閑話 宿屋にて
基本は毎週金曜18:00頃更新予定です。
書き溜め分が無くなりました。
陽光教からの追手を壊滅させた後、俺とリオンはドミナリア森林を抜け、アヴァリスィア王国王都グラントにやってきた。
王都グラントは四方を高い擁壁で覆われており、これぞナーロッパというようなレンガ造りの建物や教会がある中世の香り漂う街並みが広がっている。
オ・・・オラわくわくすっぞ!
俺たちは、日も大分暮れた頃に王都グラントに到着したんだけど、リオンから俺の黒髪と瞳は目立つからという理由で、修道帽を被らされ白シャツ+修道帽という奇抜なファッションで門番チェックを受けることになった。
ガイアが俺に囁いてるようだな。
門番達は俺の瞳の色に驚いてはいたものの、男性とは気づかれなかったので簡単なボディチェックで街の中に入れた。
気づかれていたらそれはもう、凄いことになったらしい。(リオン(19)談)
凄い事の内容kwsk!
裏門と呼ばれるドミナリア森林側の門をくぐって、すぐ近くの「宿り木亭」という宿を取り、物凄く濃い1日の疲れを癒すことにした。
無事に王都に到着した俺たちだが、ここで非常に大きな問題が発生した。
俺、無一文なんですけど・・・
「ごめん!リオン、申し訳ないんだけど宿代と食事代持ってないんで借りてもいい?」
「何を言ってるんですか?ヒカリさまの分はワタシが支払いますよ?」
「文無し甲斐性なしでごめん・・・。働いて必ず返します。」
「いえ、ヒカリさまの使徒たるワタシが支払うのが当然というものです。もし、返していただくなら、ヒカリさまのお気持ちだけで結構です。」
めっちゃいい子やで・・・リオン、こんなに美人さんなのに、ママ活みたいになって本当に申し訳ないっす。
よし、まずは行動拠点確保ですな。ご飯も食べてないし、疲れたし、お風呂にも入りたいしまずは宿屋に・・・あ、こっちの世界の文字とかルールとか一切分からないや。
「ごめん、こっちの世界の文字とかルールとか分かってないから、宿屋の受付とかもリオンにお願いしていい?」
「ええ、大丈夫ですよ、全てお任せください。」
なんと、出来た使徒さまなのであろうか。使徒にたかる神、これは悪徳宗教の匂いがしますぞ。異世界に来たばかりでお金も知識すら持っていないので、ここはリオンのご厚意に甘えよう。しっかり働いて返せるように頑張ろ。明日から頑張るっ!
宿屋のドアを開けるとカウンターに50代くらいのおばちゃんが居て、受付を行っていた。
「宿り木亭へようこそ!宿泊かい?食事だけかい?食事はちょっと遅い時間だからありあわせの物になっちゃうけど、どうするかい?」
「宿泊と食事を。部屋は一部屋でお願い致します。少し大きめのベッド一つで構いません。」
ん?今何つった?
一部屋?ベッド一つ?
こんな美女と一緒の部屋で、一緒のベッドとか無理ですよ!?俺のコルトパイソン357がシティハントしちゃう!
ただでさえ、狂気的な“お慕い申し上げます”を受けてるのに、もし何らかの間違いがあった場合、とんでもないことになっちゃう!「なっちゃえばいいじゃないですか。」だから、他人の思考に介入するのはNGで。
「りりりりりりりリオンさん、お・・お部屋は2つにしませんか?」
「あら、ヒカリさま、お金を持ってらっしゃらないのに、もう一つお部屋を取れるのですか?(ニコリ)」
「せせせせせせせせめて、べ・・ベッドを2つに・・・・」
「あらあら、ヒカリさま、無駄遣いはいけませんよ。(ニコリ)」
リオン、謀ったなリオン!
お金を借りさせず、自らの意図する方向へ誘導するなんて、孔明でも思いつかねぇぜ・・・。
ん?でも・・別にリオンさんが良いっていうなら・・・ねぇ。いや、自分は止めたんですが、リオンさんが良いっていうから・・・。俺はほら・・・ねぇ。
「盛り上がってるお二人さんには悪いんだけど、ベッドの貸し出しは無料だよ」
「べべべべべ別に盛り上がってないし!た・・・助かったなぁ(棒読み)」
「チッ」
リオンさん、舌打ちまでしてくれるようになって・・・大分打ち解けた気がしますな。
※ ※ ※ ※ ※
3階建ての宿屋になっており1階が食堂と浴場と受付、2階~3階が宿泊フロアになっているみたいで、1階の食堂で穀物のスープと少し硬めのパンを出してもらった。味はともかくお腹がすいていたので、おかわりをするくらい食べてしまった。
その後、当たり前のようにお風呂は女性用しかないので、リオンに見張ってもらいながらそそくさと入浴し、2人とも大分疲れていたのか食堂で会話をするも口数少な目で、3階にある宿泊部屋に向かった。
さぁ、ここからが本日の大一番ですぜ。
「リ・・リオン、俺、手前のベッドにするから、リオンは奥のちょっと大きめのベッド使ってい・・いいよ。」
よし、自然にリオンを誘導できた。誰が何といおうと自然である。
「・・・ヒカリさま」
「ななななな、なに?」
大丈夫、俺は緊張していない。女子と同室になるなんて生きてきた中で一度もなかったが、大丈夫、俺は自然な対応で行ける。大丈夫大丈夫、相手はちょっと絶世の美女なだけだし・・。
「ワタシは・・・食事中もずっと考えておりました。ヒカリさまはワタシがお嫌いなんじゃないかと。褥を共にすることは勿論、お風呂すら一緒に入浴することを嫌がるほど、ワタシがお嫌いなのでしょうか・・・。ヒカリさまはお優しいから、本当はお嫌いなのを我慢してらっしゃるのではないかと。」
ん?何言っているのこの子。こっちゃあ、我慢の限界なんだよ!!
そりゃル○ンのように「リオンちゃぁぁぁん♡」って飛びつきたいよ??そのあとのやり方は良く分かりませんが。
絶世の美女に慕ってもらえて、ウェルカム状態なのはどんな鈍い奴でも、ここまで来ればさすがに分かるよ。でもね、何というかそれに乗っかるのはズルしてる気がするんだよ。
リオンが慕ってくれてる気持ちは俺の権能の副次効果かもしれないし、何というかこう日々の積み重ねでリオンに認めていってもらって、そういう関係に進みたいというか。
おい、誰だ?童貞臭いって言ったやつ。
でも、まだ出会って1日だけど、死にかけたり命を救ったり、狙われたり、死体を一緒に遺棄したり・・・これ本当に1日の出来事?って思うくらい濃い1日で、感情が揺れるのも分かるんだ。
だけどこっちは29歳の童貞おじさんだから、19歳のリオンには未来があるし、大切にしてほしいと思っちゃうんだよね。
「リオン、落ち着いて聞いてくれる?」
「・・・ハイ・・・」
「あ・・あのね、リオンから慕ってもらえてるのは充分、分かってます。だけどね、自分はまだこの世界に来たばかりだし、リオンが受け入れてくれる優しさに甘えちゃダメだと思うんです。」
「・・・・」
「何というか、リオンは可愛いし綺麗だし、俺の元居た世界じゃ、俺なんかが逆立ちしたって受け入れてもらえるような女性じゃないんだよ。だからさ、何というかリオンには正々堂々慕ってもらいたいというか。この世界で、自分も頑張ってみてさ、認めてもらえたら、その・・・色々させてもらえると嬉しいです、ハイ。」
「・・・・」
「本当は、今すぐリオンに飛びつきたいけど、それをしちゃダメな気がするのね。俺も頑張って我慢しながら、リオンに追いつくことは出来ないかもしれないけど、Lvとかしっかり上げてリオンに認めてもらいたいななんて・・・だから嫌とか嫌いとかじゃないから。む・・・むしろ、容姿も性格も大好きだと思うんですが、我慢してます・・・。い・・以上です・・。」
「~~~~~~っ!」
ガバっとリオンから抱きしめられる。
おっと、先ほど言ったセリフを前言撤回しそうなんですが。
「・・・ヒカリさま」
「ハ・・ハイ」
「これくらいは良いですよね?というかこれぐらいはさせてください。」
私は一向に構わん!
「・・・ハイ」
「ヒカリさまは・・男性なのに魂の在り方が美しいんですね。ワタシはヒカリさまに出会ってからヒカリさまを知るたびに、どんどん惹かれてます。実はヒカリさまをその身に受け入れたくてしょうがありません。・・・でも分かりました、ヒカリさまが物凄く尊い気持ちでワタシを思ってくださること。大切にしてくれてるってことですよね?そういうのはお互いもっと時を重ねてからってことですね?」
「そ・・・そりゃもちろん!大切だし、色々ゆっくり育まさせて頂きたいなと・・。」
「ワタシはヒカリさまに出会えて幸せです。」
そういいながら俺を強めにギュッと強く抱きしめる。
やめて!!色んなダムが決壊しそうなの!!死体が転がってるあの時と違って、静かな宿屋の一室なの!ムード満点なの!”えんだああああああっ”て叫びそうなの我慢してるの!
「では、ワタシはヒカリさまの頑張りをすぐ傍でずっと見守って、お待ちすることにしますね。だからヒカリさまのタイミングでワタシを求めてください。いつでもお待ちしていますよ。・・・ただし、ワタシからはどんどん攻めることにしますね。」
小悪魔警報発令しました!こんなこと生きてるうちに言われるなんて・・・あ、俺1回亡くなってたわ、ヒートショックで。
抱きしめ状態を解かれる俺。少し名残惜しいです。
う~ん勿体ない事したかなぁ・・・。
「だから、ヒカリさまはワタシの誘惑に負けないよう頑張ってくださいね。」
「が・・頑張ります・・。」
「ヒカリさまはワタシを憎からず想っているということでいいんですよね?」
「・・・そりゃもう・・・ハイ・・・。」
「言質、頂きましたよ?心の中ではワタシに色々したいって思ってるんですよね?」
「・・・すみません・・・ハイ・・・。」
おい、何だこれ。恥ずかしさで俺を殺す気か・・・2度目の死因は恥ずか死ですか?
「ちょっともったいない事したなって思ってます?」
「えっっ!」
「少しヒカリさまのことが分かるようになりましたから。」
「か・・・からかわないでよ・・もう・・・。」
「今も未来もワタシは、ヒカリさまを誰よりもお慕いしていますし、誰であろうと負けるつもりもありませんから。」
「だ・・・大丈夫だよ、俺なんてそんなに女性に好かれないよ。」
「フフッ・・・ヒカリさまはご自身のことは何も分かってないんですね。でもそんなヒカリさまをお慕いしてますよ。」
「・・・アリガトウゴザイマス」
そろそろ、俺のHPが0になりそうです。いやホントにありがたいです。
「分かりました、ヒカリさまの気持ちが良く分かったので、今回はこの辺で許してあげますね。今日はお互い、色々ありましたのでゆっくり休みましょう。」
そう言って、俺をお姫様抱っこするリオン。
「ちょっ・・・逆、逆だから!!」
ベッドまで連れていかれて横にされました。やだ・・・格好いい・・・。
「いつかヒカリさまから色々してくださいね。お待ちしてますので。それでは、あなたの信徒は隣で休みますね。今日はこれだけで我慢してあげます。お休みなさい。」
そういって俺のおでこに口づけをするリオン。
・・・君、イケメン過ぎない?
「お・・・おやすみなさい。」
長い長い一日だった気がするけど、素敵な夢が見れそうです。
ありがとう、リオン。
・・
・・・
・・・・
・・・・・寝れるかぁっ!!
こういうシーン大好きなんですけど、書いててすごく照れます。




