第一幕 二十九
日が落ちる前から、荷車が止まる土の広場に人の声が続いていた。
華は女のそばで、集まった人を見る。
昼には、草地の方から大きな獣がいくつも運ばれてきた。後ろ脚が紐でまとめられ、何人かがそのまわりを行き来していた。
今、広場の端には鍋が置かれている。
鍋のそばの男が、下の火へ片手を向けていた。炎は大きく跳ねず、鍋の底の熱だけが途切れずに続く。鍋の下の火と近くの灯りで、広場はいつもより明るかった。
肉の匂いが流れてくる。
人の多さと、火と、声を聞いていると、華にはお祭りみたいに思えた。
*
日が低くなってから、レオンたちが広場へ戻った。
靴と裾に土がついている。レオンは華を見つけると、短く頷いた。
華も頷く。
女が華を見て、卓の空いたところを手で叩いた。
華はそこへ行き、座った。
*
女が華の前へ皿を置いた。
湯気の向こうに、切られた肉がある。
向かいの男が大きな皿を回し、女はそこから華の皿へもう一つ置いた。何か言って、口へ運ぶ真似をする。
華は頷いた。
肉はまだ熱かった。噛むと、やわらかなところから脂が広がる。華が知っている豚肉とは少し違う匂いがした。
それでも、おいしかった。
華は一度、皿を見てから、もう一口食べた。
卓のまわりでは、皿が行き来する。誰かが笑い、別の誰かが火のそばの男へ何か言う。分からない声が重なっても、楽しそうなのは華にも分かった。
女が笑うと、華の口元も少し緩んだ。
皿が空きかけると、女はまた肉を寄せた。
華は両手で皿を少し持ち上げた。
*
火が低くなるまで、人は広場にいた。
華は皿の上の肉を見る。
昼に運ばれてきた獣は、もっと多かった気がする。
あれは、全部ここで食べるのだろうか。
残りは、どうするのだろう。




