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月の光に導かれ  作者: カムイコタン
第1章 月の光教団
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4/15

第3話 誓約と制約

基本は毎週金曜18:00頃更新予定です。

何とかできあがりました。

 女性が至近距離で噴き上げた鼻血をもろに浴びそうになり、一張羅の白シャツが赤シャツになりそうでした。こんな鼻血の量、初めて見たぞ。大丈夫なのか?


 さて、リオンさんは身体中の怪我が治った直後に、大量失血した影響でフラフラしてたけど大分落ち着いたみたい。


 座って話しませんかと伝え、川辺の近くにあったいい感じの大木にリオンさんと二人で並んで座った。


「大丈夫ですか?リオンさん・・」


「だ・・大丈夫です、大丈夫・・所で、あなた様のような方がこんな所で何をされていたのですか?」


 急にキリッとされても、鼻血を噴いたことは帳消しになりませんよ?


「すみません、あなた様と言われるような高貴な人間じゃないんですが、気を失って気づいたらここにいて、記憶も定かじゃないんです。リオンさんこそ、あんな状態で何かあったんですか?」


 とりあえず、俺が何をしてたかについては、あやふやな回答をして様子を見てみる。ここ異世界だからね、用心深くいかないとね。


 リオンさんを見てみると修道服は引き裂かれ矢が刺さっていた部分は穴が開いている。権能で身体の方は何とか治せたが、服までは無理みたいだ。怪我が治ると美しく魅力的な肢体が、破れた服の隙間から暴力的なまでに主張してる。


 その修道服なんとか修復してもらえませんかね・・。


「・・・・・・・・っ」


「リオンさん、内情に土足で踏み入るような真似をしてしまい申し訳ない。言いたくないのなら無理をしなくてもy」


「・・・いえ、ツキノさま。言いたくない訳では決してありません。話してしまうとツキノさまを巻き込んでしまうのではないかと少々恐ろしくて・・・。大丈夫です、ツキノさまだけは私の命に代えましてもお守り致しますので。」


 おっと・・・異世界転移後早速のイベントですね。怪しい雰囲気が漂いだしてきましたよ。

 ただ、ステータスもゴミカス、張り子の虎の権能は任意で発動しない。スキル無し。こんな詰んだ状態であれば、多少危なかろうとも、リオンさんの事情に巻き込まれてでも一緒に居た方が良いかもしれない。


 あと、とんでもなく美人だし。守ってくれるって言ってくれてるし。


「リオンさんの事情を良ければ話してもらえませんか、巻き込まれても構いません。それと記憶が曖昧で、この世界の事も何もよく分からないんです、その辺も教えてもらえると助かります。あと、俺のことは“ヒカリ”と呼んでください。」


「なんと・・・なんとお優しい・・・ああ、ヒカリさま・・・私のことはリオンとお呼びください。・・・それではお話しさせて頂きます。」


 リオンから色んな話を聞く。時間だけはたくさんあるからね。どうやら、この世界はディオスという名前で、魔物が跋扈する剣と魔法の世界だとのこと。

 よく森の中で魔物に出会わなかったな。“幸運”さん仕事してたんだなぁ・・。


 また、このディオスでは男性と女性の出生率が1:7で、この世界では、男性はかなり貴重な種として扱われているんだと。男性は僅かな魔力しか持たないのが普通で、スキルなんてものもほとんど所有せず、ステータスの数値も低めでLvも上がりにくい。そのため、男性は保護される対象になってるんだって。反して女性はそういう弱い男性を庇護するためなのか、先天的にスキルを持って生まれてくるし、魔力も豊富で腕力も強大。


 なるほど、だからさっき俺を見てなんか驚いてたみたいだし、えらく丁寧な対応だったし、軽々と抱き寄せられたんだなぁとしみじみ。


 次に今いる場所は、エンヴィディア法国とアヴァリスィア王国の境にあるドミナリア森林ってとこらしい。で何でそんなところで土座〇門キめかけてかというと理由を聞いて驚愕した。


 リオンは陽光教という前の世界でいう某宗教みたいなメジャー団体の聖騎士団の団長を務めていたそうで、本部はエンヴィディア法国にあるとのこと。陽光教には“神子(みこ)”と呼ばれる男性が数人いて、夜伽のことを洗礼って言うらしいんだけど、その洗礼を月に1回、教皇とか枢機卿やその他幹部が選んだ女性で執り行っていたんだって。


 何じゃそれ。この世界の男性は恵まれてるなぁ・・・。でも自由恋愛出来ないから可哀そうと言えば可哀そうなのか?


 その神子がある日リオンを洗礼の相手に選んだらしい。逆指名みたいな感じなのかな。そりゃこんな綺麗だし・・・気持ちも分かるっちゃ分かる。


 あと洗礼が月に1回って儀式だからなのか、えらく回数が少ない気がしたので聞いてみると、男性はひと月もしくはふた月に1回しか女性と交わることができない身体らしい。


 男性国民総EDなんかな?俺だったら毎晩パーリナイトですよ。ええ、ええ出来ませんよ、そんな事。恥ずかしいから。陰キャだよ、俺。


 リオンさんとしては聖騎士団団長という立場もあって枢機卿たち上の幹部を出し抜く形で、出しゃばって洗礼を受ける事はし辛いし、神子という立場に踏ん反り返ってる男性が生理的に気に入らないということもあり、洗礼を断ったそうだ。その結果、嫉妬した教皇並びに枢機卿によって異端審問にかけられ、神子自身振られた恨みも重なり火刑となったそうだ。


 Hを誘って断られたら火刑ってやべーな、異世界宗教。

 陽キャでもなかなかしないぞ、そんな事。


 執行日当日、命からがら逃げだしたところ、追手によって傷を負い、滝つぼに落下。めでたく(?)俺に出会ったとのこと。


 さっき言い淀んだのは、追手が迫ったときに世にも珍妙な優しい純粋無垢な男性である俺が、身を差し出そうとするんじゃないかと心配したんだって。

 俺の身を差し出すだけで助かるんならいいんじゃない?今までの話だと男少ないからそこまでひどい事されなそうだし。


 気になったので、身を差し出したらどうなるのか聞いてみると、俺みたいな子は捕まった瞬間に保護されて法国に直輸送。その後は第5番目ぐらいの神子にさせられ蝶よ花よと崇められ、次から次に身体を求められ種を残すことになるそうです。


 ・・・リオン、ここは俺に任せて逃げろ!


 この身一つでリオンが助かるのなら・・・俺は耐えるよ!むしろ伏して逃げてとお願いしたい!!ごっつあんです!!てなことをリオンに伝えると、泣きながら止められ、ヒカリさまが行くというならこの命いりませんとまで言われ止められる始末。あちらを立てれば、こちらが立たず・・むむむ。


 冗談はさておき、こちらの意志に関わらず、誰とでもっていうのは正直きついから、捕まるのはナシかなぁ。


 てか・・・ん?追手?まずくない?


「リオン、追手って大丈夫なの?まだ追いかけてきてるんじゃない?」


「ヒカリさま、大丈夫です。追手ごとき鎧袖一触でねじ伏せれます。」


 え?でも追手に重傷負わされたんだよね?ホントに大丈夫?


「ワタシは大丈夫です。ワタシにはヒカリさまが居ます。あなたさまを想うだけで力が湧いて参ります。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ヒカリさまは、ワタシを死と絶望の淵から救い上げるだけでなく、あなたさまを守るための力を授けてくれました。ヒカリさまというこの世に降り立った神を守護なさいという天啓だと信じております。ワタシはヒカリさまという神の使徒なのです。何故、神子という名ばかりの俗物が管理する陽光()()の手先に負けることがあるのでしょうか。偽神を信奉させられ、友に裏切られ、手をかけられたワタシを(ヒカリさま)が救ってくれたのです。傷を癒すだけでなく、今なお心までも癒して頂いています。」


 ん?なんだか様子が・・・だいぶ信仰をキめてらっしゃる感じですね。だーいぶ強めのお薬だしときますねー。


 何故か、そっと俺の手を握るリオン


「神はいたのです。ワタシの目の前に。

 ______ワタシはあなたを守護る“剣”になることを誓います」


< 権能 救神誓約発動します。 >

< リオン=アステリアスの誓約を確認しました。 >

< リオン=アステリアスのパラメータの変更を承認しました。 >


 機械的な音声が頭の中に響く。あれ、これって・・・。


「リオン、悪いけどリオンのステータスって見せてもらうことって可能?」


「ヒカリさまのご希望とあれば今すぐにでも。ステータス・オープン ヒカリさまの閲覧を許可します。」


 なるほど、相手の名前を言って許可を宣言すれば、ステータスを一緒に見れるのね。

 

 リオンがそう言うと、リオンの目の前にあの半透明な板のようなものが浮かんでくる。


 おっ、見れるぞ。こっちも日本語で書いてくれてる。ありがてぇ!って何じゃこれ・・・


 リオン=アステリアス

 Lv 52 (女 19歳)

 聖騎士/ツキノヒカリの使徒

 Agi 422 Def 481 Atk 650 Ap 550 

 Hp 883 In 500 Ma 750 Str 551 Luk 50

 スキル(ACT):聖剣術Lv8、光魔法Lv5、水魔法Lv4、火魔法Lv3

 スキル(極):断罪ジャッジメント十字軍クルセイド

 スキル(PAS):光魔法適正Lv10、耐物Lv6、耐魔Lv8、耐毒Lv7、耐病Lv10

 スキル(固有):堅牢


 強っ!!リオンの方が異世界転移の主人公じゃん!Atkなんて俺の600倍なんですが。極スキルって何?ACTの方に書いているから任意で発動出来るスキル?固有スキルの“堅牢”てなによ!てか19歳?!ティーンなの、君!29歳半裸おじさんがこんなに近くに居て大丈夫?淫行条例に引っかかるんじゃない?魔法もいっぱい適正あるじゃん・・・羨ましい・・・。しかもツキノヒカリの使徒って何?エ〇ァンゲリオ・・・?


 待って!・・もしかしたら副次効果で、俺の方も凄い事になってるかもしれんよ!なるほど、仲間が出来るとパラメータアップ系異世界ものね、把握したわ。


「す、ステータス・オープン!リオンの閲覧を許可!」


 Lv 1 

 権能『救神誓約』

 Agi 3 Def 4 Atk 1 Ap 100 

 Hp 20 In 300 Ma 30 Str 2 Luk 1,000

 スキル(ACT):なし

 スキル(PAS):幸運Lv1、魔法特性Lv1


 ・・・

 ・・・・・


 よし、何も変わってない。

 あのさぁ、リオンから10分の1の力で殴られたら死ぬんだけど。


「大丈夫です、ヒカリさまはワタシが守護りますから。」


 呆然とする俺の横でリオンが力強く宣言してくれる。ありがとね。そっかぁ・・・こっちか・・・こっちのパターンなのね・・・。貞操逆転物や男女比の異世界ものはまだ未履修なんだよなぁ・・・。


< リオン=アステリアスへの制約が発動。 >

< 対象ツキノヒカリから半径500m圏内から外れると >

< Lv・能力の減少、スキルの消失が発生致します。 >


 機械的な音声が俺とリオンに聞こえる。


 これかなりヤバいデメリットじゃない?と焦りながらリオンを見ると彼女は薄暗く粘着質な笑みを浮かべていた。


 ヒエッ・・・・。


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