魔王軍の陰謀とカミュの指示
「ロングホーン・イエティ行け!」
魔王軍の司令官クラスらしき男と副官らしき男は羊の様な角を持った体長三メートル超えの雪男に命令した。
その怪物は悲鳴がこだまする中、口から激しい冷気を吐いて数人を凍らせた。
「何故こんな事をする!」
マキシマーさんが叫んだ。
冷静そうな司令官は言った。
「我々は収奪と嫌がらせの二点の理由からやっているんだ」
「嫌がらせ?」
「そうだ。魔王様は一つの理由だけで人間を襲っているのではない。今回はこの町の貧民共に食べ物をさらに無くして飢え死にさせるか我々が殺すかどっちかだ」
「貧民の人達が何をしたって言うんだ!」
今度は荒っぽい副官が言った。
「そいつらは働きもしないで路地裏で寝てるくず中のくずだ。だから貧民を特に殺してやるのよ。どうせ生きていたって真面目に働きもしないんだからな」
カミュさんは叫んだ。
「違う! 職がなくなったとかつぶれただとかあるいは誰かに騙されたとか決して不真面目な理由だけで貧民になった人達ばかりじゃない!」
ローランドさんは言った。
「中には犯罪を犯してまともに生活を送れなくなった人だっている。分かるよ。でもその人それぞれの人生の事情なんて聞かなきゃわかんないんだからお前らが裁く事じゃないだろ」
「役立たずと働く気のない奴は殺す」
「何て奴らだ」
カミュさんは言った。
「俺はあの司令官二人を相手する。マキシマーとローランド、ギガントはあの雪男を倒してくれ」
「あれ? 俺はカミュさんと一緒に戦うんですか」
「バッツ、お前はロレインと二人で避難誘導と食料を守るんだ。それ以外の事はせず集中するんだ」
「俺は戦わないんですか⁉」
「避難だって、何よりスベルさんの料理を守るのも凄く大事な事なんだ! いいか? 集中して俺達に乱入したりするんじゃないぞ!」
「わ、分かりました」
何故俺にそれを命じたのか分からない。
カミュさん二対一で大丈夫だろうか。
そしてローランドさんとマキシマーさんとギガントは雪男と戦い始めた。
ローランドさんは銃で攻撃したが角で防いでくる。
「あいつ首の動きが速い」
マキシマーさんは言った。
「俺が肉弾で勝負するか」
「いや様子を見よう」
「グ、グルル」
「ギガント街中で広範囲の火吐いたりするなよ」
「カミュ、二体一とは舐められたな。どういうつもりか知らんが」
「お前らは許さねえ。必ず地獄に送ってやる」
「随分物騒だな。温厚そうに見えてそれが本性か」
「ああ、本性だよ」
「皆さん逃げて下さーい!」
俺は戦いに加わらず避難誘導をとにかく必死にやった。
雪男は広範囲に冷気を吐くから急いで逃がさないとまずい。
ロレインが来た。
「私の魔法を使えば凍らされた人を戻せるかも知れません! だから今は避難誘導に徹しましょう!」




