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10年前と今が交わるとき
「10年前、
生徒会長だった俺は、
卒業記念にタイムカプセルを提案した。」
美桜が紙を握りしめる。
その指先が、少し震えている。
「実施までこぎつけたのは……
正直、半分は自分のためだった。」
叶多は
少しだけ視線を落とした。
「当時の俺は、
美桜に釣り合わないと思ってた。
親に敷かれたレールの上を歩くしかないって、
ずっと思ってたし……
自分の要望なんて通らないだろうって、
諦めてた。」
美桜が息を飲む音がした。
「だから……
気持ちを伝えられなかった。」
その言葉は、
10年前の痛みをそのまま抱えていた。
「でも、美桜以外は考えられなかった。」
胸の奥が熱くなる。
言葉が自然と溢れていく。
「美桜に見合う男になろうって決めた。
タイムカプセルが届く頃には、
胸を張って“好きだ”って言えるように……
人生設計を立てた。」
叶多は苦笑した。
「勝手だよな……本当に。」
美桜は首を横に振った。
強く、迷いなく。
その仕草が胸に刺さる。
叶多はゆっくり美桜を見る。
「だから……
あの頃伝えられなかった気持ちを、
ちゃんと伝えたいんだ。」
「本当に勝手なんだけど……
聞いてくれるかな?」
美桜の瞳が揺れた。
涙の気配が、静かに光った。




