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03.

1人になったからか緊張の糸が途切れた。

寝転がった床はひんやりと冷たく、だんだんと瞼が落ちてくる。


「ちょっとだけ」


ちょっとだけ休もう。

私は身体を丸めて目を閉じた。



ガチャ



気がつくとしっかり寝ていたようで、扉が開く音で目が覚める。

扉から右さん、左さんに続いて、大きい鞄を持った背が低い白髪の年配の男性が部屋に入ってきた。

80代ぐらいだろうか。右さん達の半分程の身長で、髪が肩辺りまで伸びているが清潔感があり、綺麗に整えられている。今まで見た人達は、シルクのようにツルッとしていて軽そうな素材の白い服を着ていたが、このおじいさんはモコモコのファーのような白い服を着ていた。


おじいさんを観察していると、右さん達が机と椅子を2脚、外から運んでくる。持ち運び用に軽く作られているのか設置するまでそんなに時間はかからなかった。机を挟んで椅子が置かれ、片方におじいさんが座り、鞄から紙束と鉛筆、様々な色の積木を机に広げ始める。右さん達はおじいさんから2、3歩下がった場所に移動し、黙って控えている。


??


これは、私、座っていいのかな。


腕を引っ張られたり、目線やジェスチャーでの意思表示も無いので、どういう行動が求められているか、自信がない。


そろそろと椅子に近づくと、おじいさんが紙束になにか書き始めるが、動作を止めるような素振りは見せなかったので、そのままおじいさんの前の椅子に座った。



座ったことで、机の物がよく見えるようになった。

少しの期待を持って紙束に並んでいる文字を見るが、やはり知らない文字のようで何が書かれているか分からない。

積み木は、赤、青、緑、白、黒で塗られており、形は丸いものやアーチのようなものなど様々だった。


おじいさんは、右手に鉛筆を持って私になにか話しかけてきた。


「●●●●」

「……●●……●●●● ●●」

「●● ●●●●●」


何か書いては、紙束を捲り、何か言っては、また書き込む。

それをしばらく繰り返した後、赤い積木を手に取って、こちらに差し出す。私が右手で受けとると、手を机の上に置くようにジェスチャーしてきた。

右手を示されるままに机の上に置くと、おじいさんは懐から透き通ったガラスのような振り子を取り出し、私の積木を持った右手の上に構えた。


「●●●●」


おじいさんの一言の後、振り子が大きく何度か揺れ、それをジッと観察し、また紙束にメモを取っているようだった。


その揺れはおじいさんの匙加減では?と、疑問を持つけれど。


まぁ、いいか。


順番に積木を持たされ、振り子を翳した後に一言。

振り子は、揺れたり止まったり様々だ。


全部の積木を試し終えると、振り子を懐にしまい、おじいさんは鞄に紙束等を片付け始めた。


どうやらこれで終わりみたい。

何のテストだったのかな。


片付けを終えたおじいさんは、


「●● ●●●●」


と、私に向かって一言だけ残し、右さん達と共に部屋を出ていった。



やった。

机と椅子はそのまま残していってくれたようだ。

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