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タイムカプセル~10年前のラブレター~  作者: 柚原 澄香


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21/101

同窓会の夜のオフィス

オフィスのフロアは、

もう誰もいなかった。


パソコンの画面だけが青白く光って、

企画書の途中で止まった文章が

虚しく瞬いている。


「……今日は無理だな」


椅子から立ち上がると、

肩が重くて笑ってしまった。


スマホには、

彼氏からの未読がひとつ。


> 会えない?


返さない。

返す必要もない。


だって自分は本命じゃない。

時間が合えば会うだけの関係。

今日はそういう気分じゃなかった。


グループLINEの未読はさらに増えていた。

同窓会の写真が流れてくる。


楽しそうな笑顔。

懐かしい顔。


興味なんてないはずなのに、

誰かを探しているような気もする。


終電が近い。

エレベーターに向かう足音が、

静まり返ったフロアに響く。


このビルには、

夜遅くまで灯りがついているフロアがいくつもある。


同じビルのどこかで、

誰かがまだ働いている。


そんなことを思いながら、

彼女はエレベーターのボタンを押した。

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