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タイムカプセル~10年前のラブレター~  作者: 柚原 澄香


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温かい涙

涙が落ち着くまで、

しばらくベッドの上で丸くなっていた。


胸の奥がまだ熱い。

呼吸も少し乱れている。


スマホを胸に抱いたまま、

画面をそっと見下ろす。


“叶多”


その名前が、

自分のスマホにある。


それだけで、

また涙がにじみそうになる。


——返信、しなきゃ。


そう思った瞬間、

指が震えた。


何を送ればいいんだろう。

どう言えばいいんだろう。


長い文章なんて書けない。

頭がぼんやりして、

言葉がまとまらない。


でも——

ありがとうだけは伝えたい。


震える指で、

ゆっくり文字を打つ。


> 『ありがとう。

> 本当に助かりました。』


送信ボタンを押す前に、

少しだけ迷った。


……これだけじゃ足りない気がする。


胸の奥が、

またじんわり熱くなる。


もう一行、

そっと付け足した。


> 『元気になったら、何かお礼させてください。』


送信。


画面に小さく

“送信しました”

の文字が出た瞬間、

胸がぎゅっと締めつけられた。


——どうしよう。


また涙がこぼれそうになる。


でも今度は、

さっきより少しだけ温かい涙だった。

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