表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タイムカプセル~10年前のラブレター~  作者: 柚原 澄香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/101

見たくないのに聞きたくないのに

ホテルのバーは、

落ち着いた照明と低い音楽が流れる大人の空間だった。


田島と美桜は、

カウンターの端、照明が柔らかく落ちる席に案内された。


彼は少し離れた席に座り、

メニューを開くふりをしながら

視界の端で二人を捉える。


照明のせいか、

美桜の横顔がやけにきれいに見えた。


——なんでこんな場所、選ぶんだよ。


胸の奥がじりじりと焼ける。


田島はグラスを軽く揺らしながら、

美桜の顔を覗き込むようにして言った。


「美桜ってさ、

 こういう照明、似合うよな。

 前から思ってたけど……

 綺麗だよ。ほんと。」


歯が浮くような台詞。

でも田島は慣れた口調で言う。


美桜は困ったように笑って、

グラスに視線を落とした。


「そんなことないよ……」


「あるって。

 俺、嘘つかないタイプだからさ」


——嘘しかつかないくせに。


彼の胸が、

ぎゅっと締めつけられる。


田島はさらに距離を詰める。


「今日も頑張ったんだろ?

 顔に出てるよ。

 ……可愛いけど」


その瞬間、

彼の呼吸が止まった。


照明が美桜をきれいに見せる。

田島はそれをわかって言っている。

美桜は照れたように笑う。


——見たくない。

——でも目が離せない。


彼は自分の手が震えていることに気づいた。


俺、なにやってるんだろう。

 なんでこんな場所で、

 二人の距離を数えてるんだ。


でも席を立てなかった。


田島の声が、

また甘く落ちる。


「美桜、

 俺さ……

 お前といると落ち着くんだよね」


その言葉に、

彼の胸の奥で何かが静かに軋んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ