11話、夢の中ぐらいは自由に生きたいのにろくな夢みれんがな!。巻
空は少し薄暗く厚い雲が頭上にある。
息子の誕生日に予約をしていた
ケーキを、家族全員でとりに出かける。
途中で軽く雨が降ってきた。
家族を、屋根のある公園に待たせ傘を
買いに行く。
新しい傘を持ち家族の元へと走って行くと
急に降り注ぐ沢山の雨粒が私の顔に当たる。
いきなり私の目の前で、凄いスピードで走る男が乗った白い車に跳ねられる。
私の大切な家族が血塗れで倒れている。
携帯で、救急車を呼ぶが全く繋がらない。
私は男を殴り気絶させて
男が乗っている車に乗り込むと
妻の冴と息子の一也と愛犬のポチを乗せる。
診て貰う為必死で近くの病院を、探すが
殆どが繋がらず電話に出ても受け入れを、
拒否される。
私は徐々に冷たくなっていく大切な家族に、
悲鳴に近い声で声を、かけ続ける。
小さな診療所で診てくれると言われ、
急いでそこに運ぶ。
医者は一目見て首を、横にふる…
妻とポチは息子を、庇い即死していた。
息子はまだ意識があるがもう助からないと
言われる。
私は息子の側に近づいて人工呼吸器を、
付けている息子に祈りにも近い思いで
頑張れ、生きてくれ、と声をかける。
息子は
「お父さん…痛い…苦しい…」
と言い小さな瞳から涙がこぼれる。
医者が
「もうこの診療所では酸素の残りも少ない」
と言い私の方を辛そうに見ている…
息子が「お父さん…助けて…僕怖いよ…」
と口から血液を、吐き出し苦悶の表情を
浮かべていた。
医者が可哀想だが、楽にしてあげなさいと
私の方を見て右手に薬が入っている
注射器を持って私が諦める事を待っている。
私は辛そうにしている息子を見つめ
医者に楽にしてあげてくれと伝える。
医者が処置を、終えると息子は
穏やかな表情で私の元から離れ
手の届かない場所へと旅立つ。
「そうか…これはあの時の…」
いきなり風景が変わる。
実家の一室に私とお腹の大きな妻が
布団の中でお腹を擦りながら
「この子の名前は、決まった?」
と笑いながら話す。
私はまだ決まっていないと伝えると
冴は
「男の子だったら一也、女の子だったら光音が良いわ…」
と言うので良い名前だと二人で笑う
あの頃は幸せだった…
と感じていると又景色が変わる。
雨が沢山降り
あの時の公園にある土管に座っている。
水溜まりに写る姿を見ると
髭も伸び髪もボサボサの疲れ切った
汚い男が見える。
手元を見ると家族写真を握りしめて
小型ナイフを右手に持ち
左手に刃を当てている。
そうか…
あの時か…
覚悟を決めて家族の元に行こうとすると
土管の中に小さな女の子が息を荒げて
入ってくる。
異国の子供だろうか、綺麗な青い瞳が
こちらを見つめる。
女の子は「おじちゃん死んだら駄目!」
と私に言うとナイフを、取り上げようと
する。
すると今度は土管を覗く不気味な男が
「お菓子をあげるからこっちへおいで…」
と女の子に向かって手招きをしている。
女の子は男を怯えた表情で見つめ
「この人子供を捕まえて売ってる…。」
と言うと私の後ろに隠れる。
不気味な男は「何故それを知ってる!」と
言うと懐から拳銃を取り出してこちらに
向ける。
私は子供を庇いながら後ろにゆっくりと
下がる。
私達が土管から出ると男は銃口を私に向けて
「後ろにいるガキをこっちによこせ!」
「あんたの命は見逃してやる。」
と私に脅しをかける。
別に撃たれても構わないとゆっくり男の方へ歩いて行く。
男は私の足元に威嚇射撃をして
「次は頭を撃ち抜く!」
と更に威圧的に睨みつける。
そんな男の言葉も無視して男へ更に近づく。
男は「なら死ね!」と言うと
私に向かって引き金を引くが頭に当たらず
肩に当たる。
次の弾が撃たれる前に男の腹部にナイフを
突き立てる。
致命傷にならず男は痛みに耐え兼ね
お腹を抑えうずくまる。
すると複数台のパトカーが男を取り囲む様に止まると、男を取り押さえ連れて行く。
警察官が私の風体を見て同じく犯人だと
思ったのだろう。
私の手に手錠を掛けようとすると
先程の女の子が
「その人は私を助けてくれたの!」
と言って私にしがみつく
警察官は
「失礼しました!では後で詳しい事を聞きたいので署 まで来て貰えますか?」
と言い肩の傷を布で抑え流れる止血をしようとしていた。
私はこの世に未練がなくその手を払う。
そして力が入らず地面に倒れる。
すると女の子が怒りながら
「おじちゃん!そんな事をしたら冴さんや
一也君が悲しむよ!」
と私に向かって必死に訴える。
この子は何故冴達の事を知っているのか。
その事を考えていると私の耳元で
「私、本当は人間じゃ無いの…。」
「妖怪だから、ずっと一人ぼっちなの…。」
「おじちゃん、私の事怖い?」
と不安そうに聞く。
何故か女の子と息子が重なって見える。
私は
「怖く無いよ、大丈夫おじさんがずっと側にいるから…。」
と青い瞳を持つ女の子の頭を優しく撫でる。
女の子はにこりと嬉しそうに笑うと
「私の名前は志保て言うの。」
「おじちゃん、約束だからね。」
と私に伝えると何処かに消えて行く…
何故今になってこんな光景を見ているのか
を考えていた。
すると今度は綺麗なお花畑にたどり着く
川の向こうで誰かが叫んでいるが遠くて
声が聴こえない。
私は声のする方に行こうとすると
「パパ!そっち行っちゃ駄目!」
と言われ強い光と共に何かに引っ張られる。
ハッと目が覚めると心配そうな顔をしている
座敷わらしと柊さんが見えた。
頭が何故かズキズキする。
私は起き上がり周りを見ると
心地好い風が吹き草花が揺れる草原が
広がっていた。
ぬらりひょん様が
「座敷わらしに感謝せんと行かんぞ!」
「お主黄泉の国に行きかけたでのぉ。」
と笑って話す。
すると枕小僧が
「強く殴り過ぎたっす。」
「すいやせん。」
と平謝りしていた。
覚さんがため息をしながら
「では、鈴木君も来たので主呼びの名に付いて話しますか。」
と話しを進める。
私と母は声を揃えて「主呼びの名?」と
言うとぬらりひょん様が
「いつまでも座敷わらしと呼ぶにはいかんじゃろ。」
「だからちゃんとした名前を付けるのじゃよ。」
「では各々座敷わらしの真の名を考えませい!」
と言うと手を叩く。
すると私達の目の前にフリップと油性ペンが
現れる。
ぬらりひょん様は
「そこに座敷わらしの真の名を書くのじ
ゃ。」
と言うと座禅を組み真剣に悩んでいた。
座敷わらしが
「わたちのなまえもうあるよ。」
「みおんなの。」
と言うと私を小さな手で抱き締める。
光音と聞いて私は驚いていた。
妻の冴が考えた名前だ。
光音《座敷わらし》は
「パパの事がだいしゅきだっていうひとがいってた。」
「だからね、わたしもねパパがだいしゅきだからこのなまえがいい!」
とぬらりひょん様に言うと
「光の音でみおんか…確かに良い名じゃ!」
「よしこれで決まりじゃな。」
「座敷わらし改め鈴木光音じゃ。」
そういうと大きな巻物を取り出して
「真の名をここに刻む。」と
ぬらりひょん様が巻物に、念じると
巻物に、私の名前とその横に鈴木光音と文字が浮かぶ。
「これで主呼びの名は終わりじゃ。」
「家族会議はこれにて終わりじゃ皆の集
お疲れ!」
そういうと目が覚める。
源九郎
「いや~久しぶりの主呼び名は緊張するべ」
源九郎
「無事に、終わって良かったわ。」
源九郎
「香織、家にけえるべ。」
香織
「そうですね…帰りますか。」
香織
「鈴木さん、娘の志保を、宜しくお願いいたします。」
そういうと雲外鏡に連れられ帰って行く。
母も
「いや~良い経験させて貰ったわ!」
「じゃあ、光音ちゃんばぁばは、明日仕事だで帰るわ。」
と光音を、抱き締めると
ぬらりひょん様の浮雲に乗り帰って行く。
柊さんは、
「私も明日仕事なので先に寝ますね」と
言って引いた布団の中に入る。
覚さんは
「鈴木君、光音ちゃんの事だが、仕事の日は私と柊さんが面倒を、見ているから安心しなさい。」
「明日は潜入先に出勤だろう、早く休みなさい。」
「私もここにしばらく寝泊まりするから
安心しなさい。」
そういうと布団を、別の部屋に運んで
行く。
そして私は血の付いた枕カバーを、
必死で手洗いしている枕小僧に軽い
話し合いを、するとゆっくり休む。
枕小僧はただ部屋の片隅で
静かに泣いていた…。
こちらの物語は、一身上の都合により
不定期掲載になります。
暖かい眼で見て下さい。




