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おひとり国王サマ ~毎日忙しい国王は、スキル【冒険の書】で冒険者の旅先へ一瞬でワープして日帰りプチ家出する~  作者: 椎名 富比路
第九章 国王、ソロで隠れ家作り

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第28話 建築開始そうそう、珍客が

 丸太などは、王都から持ってきた。ちゃんと、乾かしてある。

 

 乾かした丸太を、建築スキルで動かす。


 ウッドゴーレムを召喚して、家を組み立ててもらった。

 

 スキルのお陰で、特別な知識なども必要ない。


「よし」

 

 簡素な丸太小屋が、完成した。

 若干小さいが、オレしか使わないからな。広さは、こんなものでいいだろう。


 水車も引いちまうもんね。

 

 続いて余った丸太を、家具用の木々として使うため、表面を削っていく。

 

 テーブルと、椅子を作った。他には、ここ専用のアイテムボックスを設置しておいた。


 ボックスの中身は、非常食用のメザシだ。

 前にフィオと釣りに行って、近くの宿で大量にメザシを作ってもらった。

 分けると言ったのだが、「こちらも売るほどある」と言われて、保管することにしたのである。

 

 オレでも食いきれない。


 なんかモンスターでも現れて、根こそぎ食ってくれんだろうか? まあ、そんなヤツいねえわな。ガハハ……。


 細かい家具などの製造は、ウッドゴーレムに任せよう。


 さて、本でも読もうっと。


「ああ、眠い」


 いかん。ここで寝てしまったら、まともにゴーレムに指示も出せなくなるではないか。


 しかし、ゴーレムの指揮にここまで脳のリソースを取られるとは。


 読書しながらお手軽にエンジョイDIY、と思っていたが。

 やはりDIYの本質は、「自分でやれ」ってことか。


 限界だ。ゴーレムも休ませてちょいと休もう。


「おっと、小一時間は寝てしまったか?」


 早く帰らないと、王都に怪しまれる。

 

「ん、なんだコイツは?」


 白い毛玉のような物体が、オレの側でゼエゼエと息を荒くしていた。犬型のモンスターか。なんて巨大な生き物だろう?


「お前、ケガをしているのか?」


 この魔物、足にケガをしていているようである。

 

 傷口を洗い、回復魔法を注ぐ。


 オレを蹴らんばかりに、魔物はジタバタした。飛び起きることはできないが、オレを蹴り殺すだけの体力はあるみたいだ。


「おお、暴れるんじゃねえよ。ジッとしてろ。そうだ。コイツを食えるか?」


 巨大な犬っころに、メザシを与えてみる。食えるかどうかわからないが、ここまで大きいのだ。味の濃くなった魚くらい、問題なかろう。


「おお、食ってる食ってる」


 わっしわっしと、ワン公は元気よくメザシを食い始めた。


 モリモリと食ってもらっている間に、オレは治癒魔法を施す。


「よし、これでよくなったぜ」


 いやはや、まさかメザシを消費してくれる魔物が現れるとは。


「ニンゲンよ、感謝する」


 お? コイツ、しゃべることができたのかよ?


「おそらくニンゲンの食い物をもらったことで、魔物の言葉を魔力でお主に伝達できるようになったらしい」


「そうかよ。オレはローガンだ。お前さんは?」


「名前はない。グラシャ=ラボラスと呼ばれておる」


 えーっ。災害級の魔物じゃねえか。


 大きな翼も、図体も、白い。猛禽の前足と瞳以外、なにもかもが白かった。

 グリフォンだと頭が鷹なのだが、グラシャ=ラボラスは頭が狼だ。

 たしか、翼が布団用の素材としてめっちゃ高く売れる。


「しかし、冒険者に狩られそうになってな。命からがら逃げてきたのだ」


「負けたのか?」


「勝ったわい! 前足で軽くポーンと追っ払ってやったぞい」


 茶化すと、グラシャ=ラボラスは激昂した。


「ふうむ。じゃあ、オレがかくまっても、また別の冒険者に狩られそうになると」


「そうなる」


 もう負けた冒険者が、コイツの存在を冒険者ギルドに報告しているだろう。


「だが、突破口はあるぞ」


「……契約か?」

 

 魔物は、人間と契約することで、使い魔として第二の人生を歩むことができる。


 とはいえ、自分から人と契約したがるような魔物なんて、まずいない。


 オレとのケンカに負けたドラゴン【如月(キサラギ)】でさえ、オレとの契約を拒否った。


 魔物にとって、主導権を握られるってのは、それくらい抵抗があるのである。


「お主は、命の恩人なり。このまま得体のしれぬ輩の素材になるくらいなら、お主と契約をしてやろうではないか」


「してやろう」、ですかい? 随分と、尊大じゃありゃせんか?


 まあ、いいや。ここで問答して戦闘、なんて気分にはなれないな。


 ここはオレの癒し空間なんだ。トレーニング施設じゃねえんだよ。


「わかった。契約といこうじゃんか」


「話が早くて助かる。して、この小屋を守ってやればよいのか?」


「ああ。オレがいない間に、スキに使ってくれよ」


「心得た。番犬としてはちと巨大すぎるが」


「お前用の犬小屋も、建ててやるよ」


 予定とはちょっとかけ離れてしまったが、話し相手がいるってのは楽しい。

 

「それでは、契約の儀式と行こう」


 そうだな。うかうかしてられん。もうすぐ、冒険者が報復に来てしまう。


 やられちまう前に、使い魔にしてやる。


「どうすれば?」


「名付けよ。続いて、お主の血を舐めさせよ」


「わかったぜ。グラシャ=ラボラス。お気に入りの名前とかはあるか?」


「お主が決めてくれれば、従おう」

 

 うーん。名付けセンスなんて、ねえんだよなあ。

 ほとんど、王妃が決めちまうから。

 孫の名前だって、王妃が決めちまった。


「お前はオス、メスどっちだ?」


「オスである」


「じゃあ、マーヴェリックだ」

 

「ほう、一匹狼(マーヴェリック)とな?」

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