18話よくさ…雨降って地固まるとか言うけどさ実際ぬかるみだらけで歩くのしんどい。田舎なせいだからかな?の巻
(くるみとももの姿が見えない…。)
(そうか…。)
(あの子達は空に消えていった。)
(神はどうして大切なものを私から奪うのか?)
(いや…。神などいないか…。)
「……パパ。」
「パパ!きょうはおちごとでしょ!」
「うわぁっ!どうした光音?」
考え事をしていた私の顔を見て
いつもと様子が違うのを子供ながらに
気が付いたのだろうか。
私の顔を見てもいつもの笑顔が見られない。
私達は光音が悲しむのを避けるため
妖怪特有の病気にかかりくるみとももは
ぬらりひょん様の所でしばらく面倒を
見てもらうという嘘をついた。
いつかは光音に教えなくてはならない。
永遠に続くという事は無い。
必ず出逢いと別れが訪れる。
だが今の光音にその事を伝えても
分からないだろう。
いや…。
くるみ達がこの世にいない事を
私が認めたく無いだけかも知れない。
鈴木
「じゃあ仕事に行って来ます。」
鈴木
「光音の事をお願いします。」
覚
「あぁ…任せておけ!」
柊
「あの…大丈夫ですか?。」
鈴木
「柊さん、大丈夫ですよ。」
鈴木
「それより光音の事お願いします。」
柊
「はい、光音ちゃんの事は任せて下さい。」
覚
「鈴木君!一応確認するが妖怪権利保護法についての会議がある事は分かっているな?」
鈴木
「えっ、妖怪権利保護法の会議は、今日でしたっけ?」
覚
「はぁ~、やはりな…。」
覚
「本来なら前回の会議で話される予定だったが色々とバタバタしていたからな!」
覚
「今日やるぞ!」
覚
「鈴木君、会議に使う書類はちゃんとあるか?」
鈴木
「すみません…忘れていました。」
柊
「恐らく忘れていると思い、私が書類を作成しておきました。」
柊
「これを持っていって下さい。」
そう私に伝えると
妖怪権利保護法に関する事柄が
記載されている100ページに及ぶ資料が
入った茶封筒を渡す。
柊
「必ず目を通しておいて下さいね。」
鈴木
「柊さんありがとうございます。」
覚
「ハッハッハッ!鶏鳴の助だな!」
鈴木&柊
「はぁ?」
覚
「なんだ鶏鳴の助も知らないのか?」
鈴木
「知るわけ無いですよ。」
柊
「私も初めて聞きました。」
光音
「めいめいのたちゅけ!」
覚
「意味は内助の功と近いな!」
鈴木
「なら内助の功で良いと思いますよ。」
柊
「違います、内助の功という程の事ではありません!」
柊さんはそう言うと顔を赤くして
自分の部屋に戻る。
すると大きな鏡台が光出す。
雲外鏡
「相変わらず、ここは賑やかいですな。」
鈴木
「おぉ雲外鏡さん、久しぶりです。」
覚
「雲外鏡様、鈴木君は少し抜けているので頼みますね。」
雲外鏡
「そこは大丈夫じゃよ。」
雲外鏡
「鏡が有る限り何処で迷子になろうとも
見つけられますからのぉ。」
覚
「さすが雲外鏡様!」
鈴木
「一応もう37歳のおじさんですから
迷子にはならないですよ。」
雲外鏡
「なんじゃ、鈴木さんはまだ齢37か。」
雲外鏡
「ワシに比べたら赤子じゃな!」
鈴木
「1000年以上生きている雲外鏡さんと
比べられても困ります。」
覚
「ハッハッハッ!違いない!」
覚
「ではしっかりお務めをしてきなさい!」
光音
「してきなちゃい!」
鈴木
「はいはい、行って来ます。」
覚
「鈴木君!ハイは一回で良いぞ!」
鈴木
「ハイ!」
覚
「うむ。」
私は雲外鏡さんの後を付いて鏡の中に入る。
光音
「パパ、いってらちゃーい!」
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私は雲外鏡さんの後ろを歩きながら
柊さんの作成してくれた[妖怪権利保護法]の書類を確認する。
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妖怪権利保護法とは
以前に定められた法
妖怪権利法
(妖怪の権利及び人格の尊重の努力義務とする。)と違い
今回の妖怪権利保護法は
妖怪は一つの生命であり
人間と同じ権利を得るという法律である。
人間と妖怪の権利について
(自由権)
▫精神的自由権
[思想、良心の自由]
訳→思うのは勝手
[信教の自由]
訳→何を信じるのも勝手
[表現の自由]
訳→何を書いたり、言ったり、覚えたり、
するのも勝手
▫経済的自由権
[職業選択の自由]
訳→働いて税金を納めりゃそれで良い
将来不安になるが働かんのも自由。
[財産権の自由]
訳→税金を納めて働いたら自分の物
全部自分の物にはならんけどね。
▫身体的自由権
[奴隷的拘束や不当な身体的拘束からの自由]
訳→自分の身体は誰の物でもない自分の物
[拷問を受けない権利]
訳→どつかれる筋合いはない!と言える。
(社会権)
[生存権]
訳→衣食住を国、各都道府県、各市町村が
ギリギリ保証したるわ宣言
[教育の権利]
訳→小中の学力は合って損はなし。
(義務教育は無償)
[勤労の権利]
訳→社会の荒波に揉まれ、弱肉強食の世界を味わい、弱者は協力する事で生き抜く術を知る。労働三権❬団結権、団体交渉権、団体行動権❭
(参政権)
[選挙権]
訳→未来を決める権利(笑)
[政治参加の権利]
訳→将来どうしようと思う前にやれる事はやる!
刑法と民法においても妖怪と人間は
共に同じ生命であり人間だけの法律ではなく
妖怪に対しても適用される法律である。
尚妖怪も法律に反する場合人間の法律の
元に裁かれる。
例外はない。
但し特例として、疫病神、貧乏神、死神は
法令では対処出来ない為自然災害扱いと
する。
…等々
※権利の解釈は作者個人の認識であり
実際の自由権に関する説明と異なります。
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鈴木
「う~んこんなに資料があるのですか…。」
雲外鏡
「いやぁ~なんか大変そうですなぁ。」
雲外鏡
「ワシにゃ難しいくて無理だわ。」
鈴木
「ははは…。」
鈴木太郎は妖怪権利保護法に関する膨大な
資料を必死で読み込んでいた。
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一方その頃…
鈴木太郎の子供(鈴木光音)は
一人でとあるお寺に向かっていたのだが…。
道に迷っていた。
「ここしらないとこ。」
「あれ、おおきなおじぞうさまがない。」
「どうしよう。」
慌てて周りの風景を見ると
以前に鈴木太郎(父)ときた時に見たものを
必死で探していた。
しかし光音が行きたい場所は田舎で
人気がなく一面に田園が広がっている為
道しるべになるものが見付からない。
光音は急に心細くなり二度と父や覚そして
母の柊に会えなくなるかも知れないという
恐怖と不安が光音を襲う。
その恐怖によって焦り光音の足を急がせる。
そして冷静差を失くした事により
光音は田舎の砂利道で転ぶ。
膝を擦りむき、血が滲む。
心細さで涙が止まらない。
それでも光音は立ち上がり膝の痛みと
恐怖で止まらない涙を服の袖で拭うと
たまたまTVで見た(願いが叶うお寺"草元寺")
に向かって走って行く。
そう光音は元気の無い父(鈴木太郎)の為に
草元寺に行き父が元気になるようにと
お願いをしに一人で家から
出て行ったのである。
最初は覚に草元寺へ行き父が
元気になるようにお願いしたいと
伝えたが「大丈夫だ時間が解決する。」
と言われ母の柊に同じ事を伝えると
「今日は忙しいからまた今度行こうね。」
となだめられた。
光音はいつもの父に戻って欲しかった。
元気になって欲しかった。
ただそれだけで一度しか行っていない
草元寺に向かう決意をすると二人に黙って
出掛けたのである。
急に厚い雲が光音のいる場所に広がる。
激しい雷が鳴り
大粒の雨が光音に打ち付ける。
薄暗く激しい雨で視界が悪くなり
光音は完全に孤立してしまう。
「だまってでてきたから…。」
「さとりおじちゃんとひいらきおこってるかな…。」
「ごめんなさい。」
どしゃ降りの雨の中
光音は誰にも聞こえないのに
自分が黙って勝手に出て来た事を
覚と母(柊)にひたすらと謝りながら
とぼとぼと歩いて行く。
「うんにゃ!鈴木さんとこの子じゃ!」
「どうした!家出か!」
光音は聞き覚えのある声が聞こえ振り向く。
すると長く伸びる白い髭が見えた。
「ひげのじいちゃんだ!」
一心不乱に駆け寄ると
草元寺の和尚にしがみつく。
和尚は光音を草元寺に連れて行く。
草元寺に着くと光音を孫の服に着替えさせ
暖かい甘酒を光音に渡すと
どこかへ電話を掛ける。
和尚
「もしもし鈴木さんかい?」
鈴木
「はい…鈴木です。どうしました?」
和尚
「鈴木さんとこの子供が今家にいるんよ。」
鈴木
「えっ!何でですか?」
和尚
「そりゃ知らんがな。」
和尚
「鈴木さん悪いが迎えに来てくれんかい?」
鈴木「はい!すぐに行きます!」
「ガシャーン、パリパリ。」
「鈴木さんちょっと!」
「ガチャ、プープープー。」
和尚
「鈴木さんお~い何があった?」
和尚
「電話切っちまった。」
和尚
「まっいっか。」
そういうとわたしの側に来て
和尚
「光音ちゃん、よく一人でここまでこれたね。」
和尚
「遠かったろう。」
和尚
「で何でここに来たんじゃ?」
光音
「…パパがさいきんげんきないの。」
和尚
「父ちゃん元気無いか…。」
光音
「だからね、ここにきてパパをげんきにしてっておねがいしにきたの。」
和尚
「お願い?」
光音
「うん。」
光音
「TVでやってたの!」
光音
「かみしゃまにおねがいすればかなえてくれるって。」
和尚
「まぁそうじゃが、ここは安産祈願と恋愛成就しかやっとらんからのぉ…。」
光音
「かみしゃまはみおんのおねがいきいてくれないの?」
光音
「みおんわるいこだから…。」
和尚
「光音ちゃんなんか悪い事したんか?」
光音
「さとりおじちゃんと、ひいらきにだまってきたの。」
光音
「だからわるいこなの…。」
和尚
「まぁ黙って出て来た事は行かんの。」
和尚
「皆、光音ちゃんの事を心配するからのぉ。」
和尚
「だが父ちゃんの事を元気にしたいからここに頑張って来たんじゃろ?」
和尚
「なら、つとぺーじゃ安心しなさい。」
光音
「つとぺー?」
和尚
「そう、つとぺー。」
すると本堂にある大きな鏡から眩い光と共に
父、鈴木太郎が傷だらけで飛び出て来る。
鈴木太郎は光音を見付けると
強く抱き締めた。
そして鏡から汗だくの覚と
髪が乱れている柊も飛び出して
光音を同じく抱き締めた。
覚
「光音!凄く心配したぞ!」
覚
「一人で出掛けちゃ駄目です。」
柊
「光音…本当に無事で良かった。」
鈴木
「光音どうして一人で出てきたの?」
光音
「パパがげんきないから…。」
光音
「ここにきておねがいすればパパげんきになるとおもったの。」
鈴木
「そうか…。」
鈴木
「光音ごめんな…。」
鈴木
「もう大丈夫だよ。」
光音
「もうげんき?」
鈴木
「あぁもう元気だぞ!」
鈴木
「だからもう一人でこんな事しちゃ駄目だぞ!」
鈴木
「ほら覚おじちゃんと柊さんにごめんなさいしよう。」
光音
「さとりおじちゃんごめんなさい。」
光音
「ひいらきごめんなさい。」
柊&覚
「良いよ。」
和尚
「家族って良いのぉ。」
すると覚さんが膝を叩き
「よしせっかく来たんだ神様にお願いするか!」
そう言うと光音を肩に乗せて歩く
私と柊さんも覚さんの
後を追いかける様に歩く。
私達は賽銭箱にお金を入れて
各々の想いを込め祈る。
覚
「柊君!そんな事を祈っていたのか!」
覚
「愛は良いな!ハッハッハッ!」
柊
「勝手に心を読まないで下さい!」
柊
「本当にデリカシーが無いです!」
鈴木
「何を祈ったのですか?」
柊
「聞かないで下さい!!」
鈴木
「光音はちゃんとお願いしたか?」
光音
「うんいっぱいおねがいした!」
すると神棚がある場所が金色に輝く。
私は何故かくるみとももが最後に話していた
3日後にここへきて欲しいと
言われていたのを思い出す。
私達は神棚を覗くと青色と赤色の縞々模様が刻まれた卵を見付ける。
覚
「それは!妖怪の卵だぞ!」
覚
「早く暖めないと消滅してしまう。」
光音
「うんあたためる!」
光音が卵を抱き抱え
覚さんと柊さんが妖気を卵に注ぎ込む。
私はその様子を見守る。
しかし卵が孵化する様子がみられない。
覚
「鈴木君!卵を暖めてくれ!」
私も光音の小さな身体ごと卵を抱き締める。
すると卵にヒビが入り中から
青い目と赤い目と持つ狛犬が出てくる、
狛犬は光音と目が合うと
光音の顔がべちゃべちゃになるほど
大好きと伝えるが如くなめつくす。
そして私の方を見るので手を広げて
待ち構えると
「ガルル~!」
と一言私に言うと唸りながら
腕にかぶりつく。
覚さんが精神を集中させると
狛犬の心を読む。
覚
「なるほど、この子はくるみとももの生まれ変わりだな!」
鈴木
「なら何でこんなに怒って噛みついているのですか!?」
覚
「どうやら鈴木君が最後に伝えた事を忘れていたのが気に入らないらしい!」
鈴木
「えぇー!」
狛犬
「ウゥ…!ワン!」
くるみとももの生まれ変わりである狛犬は
私のスーツをボロ雑巾の様に噛みちぎり
気が済んだのかズタボロになった
私の上に座るとすやすやと眠りにつく。
私はその身勝手この上ない狛犬の姿をみて
思わず笑いが込み上げる。
その様子をみて光音も笑っていた。
[補足情報]
(鶏鳴の助)
別名鶏鳴之助とも呼ばれる。
意味
陰ながら夫や主人を支える妻の様子を称える言葉
現代では
内助の功が一般的な表現である。
そして夫や主人を支えると妻の様子を称える言葉とされているが
現代はパートナーを陰ながら支える人物を
称える言葉と表現が変えられているらしい。
言葉も時代により形が変わるのだろう。
面白いものである。
(つとぺー)
山口県の方言「あいこ、半分」という意味




