乙女な気持ちに
画面に表示された叶多くんの返信を、
何度も読み返してしまう。
> 『お礼なんて別にいいのに。
> でも、せっかくだから、飲みにでも行くか?』
胸の奥が、
またじんわり熱くなる。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
でも——
行きたい。
その気持ちが、
自分でも驚くほどはっきりしていた。
「……行きたい、よね……」
小さくつぶやいた瞬間、
指が勝手に動いた。
> 『ぜひお願いします』
送った。
勢いで。
考えるより先に。
送信ボタンを押したあと、
ようやく我に返る。
「えっ……ちょ、ちょっと待って……!」
でももう遅い。
メッセージは飛んでいった。
胸がドキドキして、
息が浅くなる。
でも——
不思議と後悔はなかった。
むしろ、
胸の奥がふわっと軽くなる。
「……どうしよう……嬉しい……」
頬が熱くなるのを感じながら、
夜道を歩き出す。
家に向かう途中、
ふとショーウィンドウに映った自分の姿が目に入った。
仕事帰りの疲れた顔。
適当にまとめた髪。
無難な服。
「……新しい服、買いに行こうかな」
ぽつりとこぼれた言葉に、
自分で笑ってしまう。
こんな気持ち、
いつぶりだろう。
誰かに会うために、
服を選びたいなんて。
胸がふわふわして、
足取りが軽くなる。
「何着よう……どうしよう……」
考えるだけで、
また頬が熱くなる。
亮介と会った帰り道なのに、
今、心を占めているのは——
叶多くんと飲みに行く日のことだけだった。




