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タイムカプセル~10年前のラブレター~  作者: 柚原 澄香


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乙女な気持ちに

画面に表示された叶多くんの返信を、

何度も読み返してしまう。


> 『お礼なんて別にいいのに。

> でも、せっかくだから、飲みにでも行くか?』


胸の奥が、

またじんわり熱くなる。


どうしよう。

どうしよう。

どうしよう。


でも——

行きたい。


その気持ちが、

自分でも驚くほどはっきりしていた。


「……行きたい、よね……」


小さくつぶやいた瞬間、

指が勝手に動いた。


> 『ぜひお願いします』


送った。

勢いで。

考えるより先に。


送信ボタンを押したあと、

ようやく我に返る。


「えっ……ちょ、ちょっと待って……!」


でももう遅い。

メッセージは飛んでいった。


胸がドキドキして、

息が浅くなる。


でも——

不思議と後悔はなかった。


むしろ、

胸の奥がふわっと軽くなる。


「……どうしよう……嬉しい……」


頬が熱くなるのを感じながら、

夜道を歩き出す。



家に向かう途中、

ふとショーウィンドウに映った自分の姿が目に入った。


仕事帰りの疲れた顔。

適当にまとめた髪。

無難な服。


「……新しい服、買いに行こうかな」


ぽつりとこぼれた言葉に、

自分で笑ってしまう。


こんな気持ち、

いつぶりだろう。


誰かに会うために、

服を選びたいなんて。


胸がふわふわして、

足取りが軽くなる。


「何着よう……どうしよう……」


考えるだけで、

また頬が熱くなる。


亮介と会った帰り道なのに、

今、心を占めているのは——

叶多くんと飲みに行く日のことだけだった。

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