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ただ失いたくないという執着
美桜が離れようとしている——
その気配を感じた瞬間、焦りを感じた。
(やべぇ……美桜、離れる)
一気に不安が強くなる。
だから他の女との関係を切った。
彼女とも別れた。
全部「もう連絡しない」と言った。
美桜に見せるために。
「俺、変わるから。昔の俺じゃない」
そう言えば戻ってくると思っていた。
でも、
胸の奥には別の感情もあった。
(あいつ……と何かあるのか?)
会社で、
わざと名前を出さずに言いふらした。
「俺がいながら、
彼女がほかの男と二人で会ってたっぽいんだよね」
誰のことかは、
聞いたやつならすぐ分かる。
(俺の女だぞ)
嫉妬が胸を焼く。
美桜を失いたくない。
あいつに渡したくない。
だから、優しさを見せて縛りつける。
噂を流して揺さぶる。
(戻ってこいよ、美桜)
その思いだけが、胸の奥で膨らんでいた。




