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フォン・ロートシュタイン家の王

「運んでくれ、少年! 私を運ぶんだ!」玉座の間の向こう側にある席から、アーウィンが金切り声を上げた。


私は石の床に武器を置き去りにしたまま彼のもとへと駆け寄り、傷だらけの司祭を抱き上げて、その友人のもとへと運んだ。


「……彼は誓ったのだ……私の兄弟が、誓ったのだ……その時が来た……あの余計な口出しばかりする奴はどこだ――」


「これ以上、罪を重ねてはなりません、兄弟」アーウィンはそう諫めたが、言葉を発するたびに痛みに顔を歪め、奥歯を食いしばっていた。


「私に、まだ許しはあるのか? これほど多くのことをしでかしておいて? これほど多くの人々を――」狂王の声が途切れた。その時、アーウィンが祈りを捧げ始め、ローブの懐から取り出した小瓶に入った聖油をウールリヒに塗布した。


「安らかにお眠りなさい、兄弟」アーウィンはそう締めくくった。


「まだだ……あの『何か』が生きているうちは、まだ終われない。奴を打ち砕け、兄弟よ、粉々に叩き潰すのだ……あの怪物め……あの悪魔め……私の家族を毒牙にかけたあの存在を。私への愛があるのなら、頼むから――!」


「もう十分です。目を閉じてお休みください。主がお望みになることは、私がすべて成し遂げましょう」アーウィンはそう約束した。


ウールリヒ・フォン・ロートシュタインの体が静止した。その顔には、穏やかな笑みが浮かんでいた。


「一体、彼は何の話をしていたの?」リリヤが尋ねた。


「アーウィン……急いで……」部屋の反対側から、か細い声が聞こえてきた。


私たち三人は、急いでレディ・アリヤサナのもとへと駆け寄った。


彼女の姿はひどくやつれ果てていたが、アーウィンは即座に彼女の治療に取り掛かった。


「あれが怒っているわ……力を蓄えている……生き延びるために何をすべきか、理解してしまったのよ――」エルフの女性は、司祭に必死で訴えかけながら、痛みに耐えて体を起こそうともがいていた。


「分かっていますよ、お嬢さん。私にも感じ取れます。だからこそ、あなたは心を安らかにして、私が治療に専念できるよう身を委ねるべきなのです。そうでしょう?」アーウィンの言葉は優しさに満ちていたが、その口調も、そして魔術師の体を再び横たわらせるその手つきも、確固たる強さを秘めていた。


それから間もなく、無数の金色の光の筋が彼女の体内を巡り終えると、アリヤサナの傷は癒えた。彼女が立ち上がると、私たちもそれに倣って立ち上がった。


ウールリヒの遺体へと視線を移した私は、もっと早く遺体に布をかけてやるべきだったと、恥ずかしさを覚えた。私はマントを脱ぎ、亡き王の遺体にかけた。だがその前に、王の王冠と戦斧が消え失せていることに気づいた。


それらを見つけるのは容易だった。戦斧が宙に浮き、その中央の尖塔の頂に、フォン・ロートシュタイン家の王冠が載せられていたからだ。玉座の真上で、それらは静止していた。


「さあ、ここからが正念場だ……」アーウィンは顔を歪めた。


「皆で力を合わせれば、何の問題もないさ」私は司祭にそう約束し、光を放つ石へと向かって歩み出した。仲間たちも、私のすぐ後ろからついてきた。


かつては血のように赤く輝いていたその石は、今は光を弱め、その色合いもより柔らかく穏やかな赤へと変化していた。まるで淡いピンク色のようだった。


「降伏せよ」私はその魔導具に命じた。


「降伏いたします、グリムヴァルドゥス卿。あまりにも長い間、私はあの忌まわしき王の囚われの身でした。私を解放してくださったこと、心より感謝申し上げます」石が語り出した。その声は人の声よりもはるかに大きく響いたが、耳を劈くような不快なものではなかった。それは男性的な、心地よい声だった。私の祖父の声や、ルンデンウィックで私が贔屓にしている店の老店主の声に、どことなく似ていた。


声に反響がないことから、私は悟った。石は、私の心の中に直接語りかけてきているのだと。


「お前たちにも、この声が聞こえているのか?」私は尋ねた。


「ああ、聞こえている」アーウィンが答えた。


「えっ?!」私の背後から、リリヤの怯えたような声が上がった。


「私にも、その石の吐く嘘が聞こえるわ」アリアサナも同調した。


石は一瞬だけ、本来の血のような赤色に強く輝き、そして言葉を続けた。


「なんと辛辣なことか、アリアサナ・ロ・ワナール・ニアリよ」石は私たちの心の中に、完璧な発音でエルフ語を響かせた。「私はただ、感謝の意を伝えているに過ぎないのだ。ウルリヒ・フォン・ロートシュタインとその一族――あの野蛮な軍閥どもは、何世紀にもわたって私を奴隷として扱い、私の崇高な力を戦争のための道具へと変え果てた。彼らはこの地の先住民族を追い出し、女や子供たちを隷属させ、男たちは、自分たちの残忍な手先として使役できない者から順に殺戮していったのだ」石は切々と訴えた。


「嘘だ。すべてが嘘っぱちだ」アーウィンは地面に唾を吐き捨てた。「ここには聖水がある。お前が魔物なのか、それとも別の何らかの魔導の類なのか、正体を暴いてやる――」


私は彼を止めなければならなかった。私は腕を突き出し、司祭を制止した。理由は自分でも定かではなかったが、とにかく私は、この石の言い分を最後まで聞いてやる必要を感じていたのだ。


「正気か、小僧?!」 「放せ!」アーウィンが命じた。


「いや」私は低く、静かに答えた。自ら口にした言葉に、私自身が胸を痛めながら。「なぜかは分からぬが、我々は石の言葉を聞かねばならぬのだ」私はそう懇願した。


ふと、私の心象風景の中に、裸の自分が立っているのが見えた。あたりは赤い霧に包まれている。私は足首まで浸かる温かい深紅の水の中に立っていた。足元は滑らかで温かい大理石のように感じられたが、その感触は決して足に痛みを強いるものではなかった。


「ブリタニアのグリムワルドゥスよ。今、私はお前だけに語りかけている。お前の仲間たちには、我々の声は届かぬ」石は怯えたように、早口で語り出した。「彼らの心は読み取った。奴らは皆、私を破壊しようと企んでおる。ブリタニアの勇敢にして誠実なる騎士よ、私を信じているのはお前だけだ。そして、私の言葉を信じるがいい。奴らは私を破壊するためならば、お前をも殺そうとするだろう」石は、それまでの声とは異なる、甘く優しい女性の声でそう訴えかけた。


「いや」私は心の中で言った。「違う。私は彼らのことを知っている。彼らは善良で、神を敬う人々だ。私を襲うことなど、決してあり得ない」


「知り合ってまだ一日も経っていないではないか。そのうちの一人は、人間ですらないのだぞ。もう一人は『狂王』の親友にして側近……おそらくは、私に近づくために、あえてそのような地位に身を置いたに違いない!」


「いや、彼らは……それに、リリヤはどうなる?」私は言葉を切り、その『石』が少女について何も言及していなかったことに気づいた。


「誰のことだ?」


「イリュリクムのリリヤだ。あの『黒牢』から私を救い出してくれた、あの盗賊の少女のことだ」私はそう答えた。不思議なことに、その少女について知っていることのすべてが、一瞬にして脳裏に蘇ってきたのだ。


「恐れていた以上に事態は深刻だ!」石は私の心の中で震え上がった。「私は、他者と『絆』で結ばれていない時だけ、魔法の力をもって視覚を得ることができる。あの忌まわしき小娘こそ、誰よりも強い動機をもって、お前を打ち倒し、私を奴隷にしようとするだろう!」


「では、どうすればいいのだ?」私は尋ねた。突然、恐怖が込み上げてきたからだ。


霧が晴れ、目の前がはっきりと見えるようになった。そこには一人の女性がいた。私がこれまでに見た中で最も美しいその女性は、淡い赤橙色の空から、ふわりと舞い降りてきたのだ。


彼女は地上に降り立つと、私の方へと歩み寄ってきた。背の高い女性だったが、私より背が高いわけではなかった。彼女が身にまとっていたのは、赤いサテン地のノースリーブのドレス一枚だけ。首の後ろで留められた二本の紐がそれを支え、どこからともなく差し込む光を受けて、艶やかに輝いていた。贅沢な生地は、彼女の豊かな胸と腰の丸みを包み込もうと張り詰めていたが、その緊張が解けるのは、彼女の細くくびれたウエストの部分においてのみだった。私は直感的に悟った。この女性こそが、あの『石』の中に囚われていた存在なのだと。そして、私がその石を手に取り、自らの心へと受け入れた時に初めて、彼女は私の元へと現れることができるのだと。


「私を受け入れて! 私を、あなたのものにして!」彼女はそう懇願し、ひざまずくと、その柔らかな腕を私の素足に絡みつかせた。


その瞬間まで、私が触れたあらゆるものの中で、この女性の肌こそが最も柔らかく感じられた。そして、その透き通るような白い肌は、私がこれまでに知るどんな炎よりも温かく、心地よい温もりを放っていた。


「私を救い出して、勇敢なる騎士様! そうすれば、二人で力を合わせ、この世界の不正を正すことができるのですから!」彼女の輝くような赤い瞳には、涙が溢れんばかりに浮かんでいた。 「斧と王冠を取るがいい。さすれば、汝らはこの世界を統べる王となろう! 我らの力をもってすれば、この世にはびこる邪悪な勢力はついに消え失せ、闇は我らの光の下で滅び去るのだ! もはや孤児も寡婦も、罪人も犠牲者も存在しなくなる!」 彼女は立ち上がり、私から一歩身を引いて、身振り手振りを交えながら高らかに演説を始めた。「万人が『仔羊ラム』を讃え、天国が地上へと降り立つであろう! 汝がなすべきことはただ一つ。私に手を伸ばし、触れることだ。ここも、あそこも、そのすべてに触れ、我ら一つに結ばれるのだ!」 彼女は勝利の陶酔に浸りながら、最後の言葉を喘ぐように口にした。


「お名前を伺ってもよろしいでしょうか、貴婦人マイレディ?」 私はそう問いかけ、その場にひざまずいた。彼女は、深紅の水面を低く覆う霧の中を、ゆっくりと舞うようにして私の方へと近づいてくる。


「私はシャンゴ、大気の女王。汝、我が王となるか?」 彼女は私に向かって手を差し出し、その手を私の手で取ってくれるよう懇願した。


「私は王ではない」 私は答えた。まるで夢から覚めたかのように、ふと我に返ったような気がしたのだ。「私は、騎士だ」


「ならば、我が騎士となれ」 彼女は言った。その声にはかすかな苛立ちが滲んでおり、私を掴もうと、より強い力で手を伸ばしてきた。


「いや。我が剣、我が盾、そして我が命は……」 その名を一瞬忘れてしまっていたことを認めるのは、なんとも痛ましいことだったが、「……エリザベス一世女王陛下にこそ捧げられているのだ」 私は突如としてその名を思い出した。「そして、我が使命――ウルリヒ・フォン・ロートシュタインの処刑という使命には……汝を滅ぼすことも含まれていたのだ!」 私はすべてを思い出した。


彼女の美しい顔に暗雲が立ち込め、この世界の赤き霧が、以前にも増して濃く重く、彼女の背後に集結し始めた。彼女の顔には怒りに満ちた赤黒い血管が浮き上がり、それはまるで、今まさに霧の中で私の周囲を走り抜けている稲妻のようであった。


「ならば誓いを破り、王冠を取るがいい!」 彼女は低く、威嚇するような声で轟かせた。


私たち二人の間に、ロートシュタイン家の王冠が姿を現した。それは完璧な美しさを湛え、眩い光を放っていた。


「それは……ウルリヒと、その先祖代々の王冠だ。私のものではない」 私はそう訂正した。 「違うぞ、愚か者め」シャンゴは再び雷鳴のような声を轟かせた。「それはわらわの王冠だ。なぜなら、わらわこそが――そしていつの世も変わらず――『フォン・ロートシュタイン家』の真の王なのだからな。この国を築き、この王冠を鍛え上げたのは、奴らなどではなく、このわらわの力あってこそだ。ゆえに、誰がそれを戴くべきか決めるのも、このわらわなのだ!」そう言い放つや、彼女はその口から炎を吐き出した。


「我、サー・グリムワルドゥス・ヴァンス、ブリタニアの『黒騎士』として、エリザベス一世女王陛下の御裁定を厳かに布告する。対象は――自称『空の女王』、シャンゴ」私は口上を切り出した。


「やめろっ!」自らに待ち受ける運命を悟ったその怪物は、咆哮する獅子のごとく顔を歪め、絶叫した。


「主なる神により正当に選ばれし君主を惑わし、その道を歪めたる大罪、並びに『エウロパ統一宣言』に定める基準に該当する『魔なる存在』であるという罪により――汝に死刑を宣告する。執行人を見据え、自らの運命を知るがいい」そう告げると、私はポールアックスを構えた。周囲を覆っていた赤色の世界が薄れゆく中、私の鎧と共に手元へと戻ってきたその武器を。そして、ウルリヒの玉座の間という「真実の世界」が、その確かな実在感を露わにした。


その場所で、私はリリヤの姿を捉えた。彼女は歯を食いしばり、逆立てた髪を振り乱しながら、宙に浮かぶ古の戦斧に嵌め込まれた赤い石を、必死にこじ開けようとしていた。


アーウィンとアリヤサナ――二人の瞳は、いずれも赤黒い雲のような濁りに満たされており、私の左右に立つその姿は、まるで石像のように静止していた。


私はリリヤの腰を掴んで引っ張り、彼女も石を引っ張った。二人の力が合わさり、ガラスが割れる音、石が砕ける音、雷鳴が同時に轟くような音が響き渡り、石は外れて部屋を横切って飛んでいった。私はリリヤを立たせた。


アーウィンとアリヤサナ夫人の目に浮かんでいた霧が晴れ、二人ははっと我に返った。


「アーウィン!油だ!石を砕けるように武器を清めてくれ!」私は命じ、司祭は祈りを唱えながら素早く私の武器に油を塗った。


私は石が落ちた場所へ駆け寄り、恐ろしいことに気づいた。石は床に稲妻を放ち、ウルリッヒ・フォン・ロートシュタインの死体に向かって、まばゆいばかりの深紅の弧を描きながら、自ら動いていたのだ。


私は石を追いかけようと飛び上がり、ポールアックスを頭上に高く掲げた。


石もまた、最後の弧を描いて死せる王の額へと飛び上がった。


私は着地を始めた。死体と音源からはまだ数フィート離れていたが、射程圏内だった。


石は狙い通り、ウルリッヒの額の真ん中に着地した。


一瞬、私が遺体にかけたぼろぼろのマント越しに、死せる王の目が赤く光った。


その瞬間、私は確かにあの女の声を聞いた。石が私の心の中で偽装していたあの女の声だ。


「黒騎士は黒き最期を迎える。運命の罠を辿るのだ。歴史に名を残すであろう。だが、お前はワンハル・ニアリの悲しみとなる運命にある。」


私はためらうことなく、その忌まわしい石を叩き潰した。


かつてないほどの轟音とともに、まばゆいばかりの赤い稲妻が私を後方へ吹き飛ばした。



再び目を開けた時、ほんの少し後だったが、私はまだフォン・ロートシュタイン家の玉座の間にいた。ウルリッヒは瓦礫の山の下に埋もれていた。


突然、玉座の間で鳥たちが歌い始めた。鳥たちは屋根にできたばかりの穴に飛び込み、そこから朝の陽光が降り注いだ。柔らかく温かい黄金色の光が、冷たく青々とした陰鬱さを吹き飛ばした。

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