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叶多の決心
腕の中で泣きじゃくる美桜の震えが、
そのまま胸に伝わってくる。
こんなに苦しい思いをしていたなんて。 こんなに一人で抱え込んでいたなんて。
もっと早く気づけていたら——
そんな後悔が胸を刺した。
でも同時に、
強く思った。
(俺が……美桜を幸せにしたい)
その気持ちは、
さっきよりもずっとはっきりしていた。
美桜は 田島と別れたい と言った。
それだけは救いだった。
自分の気持ちはもう伝えてある。
そして美桜は、
言いにくいはずの田島のことを、
勇気を出して話してくれた。
それだけで十分だった。
少なくとも——
嫌われてはいない。
むしろ、頼ってくれた。
その事実が胸の奥で静かに灯る。
美桜の頭にそっと手を置き、
ゆっくり、ゆっくり撫でる。
「……大丈夫だよ」
その言葉は慰めじゃない。
約束でもない。
ただ、
今の美桜に必要だと思ったから。
美桜の涙が、
俺の胸元に落ちていく。
その温度が、
もっと守りたいという気持ちを強くした。




