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一番自分が動きたい方へ
タイムカプセルを書いた人は──
ほぼ確定だと思った。
嬉しい気持ちと、戸惑う気持ちが半分ずつ。
どちらも嘘じゃない。
(どうして……
今になって、彼は私の前に現れたんだろう)
10年前の四文字。
今の彼のまっすぐな眼差し。
全部が頭の中で一度に動き出して、
胸の奥がいっぱいになる。
考えれば考えるほど、
答えは見えないままなのに、
心だけが前へ進もうとしていた。
(……一番、
自分が動きたい方向を大事にしよう)
誰かに埋めてもらう恋じゃなくて、
自分で選ぶ恋をしたいから。
その気持ちが、静かに背中を押す。
(直接……本人に聞こう)
そう思った瞬間、
身体が自然に動いていた。
約束もしていないのに、
私は会社のエントランスに向かっていた。
会える保証なんてない。
むしろ会えない可能性のほうが高い。
それでも──
(なんだか……会える気がする)
胸の奥の熱が、
そのまま足を前へ運ばせた。
エントランスのソファーに座り
彼を待とうと思った。
会えても何を話したらいいのか
どう聞けばいいのか
全く整理できてないし
顔を見たら固まっちゃって
何も言えなくなってしまいそうだけど。
自分で選んだ場所にいることが
少しだけ誇らしかった。




