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018_別れ(声も思い出せないけれど)425字
夜の底は深くて、冷たい。
時計の秒針が、静寂を刻むたびに、胸の奥に空洞が広がっていくような気がする。
あの日から、どれほどの時間が流れたのだろう。
だんだんあなたの顔も声もはっきり思い出せなくなっている。
それなのに、今夜も私は、あなたと笑い合った日々を夢に見るのだろう。
夢はいつも、初めてのデートだった。
駅で待ち合わせて、乗り換えを間違って、映画に間に合わなかったあの日。
代々木公園で時間を潰して、明治神宮でお参りをして、帰りにキスをした。
目覚めたとき、頬を濡らす涙の冷たさで、それが夢だったと知る。
実体のない面影に囚われ、二度と戻らない温もりに縋り続けている。
前に進むこともできず、かといって完全に忘れることもできないまま、私は今日も、薄れていくあなたの破片をかき集めている。
顔も声もうまく思い出せないのに、あなたの微笑みを夢に見る。
あたしは愚かだろうか。
あたしは愚かだろうか?




