02.
教会の出口から外に出ると、そこは中庭に面した外廊下のようだった。
強く腕をひかれ、廊下を進むが、途中から彼女達は何か言い合いを始めた。
「●●● ●●●●●●」
「●● ●●●」
会話の内容は分からないので、私は気にせず周囲を見回しながら、歩き続ける。
建物の印象は日本っぽくない。どこかと言われると難しいが、西洋のイメージに近い。一応石かアスファルトのような床はあるが、外廊下なので、土や砂利で汚れているし、裸足の足にはキツいものがあった。教会内はゴワゴワしていたとはいえ、絨毯が敷かれていたため、ちょっと砂っぽいなぁと感じただけだが、ここは足を動かす度、小さく痛みが走る。
痛みで足の遅い私に業を煮やしたのか、女性達はより速足になって急き立ててきた。
貴方達はサンダルを履いているからいいでしょうね。
中庭を囲むように外廊下があり、等間隔に様々な色の扉が並んでいる。教会の出口は黒だったが、この色分けはどんな意味があるのだろう。
外廊下から2階分階段を昇り、何度か角を曲がった先の赤い扉の前で彼女達が止まる。ここが目的の場所らしい。
右の女性が扉を開け、中に入るのに続いて、私、左の女性の順に部屋に入った。
そこは窓が無く、灰色の毛布らしきものだけが隅に放り投げてある、質素な狭い部屋だった。部屋に私を入れた後、彼女達は毛布を広げたり、壁や天井を見て回っている。何か異常が無いかを確認しているのだろうか。
その間私は、何となく彼女達を眺めてみる。
とりあえず、彼女達のことは立ち位置から「右さん」「左さん」と認識しよう。
右さんは赤毛のショートカットで肌が白く、爪が青に塗られている。
左さんは黒髪のロングを後ろで1本の三つ編みにしていて、爪も同じく青に塗られていた。
一通り確認が終わったらしく、彼女達は何も言わずに部屋を出て、私を残して去っていった。扉に耳を当て彼女達が遠ざかっていく音を確認する。1、2分経ってから耳を離し、一応扉のノブをガチャガチャ回してみる。
うん、開けられないですね。
「……やっと1人になれたー」
安堵の息を吐き出しつつ、毛布で床の汚れを簡単に隅にやって、その場に腰を落とす。足裏の状態を見て、刺さった小石や砂利を払っていく。真っ黒がちょっと灰色ぐらいにはなったかな。若干赤くなっている箇所はあるが、怪我まではいっていない。良かった。
行儀は悪いかもしれないが床に胡座をかいて天井を見上げながら、今まででのことを振り返る。
①彼、彼女たちの目的は不明
②ここがどこかも不明
③持ち物は着ている部屋着だけ
④言葉も通じない
そして恐らく、
「ここは違う世界なのだろうな……」
ありえないと思う。
信じられないけれど。
だって、
照明や窓が無く、扉がすりガラスなわけでもない。
そんな部屋の中が、
怪我の有無を確認できるほど、
明るいわけがないのだから。




