↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイムカプセル~10年前のラブレター~  作者: 柚原 澄香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/106

揺るがない想い

忙しい日々が続いていたある夜、

父から「応接室に来い」と呼び出しがあった。


扉を開けると、

上品な和装の女性と、その隣に若い女性が座っていた。


父が言う。


「取引先の会長のご令嬢だ。

 ……縁談の話が出ている」


女性は丁寧に頭を下げ、柔らかく微笑んだ。

礼儀正しく、品がある。

誰が見ても申し分ない相手だ。


叶多も礼儀正しく挨拶を返す。


「お会いできて光栄です。

 ただ、今は仕事に集中しておりまして……

 失礼があってはいけませんので」


やんわりと、しかし確実に距離を置く。


女性は微笑みを崩さず、

「お忙しいのですね」と静かに頷いた。


応接室を出たあと、

父が小さく息をついた。


「……どうするつもりだ」


叶多は迷わず答えた。


「今は、誰かとそういう話をするつもりはありません」


父は目を細めたが、反対はしなかった。


廊下に出た瞬間、

胸の奥に静かな熱が広がった。


俺には、会いたい人がいる。

ずっと向き合いたかった人がいる。


忙しさに流されるつもりはない。

縁談で誤魔化すつもりもない。


美桜に胸を張って会いに行くために、

今の自分がある。


夜風を吸い込みながら、

叶多は静かに決意を固めた。


——必ず会いに行く。

 この日々が落ち着いたら。


その想いだけは、誰にも揺らせなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。