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叶多の戸惑い
昼休み、
秘書が何気なく話した。
「田島さん、言っていました。
“彼女が他の男と会ってた”って」
その瞬間、
匂わせだと気づいた。
名前は出されていない。
でも——
自分のことだと分かった。
(……俺のことだな)
怒りというより、
胸の奥が冷たくなる感覚。
美桜が傷つくのが分かる。
自分との時間が“噂”にされるのが許せない。
そして——
田島が美桜に執着していることも、
はっきり分かった。
(美桜……大丈夫かな)
次の約束をしたばかりなのに、
その約束が少しだけ遠く感じる。
でも——
それでも会いたい。
美桜の「会いたい」が胸に残っている。
田島は、なぜ美桜に執着しはじめた?
(俺が……守らないと)
静かに、
でも確かに、
胸の奥で何かが燃え始めていた。




