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月の光に導かれ  作者: カムイコタン
第1章 月の光教団
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14/15

第12話 冒険者ギルド

毎週金曜18:00頃更新予定です。


 王都グラントに着いて特に何事もなく1週間ほど経過した。

 

 1週間過ごす中で気づいたのは、時間の単位とかはあまり地球と変わりないってこと。あと月とか太陽も1個ずつだし・・・これ地球の何万年後とかそういうことはないよね?物体Xさん??


 この1週間を簡単に説明すると、異世界転移初日は陽光教からの追手を殲滅した後は、割と何事もなく王都に到着しすぐに「宿り木亭」で休むことが出来た。初日目の夜は色々あったけど、濃密だった1日のおかげかぐっすり眠れた。・・・眠れた?


 翌日からはボロボロになった修道服の替えや俺の服、下着類などを近くにある仕立て屋で依頼し、今後の旅に必要になると思われる小物(リオンや俺の装備品や携帯食など)の買い出しを一緒に行った。


 修道服が仕立て屋にあるのか非常に疑問だったが・・・ありました。そういう趣味の方がいらっしゃるからかと思ったけど、陽光教や星辰教の王都支部からの発注があるからだそうです。


 それを聞いたリオンが死ぬほど嫌そうな顔をしてた。そんなに陽光教が嫌いなら普通の服を着ればいいのに。リオン曰く、『ワタシはヒカリさまの使徒なので修道服+修道帽以外はありえません』とのことです。


 素敵な服装で目の保養に・・・凛々しくて良いと思います。現場からは以上です。


 これでようやく、リオンのボロボロの修道服から覗く肌をちらちら見てしまう作業から解放される・・・良かった・・・。いや、残念ではないからね。ホント。


 この1週間の中で変わったことと言えば、俺は異世界初日のリオンへの「頑張ります」宣言の後、リオンから剣術を習うことにした。宿泊先である「宿り木亭」裏の少し広めの空き地で剣術の練習をすることになった。


 次に魔法についてリオンから教えて貰った話によると、魔法は火・水・土・風・光・闇の主要6属性の他、雷・血・影・召還・契約などのその他の属性魔法があるとのこと。召還魔法とか覚えたいよね。

 この世界には様々な魔法があり、その他の属性の中に「鑑定」魔法があるらしい。それは絶対に手に入れときたいね。鑑定魔法は異世界ファンタジーの基本装備だと自分は思っているからね。魔法の手に入れ方は魔法書を読むことや、口伝で教わったりと多種多様だそうだ。


 そういうわけで衣・食・住環境が一気に揃い、剣術や魔法の下準備が出来ていき、順調に見える異世界生活だったが問題が起きた。


 それは、リオンとの剣術練習でのことだった。


 ※     ※     ※     ※     ※


「ヒカリさま、疲労が溜まる前に、今日の稽古はこの辺で終わりましょう。」


「え・・まだ、始まって3分くらいしか経っていませんが・・。」


 ※     ※     ※     ※     ※


「ヒカリさま、聖剣術の構えはこうです。」ビシッ


「こ・・こうかな?」ヘニャッ


「素晴らしい!では今日の稽古は終了ですね。食事に行きましょう!」


「え・・・」


 ※     ※     ※     ※     ※


「ヒカリさま、実践稽古を今日は行いますよ。」


「え・・まだ構えしか・・」


「行きますよっ!」


「え・・え・・」


「クッ・・・ヒカリさまワタシの負けです・・。」


「え・・何もしてない・・・。」


 ※     ※     ※     ※     ※


 リオンが過保護・・・俺に対して凄く過保護。

 そして尚且つ甘い、スター○ックスのキャラメルマキアートにシロップ10個ぶち込んだくらい甘い。


 このままじゃ、ステータスアップとかスキル・魔法獲得無理じゃね?と思った俺は、冒険者ギルドに登録して世間の厳しさを感じ、日銭を稼ぎながら鍛えようと決意。


 異世界来たら冒険者登録してみたかったしね。会社のため奴隷のように働くのではなく、自由に生きてみるんや!・・・ただ冒険者への登録料はかかるみたいなので、リオンにまたお金をお借りしないといけないんですがね。


 ちなみに、現状全ての支払いはリオン持ちである。ヒモだヒモだと言う勿れ。『宿り木亭』の一泊食事付きの料金が統一金貨1枚、統一銀貨5枚なんてお金は持っておりませんから。無い袖は振れないのだ。


 この世界で流通している貨幣は、統一貨幣と言ってどの国でも使用できる金貨・銀貨と、その国でしか使えない国貨と呼ばれるものがあるみたい。統一貨幣の白金貨=100万円、金貨=1万円、銀貨=1千円、銅貨=100円、鉄貨=1円っていう感じ。統一貨幣はどの国行っても割高に取られちゃうらしくて、アヴァリスィア王国だと国金貨1枚で買えるものが、統一金貨だと金貨1枚と銀貨5枚になっちゃうらしい。為替レートが存在する異世界って、どういうことだってばよ。


 ということで、冒険者登録したら、この「宿り木亭」の食事つき2人分の1泊料金統一金貨1.5枚を支払えるくらい頑張って稼ぐのだ。


 そうと決まれば・・


 そうだ、ギルド行こう。


 そういう訳で、リオンを数度の説得の後、冒険者ギルドに行くことになった。


 俺の外行きの格好は、男だとバレないようにブカブカの黄土色の外套を目深に被り、仕立て屋で買った色付き眼鏡をかけるというあまりにあまりな服装だ。


 どう見ても不審者です、本当にありがとうございました。


 ※    ※     ※     ※     ※


 王都グラントにある冒険者ギルドは、俺たちの生活拠点である『宿り木亭』から徒歩数分圏内にあった。王都グラントの裏門はドミナリア大森林から近いので、魔物の流入などの緊急事態に即時対応するため冒険者ギルドを裏門付近に建ててあるんだって。


 外観はレンガ造りの2階建てで、入り口は西部劇に出てきそうなスイングドア。ザ異世界の冒険者ギルドって感じだね。いいね~好きだよ、こういうの。


 1階フロア正面には、受付があって入って右側に依頼を貼っているボードがある。左側には仕切りがあって飲食可能なテーブル席が何席か置いてあり、2階は高額依頼対応窓口兼ギルドマスターの執務室、それと食堂という名のレストランと会議室などがあるらしい。


 リオンからギルド内について教えてもらいました。さすがリオペディア・・・。彼女は何度かこのギルドを訪れた事があるから知ってるんだって。


 何で訪れたの?と聞くと難しい顔をして言い辛そうに感じたので、あえて深堀しないようにしました。大人だからね。


 さぁ、それでは早速、冒険者デビューですな!受付に行って、保護者であるリオンさまに手数料をお借りして登録するぜ!


 今日は他の冒険者たちは忙しいのか、割とギルド内が空いていてすぐに受付してもらえそうだ。


「ようこそ!こちらは王都グラントの冒険者ギルドです。本日はどのようなご用件でしょうか、登録ですか?受付ですか?それとも買取でしょうか?」


 茶髪のショートカットで元気そうな可愛らしい受付嬢が対応してくれる。『そうですか、ヒカリさまはあういうタイプが』思考介入って何かのスキルでしたっけ?


「ええと、今日は冒険者登録をお願いしたいのですが宜しいでしょうか。」


「それでは、個人を証明できるものか冒険者の推薦人の提示をお願いします!」


 え?


 水晶とかに手をかざして「あなたは勇者です、さぁ冒険へGO!」じゃないんですか?そんな某日本のお役所手続き的な感じなんですか?!マイナンバーカードで・・・あ・・・財布とかすべて物体Xに取り上げられたわ、詰んだ・・・。


 虚空を見上げ、どうするか考えていると、後ろに控えていたリオンが前に出る。


「すみません、ワタシは以前、冒険者登録したんですが、まだ記録は残っていますか?」


「・・・お名前宜しいでしょうか・・・。」


 リオンに気づいた受付嬢は、一瞬怪訝そうな顔をしたが、名前を尋ねた。


「リオン=アステリアスです。」


「・・・リ・・・リオン?あの金等級冒険者“獅子王”リオン!!!!しょ・・少々、お待ちください!ギルドマスター呼んできますので!!」


 ドタドタと後ろを確認せず、2階に駆け上がっていく受付嬢。


 リオン・・・“獅子王”なんて厨二心をくすぐる二つ名をお持ちだなんて。ギルド内に居た人たちがざわざわしてる。ちょっと羨ましい。俺も二つ名付いちゃうくらいの冒険者を目指しますよ。


「リオン、二つ名とか持ってたんだ。」


「昔取った杵柄(きねづか)です。聖騎士団団長時代に、他国で活動するために冒険者登録をしてたことが役に立ちました。ワタシからの推薦で何とかなると思います。」


「リオン、さっきギルド来た事あるのか聞かれたくなさそうだったけど何で?」


「二つ名が恥ずかしいですから・・・。それにちょっとした騒ぎになりそうだから嫌だったんです。目立つのがあんまり好きじゃないんですよ。」


 リオンさんあなた、外見がふわふわ王冠金髪にブルーアイ、端正な顔立ちにセクシーボディの修道服なのに目立ちたくないは無理でしょうよ・・・聖職者じゃなくて性しょ・・・おっと危ない危ない。


「でも、いいの?俺のせいで目立つことになっちゃって。ごめんね。」


「ヒカリさま、いいのです。ワタシも目的があって来てますんで。」


「目的ってな・・・」


 リオンとこそこそ話していると、2階からベリーショートの大柄な女性が俺たちを呼んだ。


「そこのリオンと連れのやつ、2階に上がって来てくれ!」


 階段を上って、突き当りにあるギルドマスターの執務室にお邪魔することになった。


 ※    ※     ※     ※     ※


 執務室には、斜め向かいの「宿り木亭」が良く見える大きな出窓の近くに大きな執務机があり、部屋の中央には豪奢な応接台と2人掛けのソファーが2つあった。ギルドマスター(ギルマス)に促され、向かい合う形で2人掛けのソファーに俺とリオンで座った。


「久しぶりだな、リオン。」


「ええ、久しぶりです、ラフロイグ」


 ギルマスはラフロイグという名前なんだ。あのベリーショートの大柄な女性がギルマスだったんだけどイメージぴったりの名前だねぇ。


 じっと、二人で見つめ合ってるんだけど・・・。なんかピリッとした空気がしてきたんだが、戦闘とか始まりませんよね?


「リオン、貴様何をやった?」


「何がですか?」


「白ばっくれやがって・・・貴様。先日、陽光教のエウレカ枢機卿とかいう奴が来て貴様が来てないか俺に探り入れてきやがったぞ?」


「さぁ、何のことでしょうか?ワタシも、そろそろ宗旨替えを検討しておりまして。陽光教を辞め、冒険者に本腰を入れてみるのも良い時期ではないかと考えているので、その事でしょうか。」


「よく言うぜ、エウレカとかいう女郎が“聖騎士団長リオンが黒髪・黒瞳の神子を拐かして逃亡してるから見つけ次第、保護した上で至急連絡しろ”だってよ?神子の救出に懸賞金までかけてやがる。何と統一白金貨100枚だ。」


 それを聞いた瞬間、俺のような素人でも分かるほど、隣のリオンからすさまじいほどの殺気が膨れ上がる。窓枠がピシッピシッて音がしてるんですが。


「おのれ・・・売女・・・ヒカリさまを陽光教(ゴミやま)神子(クズ)と一緒にするなど・・・そのうえ、神子の救出?・・・不敬な・・・!」


 冷汗がドッと滝のように流れてしまうほどの殺気を浴びて震えてしまう。これからはエッな悪戯しすぎてリオンを本気で怒らせないでおこうと心に誓った。


 リオンの隣でガタガタ震えていると、彼女が俺の様子に気づいて


「あぁッ!ヒカリさまっ、すみません!!怖がらせてしまって!!震えが止まるまでワタシが抱いていますので、安心してくださいね。」


 ぽいっと軽く俺を持ち上げて抱きしめてくれるリオン。


 おっと、結果オーライじゃないですか?殺気全開でもこんなご褒美あるなら毎日浴びせていただいても構わんよ!今日もリオンは柔らかくて最高です。ニチャア。


「おい・・貴様ら・・こんな所でイチャつくな。心配すんな、冒険者ギルドと陽光教はカッツィ戦役の件もあって関係は良くないから今のところ非協力的だよ。まぁ陽光教の中でも、聖騎士団団長様だけは別待遇だけどな。」


「一応、お礼は言っておきます。」


「つれない反応だねぇ。今まで何度かこちらの無茶な依頼を対応してくれたし、他の陽光教のやつらとは違うからな、貴様は。まぁ、あいつらに追われてる理由なんざ詳しく聞かねぇが、こっちに迷惑をかけないでくれるなら放っとくとするぜ。」


「ワタシをわざわざこの部屋に呼んだってことは何かあるんですよね?」


「さすが、聖騎士団団長様だねぇ。」


「心にもない誉め言葉はいいので、本題を。こちらも別で頼みたいことがありますので。」


 ギルマスが俺を軽く一瞥し何かを思案した後、話し出した。


「んじゃ早速。・・・最近、王都で”男性”を狙った人攫いが多発してやがる。多分・・」


「捕らえた男性を法国に送ってると。さらに陽光教も一枚嚙んでいるとかでしょう?」


「あッ・・・あぁ・・・」


「ワタシが陽光教に居るとき、少なかったのですが”男性の保護”という名目で誘拐じみた真似をしていることは聞いたことがありますので。」


「・・・ああ、さすがだ。俺が最近掴んだ情報なんだが、最近目に余るほど()()()()が増えてるんだと。王家も頭を悩ませているらしい案件でな。

 ここには最近陽光教に反目した聖騎士団団長さまが王都にいらっしゃるらしいので、その方に協力して貰い保護活動の取り締まりと牽制をやって頂けたらとね。正直、完全に法国や陽光教に弓引く形になるから、引き受けるメリットはお前にあまり無いかもしれんが、どうしてもお願いしたい。」


「ふむ・・・・。」


 おっと、何だか急にきな臭い話が出てきたんですが、自分Atk1なのでリオンの応援として頑張る所存であります。


「こちらの頼み事も聞いていただけますか?」


「聞ける範囲内で頼むぜ。」


「こちらにいらっしゃるヒカリさまを鉄鋼級アイアンクラスでの冒険者登録と」


「と?」


「ワタシとヒカリさまのPTパーティ登録、あと冒険者ギルド保管の”鑑定”の魔法書の提供をお願いします。」


 おっ!鑑定の魔法書って冒険者ギルド保管なんだ!リオンさま、覚えててくれたんだね・・・さすがっすわ・・・。これで鑑定を覚えれば、俺でもリオンの役に少しは立てると思う!


「おいおい、規定で初心者の登録は銅級(カッパー)からだし、PTは4人以上じゃないとダメだって規則(ルール)だぜ?しかも鑑定の魔法書は低等級だと悪用する危険性を鑑みて、白金等級以上のPTのみへの貸し出しだ、お前単体でも等級が一つ足りてないぜ?」


「協力するので特別扱いしろって言ってるんですが。」


「・・・わーった。PTと鑑定魔法書の件は了解した。お前がいるからな。ただ、せめてそこのヒカリって娘の等級は青銅級ブロンズクラスじゃダメか?」


「3つ下までの等級じゃないと同じPTでも一緒に任務や迷宮には行けないんじゃありませんでしたか?」


「なるほど、そういうことか。・・・分かった。俺も女だ、女に2言はねーよ。その代わり、取り締まりと牽制の期間は2週間程度だ。報酬はギルドから()()()()()1()0()()()()()()()()()()()()だ。」


「交渉成立ですね。」


「ああ、成立だ。」


 何か、異世界イケメンシーンを見せつけられたんだが。俺、交渉中背景要員やんけ。何か自動で冒険者等級が上がりそうですが・・・んんんっ?異世界での名声アップってこんな感じだったか?


 低い等級で薬草狩りに行って、強い魔物シバイて、あれ?俺なんかやっちゃいました?で等級アップ、惚れる抱いてっ!ていう流れじゃなかった?ギルマスと交渉して等級上げてたっけ?


 ・・・・うん、リオンに全てお任せ状態だから結果オーライでいいか、こまけぇこたぁいいんだぜ、OK!OK!


「ところで、お前らのPT名は決まってるのか?」


「ええ、決まっています。」


 おっ、リオンここ大事よ!俺的にはちょっとネタ的には「~~団」とか面白いんじゃないかと思ってるんだよね。「SOS団」とかね。格好良さなら「ブラック・ロータス」とか、「風の~~~」とか良いよね!宗教的に色々あるかもしれんけど「聖~~~」とか入れても恰好いいかもしんないよっ!


 よっしゃリオンさん、とっても良いやつ言ったって!



「_____月の光(ツキノヒカリ)教団(キョウダン)____通称、月光(ゲッコウ)







 _________________ふぁッ?


ようやく月の光教団立ち上げまで辿り着きました。

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