第7章 10話
あれからどれくらいの時間が経ったのだろう。
ほんの数十秒しか経っていないかもしれないし、数時間も経っているかもしれない。
あくまで私の主観でしか測れない。
いや。
本当はスマホを見るのが怖い。
もし本当の時間を見たら、発狂するかもしれない。
それぐらい、長い長い時間が過ぎたような感じ。
でもここはブラックホールの中。
時間というのが正確に刻まれているのかが分からない。
誰も中の事を知っている人はいない。
それはそうだろう。
光すらも脱出出来ないほどの力だと言われている。
だからこそブラックホールというのは黒く見える。
それは光を反射しないから。
光が飲み込まれ外へと出る事が無いものは、人間には黒いという認識しか出来ない。
太陽の日が沈んで夜になった時がまさにそう。
人間は光が無いと物を見る事が出来ない。
そしてここはまさに何もない空間。
光も無ければ音も無い。
あったとしても、ブラックホールに飲み込まれ私には届かない。
まさに無の空間。
人間は刺激の無い状態ではそう長い間精神が耐える事が出来ない。
確かそんな実験をやったみたいな話は聞いた事がある。
でも詳しい事は忘れた。
私はあくまで、そこまで興味の無い普通の女子高校生。
それが父親が科学者であり。
タイムトラベルの実験を行い。
それに巻き込まれただけ。
こんなとんでもない事になるなんて、思ってもいなかった。
もし余計な事さえしなければ。
いや。
過ぎた事を悔やんでも仕方ない。
それに。
本当に解決出来る道があるかも確かじゃなかった。
たった7回とはいえ、同じ日の同じ時間を繰り返す事に慣れてきていた。
もしあのまま、延々違う事が起きたとしても、果たして私は正気でいられるだろうか。
20時になったら絶望するって事が分かっていて、それでもなお繰り返す事に耐えられるのだろうか。
結局、同じ事なのかもしれない。
このまま無の空間に漂い続ける事と何の違いがあるというの?
結局、精神が疲弊していく事に変わりがない。
何の希望も無い。
あれ?
目線の先に変な物が映っている。
いや。
確かに何も無いと思っていた空間にそれはあった。
それは6つの扉。
それぞれ、矢野摩耶、桜崎遥、一条みなみ、山田・クリス・恵子、矢野理香、水谷優子と書いてある。
何これ!?
そのうちの一つのドアノブに触れる。
触れる!?
どういう理屈でこんなのがあるのかは分からない。
また絶望を味わうかもしれない。
でも。
やるだけやってみる!
そう思うと、私は扉を開けた。




