王都の反乱
王都に向けて飛んでいたところ、イブキはそれらしい軍勢を発見する
両勢力は戦闘を行っていた
しかし明らかに多勢に無勢だった
イブキは状況を確認するために少数のほうの勢力のもとへと降り立った
「何者だ!刺客か!」
刺客だと疑われるのはこれで二度目だ
その質問に対し、イブキは即座に返答する
「お前達が守っているのがコーネリアス王ならば、俺は敵じゃない。俺は王を助けにきた」
「なに?」
「で、どうなんだ。お前達の守っている人物はコーネリアス王なのか?」
それを聞いても疑いの目は消えなかったが、兵士の一人が王のことを認めた上で
「そこまで言うなら力を貸してもらおう。ただし、素性のわからないお前の手助けはしない。一人で動くんだな」
「ああ、それで十分だ」
そう言うと、イブキは再度空を飛び、王らしき人物に向かっている敵の軍勢に強力な魔法を放った
その一団は魔法により吹き飛んだ
続けざまに敵の司令官らしき人物に向けて飛ぶ
「敵の魔導士か!撃ち落とせ!」
司令官がそう叫ぶと、司令官の周囲にいた弓兵がイブキに矢を放つ
イブキは近づくことが出来なかったが、空と陸とでは圧倒的に優劣があった
イブキは弓の射程外まで高度を取ると、司令官に向けて強力な魔法を放った
司令官が倒されたことを察した敵兵は散り散りになって戦場を離れていった
そうして、イブキはコーネリアスのもとへ降り立った
「誰かは知らないが助かった。俺はこの国の王のコーネリアスという」
「ああ」
コーネリアス、26歳
リーベル国の若き王
整った顔立ちに短く整えた金髪と、深い蒼色の瞳を持つ端正な青年
「ところでお前は誰なんだ?」
コーネリアスの当然のその質問に対し
「俺はリリアーナ王女の護衛だ。王の危機を聞いてな、一人で助けに来たわけだ」
「そうか。オルフェリア国には優れた魔導士がいるのだな」
厳密には違うがそういうことにしておこう
「あと、これを王に渡すように言われている」
そう言ってイブキはステラクリスを差し出した
「これは・・・」
コーネリアスはその宝石を受け取るとまじまじと見つめた
そして納得したように口を開く
「なるほど。お前が王女の護衛だというのは本当のようだな」
しばらくの沈黙のあとコーネリアスはさらに尋ねた
「それでリリアーナ王女はどこに?」
「今は身を隠している」
「この近くなのか?」
「いや、どこかはまだ言えないが、それなりに距離は離れている」
それを聞いてコーネリアスは考え込む
その様子を見てイブキは
「一人くらいなら運べるぜ。リリアーナのところへ一緒に行かないか?」
「そうはいかないのだ。奴らの奇襲を受けて散り散りになってしまった味方の兵が集結しようとしている。俺は味方の兵を集め、王都を奪還しなければならない」
「奴らって?」
「宰相のマルエガだ」
そうして、コーネリアスはマルエガについて話し始めた
マルエガ、48歳
リーベル国の宰相であり、前王の時代から国に尽くしてきた
軍事的才能に優れており、オルフェリア国との戦闘では多大なる功績をあげた
そして宰相にまで昇り詰めた
「なぜ宰相が反乱を?」
「奴は和平には反対だったのだ。俺が決定した和平案に対してもマルエガは当初から反対していた。しかし、最終的に奴はステラクリスをリーベル国がもらいうけるという条件を提示して和平を受け入れることにした。そう思っていた」
「しかし、そうではなかったということか」
「ああ。その後、反乱の準備を進めていたのだろう」
それがここに来て一気に噴出した
コーネリアスをリリアーナに合わせたところで、国そのものの体制が変わってしまえば和平の意味がなくなる
今はコーネリアスはこの場で味方の戦力を集める必要があるから動けない
そして、逆にリリアーナをこの戦場に連れてくるというのもやはり危険だからやめておいたほうが良いだろう
最終的に、イブキはコーネリアスのもとに戦力が集まり、王都を奪還するまでは、コーネリアスを守り、その手助けをするほうが良いと判断した




