もうそれは恋なのでは?
体調が戻ってから数日。
もうすっかり元気で、
またいつものように仕事を詰め込んでいる。
資料をまとめて、
メールを返して、
会議で意見を求められて——
そんな“いつもの日常”のはずなのに。
ふとした瞬間に、
叶多くんの顔が浮かぶ。
玄関の前の袋。
「ちゃんと休んで」
あの短いメッセージ。
思い出すたびに、
胸の奥がじんわり熱くなる。
休憩中、
スマホを手に取る。
画面を開くと、
“叶多”という名前がそこにある。
それだけで、
胸がドキッと跳ねた。
「……なんでこんなに緊張してるの……」
自分でもわからない。
仕事のメールなんて、
どれだけ山積みでも平気なのに。
上司からの連絡だって、
深夜でも淡々と返せるのに。
なのに——
叶多くんへの“ひと言”が打てない。
頬がかぁっと熱くなる。
「心配してくれてるかもしれないのに……
連絡するのが礼儀だと思うのに……」
頭ではそう思っているのに、
指が震えて、
送信ボタンに触れられない。
ドキドキしすぎて、
胸が苦しい。
こんな気持ちになるなんて、
思ってもみなかった。
「……連絡、したいのに……」
声に出した瞬間、
胸の奥がまた熱くなる。
体調はもう大丈夫。
助けてもらう理由もない。
だから——
口実がない。
ただ連絡したいだけなんて、
そんなのどう言えばいいのかわからない。
スマホを見つめて、
またため息が漏れた。
頬が熱い。
胸が苦しい。
どうしてこんなに、
叶多くんのことを考えてしまうんだろう。




