情を険しくした。


「何が起きている……?」


 そのとき、村の教会が目に入った。

 石造りの小さな建物。


 その周辺にも、倒れた村人たちの姿があった。


 なぜ、こんな村でこれほどの惨劇が起きているのか。


 なぜ、子供たちが聖剣のような剣を持っているのか。


 カシアンには、何一つ分からなかった。

 だが、考えている時間はなかった。


「隊長! こちらにも負傷者が!」


「すぐに救護しろ! 動ける者は避難誘導を続けろ!」


 カシアンは再び剣を構えた。

 目の前で起きている惨劇を止める。

 それが、今の彼にできる唯一のことだった。


      第三章 完

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


今回の外伝では、『聖魔剣戦記』本編では語られなかった物語をお届けしました。


本編では描ききれない人物たちの過去や、それぞれが歩んできた道。その裏側にある出来事を知ることで、物語の世界をより深く楽しんでいただけたら嬉しいです。


これからも、本編では描かれない物語や人物たちの知られざる一面を、外伝を通してお届けしていきたいと思います。


少しでも楽しんでいただけたなら、ぜひ感想や応援をいただけると励みになります。


これからも『聖魔剣戦記』をよろしくお願いします!


三國ユウ

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