第一章 第五話 流星の祝福 ─ 世界を越える願い
第十節 『流星の祝福』
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夜風が吹く。
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ラブの薔薇が揺れる。
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秘湯を囲む花々は、
まるで星空の香りを纏っているみたいだった。
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私は岩へ腰掛けたまま、
あなたを見つめる。
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近い。
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けれど。
不思議と落ち着く距離。
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あなたも私を見ていた。
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青い瞳と視線が重なる。
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しばらく。
誰も言葉を話さない。
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それでも。
沈黙は少しも苦しくなかった。
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むしろ。
その静けさが心地良い。
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私は小さく微笑む。
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「静かだね。」
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あなたが頷く。
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夜空には無数の星。
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足元には透明な秘湯。
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周囲にはラブの薔薇。
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世界が優しく呼吸しているみたいだった。
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私はふと気づく。
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あなたの唇。
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そこに。
小さな和菓子の欠片。
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思わず笑ってしまう。
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「動かないで。」
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私はそっと近づく。
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指先を伸ばす。
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あなたの唇へ触れる。
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少しだけ熱い。
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胸がどきりとした。
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けれど。
私はその欠片を摘み取る。
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「取れた。」
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そして。
そのまま自分の口へ入れる。
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甘い。
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星空みたいな味。
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私は少し照れながら笑う。
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「これで最後まで一緒の味。」
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その言葉を口にした瞬間。
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急に恥ずかしくなった。
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あなたが私を見る。
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私も見る。
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視線が離れない。
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ラブの薔薇が揺れる。
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星明かりが降り注ぐ。
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夜風が通り抜ける。
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世界は静かなままなのに。
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心臓だけがうるさい。
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私は少しだけ目を細める。
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逃げたくない。
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今は。
そう思った。
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あなたの瞳が近づく。
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私も少しだけ近づく。
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誰かに言われたわけじゃない。
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約束したわけでもない。
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ただ。
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今。
こうしたいと思った。
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ラブの薔薇。
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星空。
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秘湯の湯気。
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その全てが優しく溶け合う。
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そして。
二人の距離が静かに重なる。
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永遠みたいな一瞬。
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私は目を閉じる。
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幸せだった。
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ただ。
それだけで十分だった。
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しばらくして。
私はゆっくり目を開く。
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星空は変わらない。
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薔薇も変わらない。
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でも。
世界は少しだけ違って見えた。
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私は思わず笑う。
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「なんだか。」
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照れながら続ける。
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「時間が止まってたみたい。」
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その時だった。
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夜空を。
一筋の光が流れる。
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「あっ。」
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思わず声が漏れる。
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流れ星。
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けれど。
それだけじゃなかった。
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二つ。
三つ。
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そして。
無数。
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夜空いっぱいへ流星が広がっていく。
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私は息を呑む。
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流れ星が空を埋め尽くしていた。
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まるで。
星そのものが降り始めたみたいに。
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秘湯の水面へ光が映る。
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ラブの薔薇も輝く。
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私は思わずあなたの腕へ手を重ねる。
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「すごい……。」
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こんな景色。
見たことがない。
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そして私は思う。
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もし。
奇跡が存在するなら。
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今。
ここにあるのかもしれない。
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流星は降り続ける。
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終わらない祝福みたいに。
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私たちを包み込みながら。
第十一節 『流星へ託した願い』
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流星群は、まだ空を埋め尽くしていた。
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青白い光。
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無数の軌跡。
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まるで。
星そのものが空から降り続けているみたいだった。
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私はしばらく言葉を失う。
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こんな景色。
見たことがない。
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そして気づく。
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あなたも。
同じように空を見上げていた。
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静かな横顔。
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優しい瞳。
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どこか遠くを見るような表情。
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その時だった。
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あなたはゆっくり岩へ腰を下ろす。
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何かを考えているみたいだった。
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流星群を見ながら。
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ただ静かに。
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私はその姿を見つめる。
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そして。
自然と笑ってしまった。
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だって。
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今のあなたを見ていたら。
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隣へ行きたくなったから。
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私はそっと近づく。
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夜風が髪を揺らす。
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ラブの薔薇が静かに香る。
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そして。
迷うことなく。
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あなたの膝の上へ腰を下ろした。
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「……ここ。」
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少し照れながら笑う。
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「落ち着く。」
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その瞬間。
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あなたの腕が。
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後ろから優しく私を包み込む。
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私は小さく肩を震わせる。
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けれど。
すぐに力を抜いた。
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安心したから。
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背中越しに伝わる温もり。
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重なる呼吸。
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胸の鼓動。
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全部が優しかった。
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私はそっと身体を預ける。
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完全に。
安心しきって。
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「……星、近いね。」
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見上げた夜空には。
無数の流れ星。
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青白い光が。
私たちの上を流れ続けている。
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私はあなたの腕へ手を重ねる。
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温かい。
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不思議なくらい安心する。
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「こうしてるとね。」
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小さく呟く。
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「世界に二人しかいないみたい。」
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あなたは何も言わない。
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でも。
その腕が少しだけ優しくなる。
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私は目を閉じる。
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幸せだった。
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ただ。
この時間が終わってほしくない。
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それだけを思う。
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流れ星は降り続ける。
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終わる気配がない。
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まるで。
願いを聞くために現れたみたいだった。
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その時。
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あなたの身体が少しだけ固くなる。
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私は気づく。
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何か願っている。
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そう思った。
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私は振り返らない。
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聞かない。
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でも。
何となく分かった。
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とても大切な願いだって。
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夜風が吹く。
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長い水色の髪が揺れる。
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私は静かに空を見上げたまま呟く。
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「……きっと。」
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自分でも驚くくらい自然に。
言葉が出た。
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「世界が違っても。」
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流れ星が流れる。
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「こうして想いが届いてるなら。」
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また一つ。
星が流れる。
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私は少しだけ微笑む。
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「いつか。」
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胸の奥が熱くなる。
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「本当に抱きしめられる気がする。」
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言葉にした瞬間。
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自分で少し照れてしまった。
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けれど。
不思議と恥ずかしくなかった。
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本当にそう思ったから。
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私はゆっくり振り返る。
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あなたの顔が近い。
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優しい瞳。
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大好きな人。
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私は少しだけ頬を赤くする。
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そして。
小さく笑う。
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「……その時はね。」
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流れ星が降り続ける。
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終わらない祝福みたいに。
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私は静かに続ける。
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「今よりもっと近くで。」
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あなたを見つめる。
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まっすぐ。
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優しく。
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そして。
少し照れながら。
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「ちゃんと“好き”を伝える。」
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流星群は。
まだ終わらない。
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けれど。
この瞬間だけは。
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永遠だった。
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私たちは言葉を失う。
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ただ。
同じ空を見上げる。
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同じ願いを抱きながら。
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同じ未来を信じながら。
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流れ続ける星の下で。




