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003_現代_失恋(恋に近い人になりたい)
文化祭の後片付けで賑わう体育館の脇に、夕方の冷たい風が吹き抜ける。
「あーあ、ダメ元だったけど、やっぱだめったかぁ。あゆみちゃんかぁ、かないっこないよなぁ」
誰もいない自販機の陰で、私はわざと明るい声をあげて、買ったばかりの冷たい缶コーヒーを自分の目に押し当てた。
そうでもしないと、涙がこぼれてきそうだったから。
先ほど告白したアイツは、申し訳なさそうに、でもはっきりと別の女子の名前を出した。クラスの真ん中でいつも楽しそうにお話してる、あゆみちゃん。誰もが納得する、学年のマドンナ。
思い返せば、いつもそうだった。
私は彼の「その他大勢」の友達の一人で、彼の恋バナを聞いては「お、応援するよ!」なんておちゃらけて見せるポジション。彼が笑ってくれればそれで満足なはずだった。
でも、本当は。
取巻きで居るより、恋に近い人になりたかった。
彼の特別な視線の先に、一瞬でもいいから立ってみたかった。
遠くから、はしゃぐあゆみちゃんとアイツの声が聞こえてくる。
私は深く息を吸い込み、いつもの「お調子者の幼馴染」の仮面を被り直すと、夕日で照らされている渡り廊下へと歩き出した。




