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19話、見隠しサバイバー、笑いは世界と自分を救う巻

現在、私は(鈴木太郎)は、


くるみとももの生まれ代わり


である狛犬と見知らぬ世界を


2日も彷徨い歩いている。


鈴木

「はぁはぁ…。」


鈴木

「コマチ、大丈夫か?」


狛犬(コマチ)

「バゥッオオゥワン!」


鈴木

「それだけ何か、言えれば

大丈夫だな…。」


鈴木

「悪いちょっと休もう…。」


私は薄暗く湿った森の奥で

唯一日の光が射し込む切り株

に背を預けるとゆっくりと座る。


紫色に燃える太陽光が憂鬱な

私の心を穏やかにさせる。


私はゆっくりと目をつむる。


「まさかこんな目に逢うとは…。」


そんな独り言を呟きながら私は

二日目前の出来事を思い返していた。


▷▶▷▶▷▶▷▶▷▶▷▶▷▶


私達は草元寺に光音を連れて


家路に帰ろうとしていた。



「しかし光音が無事で本当に

良かった!」


鈴木

「えぇ…本当に無事で良かったですよ。」


「しかし、いつまでも狛犬と

呼ぶのは可哀想だな!」


「名前をつけねばな!」


光音

「もう名前は決まってるよ!」


「なんて名前にするの?」


狛犬

「バウ?」


光音

「コマチ!」


鈴木

「へぇ~何でコマチにしたの?」


光音

「だってなんか困っている顔をしてるんだもん。」


覚&鈴木

「確かに!」


鈴木

「プフッ…そうだな、眉毛が下がっているから少し困り顔に見えるな。」


コマチ

「グルラァバフ!」


コマチは唸りながら笑う私の

足をガブリと噛み付く。


何故私だけに噛み付く、と

コマチの柔らかいほっぺを、

むにゅとつかんで揉む。



「ハッハッハッ!」


「コマチか良い名だな!」


鈴木&柊

「そうですね。」



コマチ

「バウワン!グルルゥワン!」


コマチの様子が代わり空に

向かい唸り始める。


柊さんはコマチの言葉を

読み解く為に精神を集中させる。


柊さんの表情が強ばり

「大変です!」


「この近くで身隠し門が開いています。」


その言葉を聞くと覚さんは

口に含んだプロテインを吐き出す。


「何!身隠し門だと!」


光音

「身隠し門?」


光音は大人達に緊張を感じ取り心配そうに私の方を見る。


私は光音が怯えているので平静を保ちながら

「みんな、がついているから、大丈夫だよ、光音。」と伝える。


そして話を続ける。


鈴木

「身隠し門は、以前に妖怪個別指導で聞いた事があります。」


鈴木

「確か、神隠しといわれている

原因の一つですよね。」


「そうです、別名誘いの穴とも呼ばれ一度迷い込むと簡単には出れないと言われています。」


鈴木

「ではAYAKASHI本部に連絡しないといけませんね。」


私はAYAKASHI本部の

特殊案件対策課に電話を掛ける。


プルルル、プルルル、


と呼び出し音がなり続けるが


応答がない。


私は誰も電話に出ない事に


少し苛つきを感じ


「電波悪いな…。」と呟く。


すると先ほどまでいた


光音達の姿が見えない。


まさか身隠し門に


吸い込まれたと思い大声で、


家族の名前を叫ぶ。


「おーい光音!」


「覚さーん!」


「柊さ~ん!」


「誰かいないか…!」


私の声だけが無情にも


響くだけだった。



私はふと空を見上げると


身隠し門に吸い込まれたのは


自分の方だと気づいた。


空にぽっかりと紫色の穴が


開いている。


そして「グルラァー。」と

叫びながらコマチが、

私に目掛け飛んで来たのだ。


このまま落ちるとコマチが


怪我をすると思い咄嗟に


両手を広げ支えようとするが


コマチは急に体長3メートルの


狛犬に変化すると私の上に


ドスンと着地をする。


瞑れた私に涎を滴らし笑っていた。



紫色の穴から覚さんの声が


聞こえる。


「おーい鈴木君!」


「日影石を見つけろ!」


「紫色に燃える光を目指せば

見つかる筈だ!」


「とにかく気合いで、頑張れ!」


それだけ伝え終わると

紫色の穴が塞がっていく。


◀◁◀◁◀◁◀◁◀◁◀◁◀◁


現在に至るのだが


紫色に燃える光を目掛け


歩いているが未だに日影石を


見付けられず彷徨っている。


覚さんがコマチに持たせた


食料のプロテインも


底をついてきた。


鈴木

「何か食べ物を探さないと、

まずいな…。」


コマチ

「グフッ…。」


空腹で二人のお腹がぐぅ~となる。


私は歩き疲れたのか、何でも

無い事で笑ってしまう。


この世界は一面

木々が生い茂るが、木の実も

川も見当たらない。


そして必ず、最後には大きな岩の元にたどり着く


最初はこれが日影石だと

叩いたり、念じたり、


昔に読んだ絵本の合言葉「開けゴマ」を唱えてみた。


しかし何の反応も示さない。


そして一日中、紫色の暑い光で熱した空気で、湿度が南米の様に高くなりとても息苦しい。


私は帰れぬ現実で、嫌な考えが

脳内を不安が塗りつぶしていく。


すると”ハッハッハッハ”と舌を

出してコマチが下を見ながら

辛そうに歩いている。


コマチに「小さくなれるか?」と聞くと軽く頷き、手のひらのサイズに小さくなる。


私は、コマチを胸ポケットに

入れるとひたすらに紫色の光を

目指して歩いて行く。



喉が渇き口の中が乾燥して


少し血が出る。


このままではコマチと私は


ここで命の砂時計の砂が下に


流れ落ちてしまうのか…。


いや!コマチを守らなくては


もう誰も死なせない!


冷静に考えろ、そもそも


日影石とはなんだ?


何故、紫色に燃える光を

追い掛ければ日影石が見付かるのだ?


待てよ…確か以前に聖なる

日の光から出来る、影は

空間を歪める作用があると

聞いたな…。


日影石?


日の光?


紫色に燃える光を目指せ?


そういえばずっと紫色の光を


追い掛けていたが

全く近付かない割りには

以前よりも暑く感じる。


私はもしかしたら


紫色の光は生き物ではないか?


と考え、試しで足元に


合った小石を掴み


紫色に燃える光に目掛け


投げてみた。


急に飛んで来た小石に驚き


紫色に燃える光から

「∌∣∠∕∩∞∑∈∉∈∇∝!」

と声が聞こえる。


私は更に小石を掴み撃ち落とすまで投げ続けると


「いい加減にせいや!」


「めっちゃ危ないやんけ!」


「おたくは、人様に石を投げつけて、良いと親御さんに教わったんかい?!」


と怒り狂う小鬼が現れる。


私はすがる思いで


「私の名前は鈴木太郎と言います。」


「身隠し門に落ちてここに迷い込んでしまいました。」


「元の世界に戻りたいのです。」


紫色に燃える小鬼に伝える。


するとため息をしながら


「なんや迷い子か?」


「そんならはよう、言いなはれ!」


「帰る方法は簡単や!」


「それはワシを笑わせれば良いだけなんや!」


私達に伝えると小鬼は


指をパチと鳴らす。


風景が変わり私とコマチの


目の前にマイクと日影石で出来た丸い舞台が


用意されている。


小鬼は奥の椅子に座り


「ほんなら、第92回、迷い人

限定真夏の大笑いを頼むで!」


と言うと目を輝かせて私達の方を見ている。


私は小鬼を笑わせる為に


接待の宴会芸で、鍛え上げた


全力のビートたけしさんの

モノマネを披露する。


「なんだこのやろう!バカやろう!」


「コマネチ!」


とにかく全力投球で戦いに挑んだ。


暑さで汗が吹き出る中、全てを出しきると、

笑っているか、小鬼の様子を見る。


すると物凄くがっかりそうに


小鬼は「そりゃあかん!」


と言うと私の宴会芸の採点を行う。


小鬼

「熱意は伝わったわ!」


小鬼

「しかしテーマがあかん!」



小鬼

「まず始めにワシが、ビートたけしを知っとると思ったんか?」


小鬼

「ワシ、ここから出たこと無いけぇ、知らん!」


その当たり前の一言に衝撃を


受けて、膝から崩れ落ちる。



小鬼

「これじゃ出せへんなぁ。」


私の面白いは小鬼には通用しない。


どうすれば良いのか分からず


絶望で立ち上がれない。


すると私の胸ポケットから


コマチが出て大きくなると


「グルゥルルガウ!」


唸り共に私のお尻に思い切り


噛み付く。


私はその痛みで

「アヒャ~、ギィエ~!」と

叫び悶えると


小鬼は、大爆笑して


「最高や!」


「それや!それが欲しかったんや!」


「ここまで笑うたのは初めてや!」


「ほな約束通り、元の世界へ返したる!」


と言うと小鬼はパチッと


指を鳴らすと私達の目の前に


泣いている光音とそれを必死で


なだめている覚さん達が現れる。


光音はボロボロになった私に


抱きつくとぽろぽろと


涙を流してしがみつき離さない。


私は光音に「ただいま。」


と伝えると安心したのか


すやすやと寝てしまう。


覚さん達に身隠しの門の世界で


合った出来事を話す。


「恐らく、小鬼の正体は時神だな!」


鈴木

「時神ですか?」


「ああ、伝承でしか聞かないが時を操る鬼らしい。」


「確か時神は、笑いを好み

見事に笑わせると望みを叶えてくれると聞いたな!」


鈴木

「しかし身隠しの門には、もう……行きたくないです。」


「時神は、怒らせると時の狭間に閉じ込めると言いますしね。」


私は柊さんの言葉を聞いて


冷や汗が滲み出る。


すると

コマチが「ガウガバウ!」

と何かを訴えてくる。


柊さんが心を詠み解くと


「鈴木さん胸ポケットに

何か入っているとコマチが

言っています。」



私は胸ポケットを調べると


一枚の札が出てくる。


そこには

「時の狭間行き、お笑いチケットいつでも大歓迎!」


と書いてあった。


「二度行くか!」と言い放ち

その札をゴミ箱に捨てようとする。


すると小鬼の声が耳元で聞こえる。


「そんな寂しい事、言うなや…。」


「鈴木ちゃん待っとるで!」


と言うともう声が聞こえ

なくなる。


私は震え、札を捨てるに捨てれなくなった。




















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