馬車で旅立ち
「え! 良いんですか!」
「ああ、もう仲間でいいよ」
「憧れの人達と」
「まあまあ、俺達は平等だ」
「じゃあ決まりだな。スベルさんを連れて旅に出よう」
「もう料理は作れない事になる?」
「うーん」
「何かないかいいアイデアはあっ!」
俺はひらめいた。
「勇者パーティと食堂を合体させるんです」
「え!」
「馬車で移動して食べ物を詰め込んで行く先々の町で料理を売ったりあげたりするんですよ。屋台か炊き出しみたいに」
「す、すごい!」
「そ、それは思いつかなかった」
「スベルさんはどう思いますか」
「面白い! やりましょう!」
で話し合いになった。
まず肉や野菜などの材料を馬車に乗せて移動。
鍋やテーブルなども持っていく。
街の真ん中で炊き出しとかをやって安価またはただで配る。
「スベルさんが世の中にやろうとしていたことが広まりますよ」
「すごい」
「それに凄く美味しいですし」
「我々の収入をどう確保するかだが」
「それはそうですね。慈善事業じゃないし最低ライン以上のもうけは」
「やはり安い材料と料理がいいだろう。大量生産できる奴で例えばスープとか」
「モンスターを狩ったりして集めた金もそこにつぎ込む」
「やはり最低ラインの貧民層でも買える値段がいいだろう」
着々と形になっていった。
「ただ各所で食べ物は魔王軍に略奪されてるんだ」
そして会議が終わり腕試しの時間になった。
カミュさんと俺は向かい合った。
「はじめ」
カミュさんのオーラに気おされながらそれに負けじと俺は突進した。
カミュさんは余裕の表情だ。
「はっ!」
俺は力の限り連撃で拳を繰り出した。
だが、カミュさんは表情を変えずに受け止めて見せる。
気が短くせっかちな俺はいらだって来た。
まずカミュさんの余裕をなくす、そして姿勢を崩す。
「はああ!」
しかし一向に当たらない。
カミュさんの余裕も全然消えない。
「もう少し無駄な動きを減らせ」
「は、はい」
たまにちょっときつい言い方するんだな。
「予想よりずっといいよ」
「攻撃当たってないんですが」
余裕があるから言ってるみたい。
「君の最高の技を見せてみろ」
「よし」
「レインボーメーカー!」
「はあ!」
カミュさんは剣を避雷針の様に構えた。
そして光線を受け止めた。
「ぐっぐぐ」
「はああ! 戦王開斬!」
「はじき返した」
「いや、弾くのがやっとで引き分けさ」
その日は酒場で一服する事に。
カミュさんは言う。
「さてと一杯やるか」
マキシマーさんがとがめた。
「駄目だ俺達は未成年だ!」
「はいはい」
と歩いているとカミュさんが出した足が他の男の足に引っかかり転ばせた。
「いてえ!」
「あっ!」
「お前わざとか!」
「も、申し訳ない!」
何とカミュさんは土下座した。
連れが言った。
「けっ情けない奴」
「立てよ」
しかしカミュさんは笑った。
「はは……」
「こいつ怖いのをごまかす為笑ってるぜ」
「やんのか?」
まだカミュさんは笑っている。
「あはははやりません」
「弱虫が」
「あははは」
「カミュさんに向かって弱虫だと!」
俺は我慢ならなくなった。
「よせ」
カミュさんに止められた。
「行こうぜ」
男達は去った。
「カミュさん、どうして怒らなかったんですか?」
「俺は争いは嫌いなんだ。笑ったもん、謝ったもん、逃げたもん勝ちだよ」
一日でカミュさんの色んな面が見れた気がした。
そして俺達は荷物を馬車に詰め込んだ。
「スベルさんは奥にいて下さい」
「よし! 出発」




