第一幕 二十四
朝、華が目を覚ますと、レオンはもう荷袋の口を締めていた。
戸の外には、昨日と同じ二人がいる。三人の荷が肩へ上がると、華も布袋を持った。
低い屋根の家を出る。
街道は、昨日の先へ続いていた。
*
日が高くなるころ、道の両側に畑が近づいた。
畑のそばには、背の低い家がある。戸の前には干した布が揺れ、少し離れたところでは、二人が木の枠へ何かを積んでいた。荷車が通る道の脇で、子どもが桶を運んでいる。
高い石の壁は見えない。
それでも、人の声と、土を踏む音は途切れなかった。
前を歩いていた男が、道から外れて一軒の家へ向かう。
レオンたちも続いた。
*
戸の前にいた女が、三人へ何か言う。レオンが短く返す。
昨日から一緒に歩いていた男が荷を下ろし、女は開いた戸の奥を指す。ほかの二人も、それぞれの荷を持って中へ入った。
華もレオンのあとに続く。
奥には小さな部屋があった。壁際に寝具が寄せられ、卓と低い椅子が置かれている。
レオンは華の布袋を壁際へ置いた。
次に、自分の荷袋から、短い刃と紐の束を出す。ほかの二人も、腰の道具や長い包みを確かめている。
華の布袋は、そのままだった。
レオンは華を見た。部屋の中を指し、手のひらを床へ向けて止める。それから、自分と二人の男を順に見て、戸の外を指した。
華は三人の荷を見る。
自分の荷は残る。三人だけが、外へ行く。
華は部屋の中を見た。
レオンはもう一度、床のそばを指した。
華は頷いた。
レオンは短く何か言い、戸口へ向かった。
三人が外へ出る。
華は戸口の内側から、その背を見る。
道の先へ離れ、建物の向こうへ消えた。
レオンの姿は、もう見えなかった。
*
部屋に、華だけが残った。
華は自分の布袋を見た。次に、開いた戸口を見る。
外では、人の声と足音が続いている。
しばらくして、戸の前にいた女が入ってきた。
華は卓のそばに立ったまま、女を見る。女の手と、戸口の方を順に見た。
女は華へ何か言った。
華は動かなかった。
女の顔を見る。女はもう一度、少し短く何か言う。
それでも、華には分からない。
女は言葉を止めた。低い椅子を指し、手のひらを下へ向ける。
華は椅子を見た。
女を見てから、そちらへ行き、腰を下ろした。
*
しばらくして、女が水差しと杯を持って入ってきた。
卓へ置くと、華は水差しを見た。
歩いたあとの喉が、少し乾いていた。
華は女を見る。次に、水差しを指した。
「ミァ」
女の手が止まる。
水差しを見て、華を見る。女は杯を取り、水差しを指して短く言った。
知っている音が返ってくる。
――水。
女は杯へ水を注ぎ、華の前へ置いた。
華はそれを両手で持った。




