第8章 異次元への扉
私は気が付いたら秋葉原に戻っていた。
何度も見たこの光景。
はっと気づいて辺りを見渡す。
あの時山田・クリス・恵子の扉を選んだ。
もしかしたら。
そんな都合の良い事が?
いや。
まだ希望は捨てない。
そんな思いが届いたのか。
そこには山田さんがいた。
やっと見つけた!
私は慌てて駆け寄る。
「あなた。山田・クリス・恵子ね?」
「え?あなたは!?」
警戒される。
そういえばそうか。
私は彼女に会うのは二度目だが、彼女は私に会ったのはこれが初めてだった。
また一から説明しなきゃ。
「私は坂本凛と言うの。あなたの知恵を借りたいの」
「どういう事です?」
「私はタイムトラベル実験の事故に巻き込まれ、今日の23日16時から20時までを繰り返しているの。そして私はあなたと会うのは初めてじゃない」
「タイムトラベル実験!?そんな事が?」
「その証拠に。あなたはセルンの研究所に所属して、休みを利用してここに来ているって事を知っているわ」
彼女は相当に驚いた。
だけど、少しずつ納得し始めている。
それはそうだろう。
初めて会った人が自分の所属している所をズバリと当てられる訳がない。
「私に会った事があるって言ってわね?」
「ええ。あなたが天才科学者だって事も知っている。だからあなたの知恵を借りたいの。これから起こる事を阻止したいから」
まずは彼女から、この状況を打開する為の方法を聞かないといけない。
その為に7回も同じ事を繰り返して来たのだから。
「普通なら信じられない事だろうけど、でも私の事をこの遠い秋葉原という地で知っている人なんてまずいない。そうなると、あなたの言っている事はかなりの確率で正しいでしょう」
「ちゃんとこれから起こる事も知っているわ。これからすぐに中央通りで交通事故が起きる。そのせいで秋葉原ダイビル付近が封鎖されるわ」
その言葉の直後だった。
もの凄い衝撃音が響く。
時間通りね。
山田さんが慌てて中央通りの方へと走る。
そこには大参事の光景があった。
「本当に交通事故が起きた」
「そして、そのタイムトラベル実験が行われようとしているダイビルには入れなくなったわ」
「あそこで!?」
「ええ。ダイビルに地下が存在していて、そこで行われるの。でも毎回20時にならないと中には入れなかったわ」
そこでようやく理解をし始めた。
「つまりあなたの言い方だと、決まっている事と決まっていない事の区別があるのね?」
「ええ。あなたに会うまでに6回は繰り返したわ」
山田さんは考えている。
「でも、このままじゃ失敗を阻止出来ない。それは決まっている事だから。どうやったら阻止できるの?あなたは一度、その区別で分かると言っていたわ」
「なるほどね。どうやら一度目の私が何を考えてあなたに託したのか、分かり始めてきたわ」
さすが同一人物。
理解が早い。




