第一幕 二十一
午後、レオンは乾物屋の前で、袋に入れた豆の重さを手の中で確かめていた。
店主が帳面を閉じる。その目が、店の脇に立つ華へ向いた。
「まだ一緒なんだな」
レオンは袋を荷袋へ入れた。
「そうだ」
「最初は、しばらく宿に置いておくんだと思ってた」
店主は華の方を顎で示した。
「この前は門の外でも見かけた。仕事の先まで連れていくとはな」
「短い仕事だった」
「言葉は」
「少しずつだ」
店主はそれ以上、華の方を見なかった。包み紐の端を押さえたまま、レオンへ目を戻す。
「で、お前、その娘をどうする」
レオンはすぐに答えなかった。
宿で待たせることも、門の外へ連れていくこともあった。
そのたびに、その日のことだけを決めてきた。
「まだ、決めてない」
店主は短く息を吐いた。
「そうか」
それだけ言って、帳面を開き直した。
*
華には、二人が何を話しているのか分からなかった。
店主が自分の方を見る。レオンの方を見て、何か言う。
レオンは返事をしたあと、華を見た。
華は布袋の紐を握ったまま、二人を見返した。
自分について話しているらしい。
けれど、何を聞かれ、レオンが何と答えたのかは分からない。
店主はもう華を見ず、卓の上の帳面へ目を落とした。
レオンが荷袋を肩へ掛ける。
華はその横へ行った。
店の前を離れると、レオンはいつもの速さで歩いた。
華も、半歩後ろを歩く。




