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14/20

14話、生きるて、ほんと~~に大変なんだわさ!巻

私は司馬様を信じて普段の業務を行う事に

した。


今日は日勤なのでこの時間は寝たきりで

過ごす利用者様のオムツ交換をする時間である。


夜勤者の酒山さんに利用者様のオムツ交換をしてくると伝えるとオムツ交換の準備を始める。


オムツ交換では的確な準備が出来ているか

どうかで全てが決まると言っても過言で

はない。


そもそも準備とは何をするのか?

と疑問に思う方もいるだろう。


まず始めにオムツ交換を行う利用者様の

部屋の温度調節から始める。


8月と言えばかなり暑くそんなに調節の

必要がないと思うがそうではない。


基本的に年齢をある程度重ねると

身体の筋肉量が少なくなる。


筋肉量が少なくなると体温を維持する機能が

低下してしまう。


すなわち寒がりになるのだ。


いやいや夏は暑いから寒くはないだろう。


そう考える人も多いと思います。


ですが筋肉量が落ちた利用者様は実際に


寒いと震える事もあります。


ましてや尿等で濡れたオムツを着けた方は

より身体が冷えてしまうのです。


なので温度調節は必須なのである。


次に大切なのは道具の準備である。


これがしっかり出来ているか否かで

利用者様と職員の運命が決まるのだ。


何を大袈裟な事を言うと考える人もいると

思います。


ですがそれは現実です。


まぁどういう意味なのかはこれから

私がやってみるので

見ていて下さい。


まず利用者様の様子を予め調べておく。

(便の状態、いつ排泄があったのか、体調等)


今日オムツ交換をする利用者様は

(長沢洋子様、全身に軽い拘縮がある。)


(排泄の回数は昨日の20時から9時までの間に計三回その内水様便が2回どちらも少量)


バイタルは

体温36.2度

血圧122/86

脈75

spo2 98%


3日間排便がなかった為ラキソベロン内服液7滴服用


と書いてある。


ラキソベロンとは下剤の事です。


つまり下剤を飲んで3日分の便が徐々に

出て来ている可能性がある。


そして体調は特に異常がない。


そこで必要な道具(装備)が変わってくる。


まずビニールエプロンを着用


介護用グローブを三枚重ねで着用


陰部洗浄用ボトル(人肌のお湯入り)


トイレットペーパー


新聞紙


お尻吹き(渇いた布、繊維が付いていないやつ)


お湯入りのバケツ


ビニールシート


オムツ


尿吸収パット


着替え上下の服


代えの介護用グローブ複数枚


ウエットティッシュ(念の為)


ポリ袋(大きめ)


ペットシート


装備を持ち私は血池さんと一緒に


長沢様の所へと戦いに向かう。


鈴木

「長沢さん失礼します。」


鈴木

「お尻を綺麗にしに来ました。」


長沢

「ごめんね…お腹痛くて出ちゃった…」


鈴木

「気持ち悪いですよね。」


鈴木

「すぐ片付けますからね安心して下さい。」


そう伝えると部屋のカーテンを閉めて

部屋を暖める。


長沢さんに声掛けをして身体の下にベッドが汚れない様にビニールシートとペットシートを引く。


そして身体が拘縮しているので自力では

寝返りをうてない長沢さんを血池さんと

協力をしながら長沢様の身体を小さく

まとめてコロコロと負担にならない様に

支えながら身体を動かす。


ここからが戦いの始まりなのだ。


まず便失禁で汚れた衣類を予め用意していた

ポリ袋に入れる。


そしてパンドラの箱であるオムツの中を

開く。


大量の水様便が溢れる。


なるべく尿吸収パット内に

水様便を納めて取り除き

トイレットペーパーで

ある程度の便を取り除く。


この部分で失敗すると何倍もの

時間がかかってしまい利用者様に

負担がかかってしまう


とても緊張する瞬間なのだ。


今回は上手く取り除く事が出来たので

私は少し安心していた。


仰向けになってもらうと私は陰部洗浄を始める。


これも緊張する瞬間の一つである。


もし尿道に汚れたお湯が入ってしまうと

尿路感染症となってしまう。


慎重に尚且つ綺麗に上から下に洗い流す。


渇いた布で軽く水気を、拭き取る。


次はお尻を、洗い流して渇いた布で綺麗に

拭き取る。


そして汚れたペットシートとオムツを汚れた部分を、内側に丸め込む様にすると


綺麗なオムツと尿吸収パットをお尻の下に

上手く引く。

長沢様の身体を少し転がして

汚れたオムツとペットシートを、抜き取る。


鼠径部に合わせてオムツを付けるのだが

ここで忘れてはいけない事がある。


それは利用者様がオムツに違和感がないか

履き心地を聞く事である。


もしキツくしてしまうとうっ血して

場合によってはオムツかぶれやその部分が

床擦れのようになってしまう。


なのでオムツの隙間に指が1本分位あけば

良いのだかやはり聞けたら本人に確認するのが勿論早いのである。


オムツを、つけ終わると今度は少し便が付いてしまった身体を、拭くのだが…


拭いた後が時間との勝負なのだ。


何故ならば身体を拭くという事は身体を濡らすので体温を奪う。


なので血池さんと呼吸を合わせ

拭いたら渇いた布ですぐ拭き取り急いで

用意していた服に着替えてもらうのだ。


だが長沢さんは軽い拘縮があるので袖に

手を通す時も職員は長沢さんの手を軽く包み

そっと腕を通す。


手を包むのは無理に通すとどこかに指等が

引っ掛かり骨折や怪我を防ぐ為なのである。


まぁ文章でこの光景を再現するのは

私の表現力では難しいので割愛させてもらいます。


長沢さんの衣類を整え着心地と体調を聞き


大丈夫との事なので衣類とゴミを片付けて


最後には部屋に混もっている便臭を取り除く


方法は換気と消臭スプレーを駆使するのだが


それを行うとベッドのギャッチ下げて


全て終わった事を長沢様に伝える。


一仕事を終えた私は手洗いと消毒をして

10時のお茶の準備をする。


フロアーに利用者様を呼ぶのだが利用者様によってはご自分の部屋で飲みたいという方

もいる。


なので各部屋に持って行く。


お茶を配り終えると天極さんが二階に

上がって来る。


天極

「あの方は一体何なのですか?」


鈴木

「天極さんどうしました?」


天極

「凄い速さで走って来るおばあちゃんにいきなり抱き付かれました。」


天極

「本当にびっくりしましたよ…」


鈴木

「あぁ司馬様ですね。」


鈴木

「私はお尻を触られますよ。」


天極

「えっそんなんですか!」


鈴木

「私が出勤する度にお尻を触られます。」


それを聞くと天極さんはお腹を抱えて

大笑いをする。


すると天極さんが

「鈴木さん!今日僕の行き付けの店で飲みに行きませんか?」


「もっと鈴木さんのお話を聞かせて欲しいです。」と笑顔で話す。


私は天極さんの誘いにのる事にした。


仕事が終わる。

外は暗くなっている。


セミも夜なので鳴くのを控えていた。


私は私服に着替えるとタイムカードを押して

退勤すると職員玄関口で天極さんが待っていた。


天極

「鈴木さん待ってましたよ!」


天極

「さぁ早く飲みに行きましょう!」


そう言うと紅いスポーツカーに

天極さんが乗りこみ隣の座席を叩いて

ここに座れと合図を送る。


私が天極さんの車に乗り込むと

車のエンジンをかけ走り出す。


私は額に汗が滲みドキドキしていた。


もしかしてこのままメギドに

始末されるのではと不安が

私の心を染めて支配していく。


「着きましたよ!」

天極さんが駐車場に車を止めると

目の前に質素な屋台が見える。


その屋台に天極さんは歩いて行く。


私も後を追いかけて行くと。


白髪頭の頑固そうな店主が


「おぉ天極会の坊っちゃん久し振りだね!」


「最近こねぇから何か合ったかと思ったわ!」


懐かしい友人と逢うように親しみをこめながら店主おっちゃんと天極さんが話していた。


すると店主の

「そっちのお方はどちらさんで?」

と私の方を見て天極さんに訊ねる。


天極

「この人は私の大切な友人だよ!」


店主

「坊っちゃんの友人ですかい?」


鈴木

「どうも鈴木です。」


私がきょとんとしながら挨拶をすると


店主が

「わしは黒龍廻こくりゅうめぐり

言うもうじゃきよろしく。」

と自己紹介をする。


すると黒龍さんが

「坊っちゃんちょっと例の件で大事な話しがあるからちょっとこっちへ…」

と私から離れて話そうとすると。


天極さんが

「鈴木さんは私の友人だと言いましたよね!」


「彼がいても話して大丈夫です。」


「黒龍さんここで話して下さい!」

と黒龍さんを睨み付ける。


黒龍

「分かりやした…坊っちゃんがそう言うならここで話しますよ。」


黒龍

「例の商品に買い手がつきました。」


黒龍

「大体600~800位で買うそうです。」


天極

「まぁ見た目は良いからね。」


天極

「じゃあ明日夜の23時に商品を持ってSで

待ってます、と伝えておいて。」


黒龍

「分かりやした。」


私は心のなかで恐らく妖怪の売買の話しだな

と考えていた。


商談の話しを終えると

私の方を見て

「ここのラーメンはとても美味しいですよ!」

と天極さんが笑いながら伝えてくる。


私は言われた通りにラーメンを注文すると

一口食べる。


口の中に魚介類と磯の美しいハーモニーが

拡がり思わず「上手い!」と喜んで食べてた。


その様子を見て黒龍さんは気分を

良くしたのか


「兄さん良い食べっぷりだね!」


「ギョーザも食べてみ!」

と私に作って出す。


ギョーザを食べるとこれもまた肉汁が口の中に拡がり余韻としてほのかに生姜の香りが

鼻から抜ける。


私はこれも上手いとあっという間に

たいらげてしまう。


黒龍さんは私の食べる姿を見て更に喜び

お酒まで振る舞われ


天極さんと黒龍さんと私はお酒で

ベロンベロンに酔っぱらう。


鈴木

「天極さんここぉ良い店でぃすね~」


天極

「でしょ~ここなら落ち着いてのめるしぃ

~」


黒龍

「それに今日仕入れたからまりらっけな?」

訳(それに今日仕入れた風間利だっけな?)


黒龍

「いいねらんれ、うれらしね~。」

訳(良い値段で売れたしね。)


鈴木

「からまりてなんれすか~?」

訳(風間利て何ですか?)


天極

「ようはいれふ~」

訳(妖怪です。)


鈴木

「そのようはいは、いまどほにいるれすは~?」

訳(その妖怪は今何処にいるのですか?)


天極

「みふなぁ~よほははひょうほりひるみょ~。」

訳(皆横浜倉庫にいるよ。)


鈴木

「よほははひょうほりれろろ~?」

訳(何処の横浜倉庫ですか?)


黒龍

「ほんほふふろうのそうほぉ~らよ~」

訳(本牧埠頭の倉庫だよ。)


私は二人に「ちょっとションベン」と言うと


二人は「いってらひゃーい」と肩を組ながら手を振っている。


私はこっそりと先ほどのやり取りをメールで覚さんに送る。


そして二人の元に戻ると

完全に出来上がった二人が

「すふふさんわらしらしのなかまになりまへんふぁ?」

訳(鈴木さん私達の仲間になりませんか?)


と言うので「なんれすか~?」と聞くと


「われわれろ~メギドに~はいってくらさいよ~」

と天極さんが言うとそのまま寝息をたてて

道端で眠りこける。


私は流石にほっとくのは出来ないと酔っぱらい眠りに付く二人を道の隅に運び様子を見ていた。


すると覚さんからメールが届く。


「全員無事だ。」


「鈴木君は大丈夫なのか?」


私はそのメールを見てホッとしていた。


すると沢山のパトカーが私達を取り囲む。


覚さんが呼んでくれた警察官だった。


天極さんと黒龍さんは深い眠りに落ちたまま

パトカーに運ばれて行った…


私達は念の為AYAKASHIの本部に住居を移す事となる。


この事件によりほしのひかり社長、渡辺進、

大塚清二、業施設長、天極会構成員天極聖

傘下黒龍会会長黒龍廻は逮捕された。


こうして私の潜入は無事に終わった…






























補足情報


spo2…酸素飽和度(血中に含まれている酸素の量)


ベッドのギャッチ…モーター付きのベッドでギャッチとは高さ調節が出来る機能のことである。


床擦れ…寝たきり等で余り寝返りをうてない

人に起きる皮膚が擦れて最悪骨まで見えてしまう恐ろしい症状(介護業界最大の敵)

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