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タイムカプセル~10年前のラブレター~  作者: 柚原 澄香


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恋の温度

エントランスのソファーに座って、

私は落ち着かない指先を

組んだりほどいたりしていた。


(どうしよう……

何を話せばいいんだろう)


喉が渇いちゃって

ドキドキが激しい。



そのとき──

スマホが震えた。


画面に表示された名前を見た瞬間、

息が止まった。



叶多。



指先がかすかに震える。

通知を開くと、一行のメッセージ。



「美桜、今から会える?」


その文字を見た瞬間、

瞳が無意識に潤んだ。


まるで──

私がここにいることを

知っていたみたいなタイミング。



(……会いたいと思ったのは、

私だけじゃなかった??)



活字なのに、

叶多くんの声が聞こえるような錯覚がした。


低くて、

少し照れたような、

あの優しい声。


返事をしようとスマホを持ち上げたとき、

視界の端で誰かの影が動く。


エントランスを通過しようとしたその人が、

ふとこちらを向いた。




目が合った。




驚いたように、

でもすぐに柔らかく目を細めて、

彼は立ち止まった。


私の手の中のスマホには、

まだ「今から会える?」の文字が光っている。


まるで、

この場所に来た私を呼び寄せたみたいに。


今この瞬間に叶多くんに会えたことが

すごく嬉しくて、

口角が上がって顔が火照る。


あぁ、私、

叶多くんがすごくすごく好きなんだ。


時間がふっと止まったような静けさ。

色々考えてた頭が真っ白になって

難しいことは全部どうでもいいと思えた。

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