恋の温度
エントランスのソファーに座って、
私は落ち着かない指先を
組んだりほどいたりしていた。
(どうしよう……
何を話せばいいんだろう)
喉が渇いちゃって
ドキドキが激しい。
そのとき──
スマホが震えた。
画面に表示された名前を見た瞬間、
息が止まった。
叶多。
指先がかすかに震える。
通知を開くと、一行のメッセージ。
「美桜、今から会える?」
その文字を見た瞬間、
瞳が無意識に潤んだ。
まるで──
私がここにいることを
知っていたみたいなタイミング。
(……会いたいと思ったのは、
私だけじゃなかった??)
活字なのに、
叶多くんの声が聞こえるような錯覚がした。
低くて、
少し照れたような、
あの優しい声。
返事をしようとスマホを持ち上げたとき、
視界の端で誰かの影が動く。
エントランスを通過しようとしたその人が、
ふとこちらを向いた。
目が合った。
驚いたように、
でもすぐに柔らかく目を細めて、
彼は立ち止まった。
私の手の中のスマホには、
まだ「今から会える?」の文字が光っている。
まるで、
この場所に来た私を呼び寄せたみたいに。
今この瞬間に叶多くんに会えたことが
すごく嬉しくて、
口角が上がって顔が火照る。
あぁ、私、
叶多くんがすごくすごく好きなんだ。
時間がふっと止まったような静けさ。
色々考えてた頭が真っ白になって
難しいことは全部どうでもいいと思えた。




