カミュの正体と決意
カミュさんは隊長に強く懇願した。
「恩返しをしたいんです。それだけじゃない店主の生き方に深く共鳴しました」
「ちょっと待ちなさい。君達には大義が」
「分かっています」
「いや、それは出来んよ。千人の人の事を考えたら一人の人の事だけ考えるわけにはゆかぬ」
「俺はそれでもいいと思ってます」
「え?」
「九千九百九十九人が良ければ一人ぐらいいいとかそういうのやなんです。逆に一人を大事にしたい」
「勇者や旅を止めると言うのか?」
「はい」
「ず、随分心が動いたなしかしそれを認めるわけには。いい加減にしてくださいお坊ちゃま」
「え?」
俺は聞いた
「お坊ちゃんて何ですか」
ローランドさんが俺の問いに答えた。
「ああ、じゃあ言う。こいつこの国の第一皇子なんだ」
「え! そうか! だから聖極石を持ってるんですね!」
カミュさんは謝った。
「黙っててごめん。俺は生まれてすぐ能力が高いから記憶を封印されて農民に託されたんだ。城にいた記憶はない」
「何で!」
「この国は王家も含め全員で身体能力チェックをして優れた者を勇者として育てるんだ」
「記憶を?」
「親父、つまり王様が俺の甘えを断ち切る為記憶を無くしたらしいんだ」
「え!」
隊長は言う。
「お坊ちゃままたわがままですか。甘えが抜けてませんね」
「甘えてねえよ」
その時部下の兵が来た。
「変な男が紛れておりました」
ところが全身を布で覆った男の衣服を剥ぐと驚愕の事実が判明した。
「親父!」
カミュさんは叫んだ。
「王様!」
「ええ!」
「お前の様子を見に来た」
「何で」
「冒険は止めるのか?」
「ああ。他に守る物が出来たんでね」
隊長も聞いた。
「どうしてもですか!」
「うん」
俺も続いた。
「俺もスベルさんとお店を守りたいです。俺に食べ物をくれた命の恩人ですから」
「分かります。しかし何とか旅と両立出来ませんか」
「え?」
「儂からも頼む」
「王様」
「お前達には我が国の命運がかかっておるのじゃ。お前達で無ければ駄目なのだ」
「しかし」
その時火の矢が飛んできた。
「あっ!」
火の矢は店の壁にささり燃え移った。
さらに二、三本目が来て刺さった。
「勇者パーティめまとめて燃やしてやる! ここが秘密の場所の様だからな」
「よくも!」
俺は出て行こうとした。
しかしそれよりも速くカミュさんは飛び出し気づくと弓兵を掴み殴った。
さっきまでとは別人の様な鬼の形相だ。
兵は怯えた。
「ふざけるんじゃねえぞてめえこの野郎!」
それは俺の怒りなんか比じゃない迫力だった。
カミュさんは続ける。
「悪い事は罪を償えばいい! でもな絶対やっちゃいけない事はあるんだよ!」
ローランドさんが出ようとした俺を止めた。
「俺とギガントであいつらを倒すから皆は火消ししてくれ!」
しかしスベルさんは浮かない顔をしていた。
「どうしたんですか?」
「この店はもう終わりでいい」
「そんな!」
「この店は魔王軍から貰った金で建てたものだ。もういい」
「そんなわけに行きませんよ」
俺はカミュさん達と必死に火消しした。
「何とか倒した。そっちはどうだ?」
「大丈夫です」
「酷い事を」
「それだけじゃない。スベルさんが俺達の仲間だと疑われた。ここにいれば襲われるかも知れないから我々が守らないと」
俺は答えた。
「僕もスベルさんを守りたいです。世界平和とかよりも命の恩人を守りたい。そして料理する気持ちも」
俺が言っても説得力ないか。
その時王様が前に出てスベルさんに言った。
「君が料理を辞める必要はない。これからも皆に美味しい物を食べさせてやってくれ」
「王様……」
「それと、カミュや君達の決意は分かった。儂は何も言わん」
カミュさんは歯ぎしりした。
「くそ! あいつら許せない! やっぱりやっつけに行くべきなのか? せっかく大事な物を見つけたのに」
ローランドさんは言った。
「分かるよお前の気持ち」
マキシマーさんが言った
「誰かがスベルさんを守らないと駄目だ。と言う事は俺達の旅に同行してもらった方が」
俺は言った。
「僕もスベルさんを守りたいです」
「じゃあ、君も一緒に行こうか」
3話もっと盛り上げる予定でした。
場合により書き直します。




