第二章 失敗した実験
本作は『聖魔剣戦記』の外伝です。
本編では語られなかった人物たちの過去や、物語の裏側で起きていた出来事を描いていきます。
彼らが何を経験し、何を思い、どのような道を歩んできたのか。
本編とはまた違った視点から、『聖魔剣戦記』の世界を楽しんでいただければ幸いです。
それでは、外伝の物語をお楽しみください。
カシアン外伝 闇に葬られた任務
村の教会の地下秘密研究施設
そこでは、教団の一部の者たちによって、極秘の研究が進められていた。
人工聖剣の開発。
その目的は、子供たちの魔力を糧として、人工的に聖剣を生み出すことだった。
実験に選ばれた子供は十人。
彼らは一人ずつ実験にかけられ、人工聖剣を宿すことになった。
そして、剣そのものは完成した。
しかし、研究者たちが予想していなかった問題が起こる。
人工聖剣を宿した子供たちの精神が、次第に蝕まれていったのだ。
感情の制御を失い、周囲の人間に襲いかかる子供たち。中には、手にした剣で人を殺める者まで現れた。
人工聖剣の力は確かに強大だった。
だが、その力を扱うはずの子供たちは、もはや研究者たちの手に負えなくなっていた。
「研究長! 大変です!」
研究室の扉が勢いよく開かれた。
駆け込んできた研究員は、息を切らしながら報告した。
「枢機卿は、我々が実験を失敗したと判断したようです。王都に研究報告にいった研究員が、村に秘密裏に部隊が派遣されるところを目撃したとのことです!」
研究長の顔色が変わった。
「……何だと?」
「おそらく、我々を始末するつもりです!」
研究長はしばらく黙り込んだ。
やがて、机を強く叩いた。
「ふざけるな……!枢機卿の命令で研究していたんだぞ、量産化人工聖剣部隊を作って欲しいと」
彼は怒りに顔を歪めた。
「研究資料を持ち出せ! 失敗したとはいえ、人工聖剣自体は完成しているのだ! 実験を続ければ、いつか制御できたものを……枢機卿め!」
研究員たちは慌ただしく資料をまとめ始めた。
誰一人として、子供たちを救おうとはしなかった。
彼らにとって子供たちは、研究成果を生み出すための実験材料にすぎなかったのだ。
逃げる時間を稼ぐため、研究長は最後の指示を出した。
「子供たちを解放しろ」
「しかし、あの子たちは危険です、制御出来ませんが」
「だからこそだ。村にだせ、追っ手も混乱する。その隙に我々は逃げる」
研究員たちは一瞬ためらったものの、すぐに命令に従った。
十人の子供たちが、それぞれ人工聖剣を手に施設の地下から解き放たれた。
彼らに何が待ち受けているのか。
誰も気に留めなかった。
子供たちは地上の村へと向かい、そこで暮らす人々に襲いかかった。
悲鳴が上がり、平穏だった村は瞬く間に惨劇の舞台へと変わっていった。
第二章 完
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今回の外伝では、『聖魔剣戦記』本編では語られなかった物語をお届けしました。
本編では描ききれない人物たちの過去や、それぞれが歩んできた道。その裏側にある出来事を知ることで、物語の世界をより深く楽しんでいただけたら嬉しいです。
これからも、本編では描かれない物語や人物たちの知られざる一面を、外伝を通してお届けしていきたいと思います。
少しでも楽しんでいただけたなら、ぜひ感想や応援をいただけると励みになります。
これからも『聖魔剣戦記』をよろしくお願いします!
三國ユウ




