リーベル国王の危機
「そういや、聞いたか?」
一緒に料理を食べていた釣り人の一人が話し出す
「なんでも、王都で反乱が起きて、若き王コーネリアスが命からがら逃げ伸びたって話だぜ」
それを聞いてリリアーナは顔色を変える
「その話、本当なんですか?」
「ああ、昨日酒場でそんな話をしているのを聞いた」
コーネリアスと言えば、リリアーナが和平の交渉に会いに行っている相手だ
イブキとリリアーナは顔を見合わせる
「ちょっと、用事が出来た。俺達は酒場に行って話を聞いてくる」
イブキは釣り人達にそう言い残して、リリアーナと二人で酒場に向かった
酒場に着くとまだ日が落ちて間もないのに賑わっていた
「何か酒を二人分たのむ」
イブキが店主に話しかける
出てきたのはビールのような飲み物だった
リリアーナは21歳と言っていたから、酒を飲ませても問題ないだろう
この世界の年齢規制はわからないが
「なあ、王都で異変が起きたんだって?」
イブキが店主に聞くと、情報を教えてくれた
さすがに酒場の店主だけあって、いろんな情報を耳にしているようで、ある程度詳細な話を聞くことができた
王都で和平反対派が反乱を起こしたらしい
奇襲を受けたコーネリアスはわずかな手勢と共に王都を脱出した
現在のところまでの情報だと、コーネリアスが捕えられたとか殺されたという話は無いようだった
その後、二人は宿に戻って対応を考える
「俺が一人で様子を見てくる」
それがイブキの提案だった
しかし、リリアーナは
「いえ、私も一緒に行きます。コーネリアス王に直接会えば、ひとまずの和平の交渉は完了します。私はそのためにここまで旅をしてきたのですから」
しかし、イブキはそれを否定した
「いや、ダメだ。理由はいくつもある」
まず、事は急を要する
イブキ一人で移動するほうが移動時間が遥かに早い
二人で飛んでいたら王の危機に間に合わなくなる可能性がある
そして、王が反乱軍に追われているとしたら戦闘になる可能性がある
リリアーナがいれば戦闘で不利になる
言葉を選ばずに言うなら、足手まといになる
リリアーナ自身の身の危険もある
それにシャルロッテがもうすぐこの街に来る
誰かが船着き場まで迎えに行かないといけない
それにどうやらこの街は安全なようだ
わずかな期間であれば護衛を離れても問題はないだろう
その話を聞くとリリアーナは少し考えたが了承してくれたようだ
「わかりました。ただ、これをコーネリアス王に渡してもらえませんか」
そう言ってステラクリスを差し出してきた
今回の和平の条件になっていた神々の力を秘めていると言われる宝石
それを差し出したままリリアーナは続ける
「少なくともこれをコーネリアス王に渡すことができれば、交渉の大部分は完了します」
イブキは少し考えたが
「わかった。これは王に渡す。ただし、それだけでは和平交渉は完全には終わらない。俺が必ずお前と王を引き合わせる」
そう言って、ステラクリスを受け取った
そうして、イブキは王都の方角へと飛び去った
それをリリアーナは静かに見送っていた




