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決戦

「あそこがコロシアムか」

「普段はイベントなどの催しをする時に使う物よ。けど、今日は違う」

「そうだな・・・」

 無人の街を抜けてコロシアムの入り口から堂々と入っていく。抜けた場所は広い。俺たちの登場と共に音楽が鳴り響く。

『さぁ、やってまいりました!! 今宵のイベントのメイン参加者である犯罪者達だ!』

 俺たちがスポットライトで照らされる。なるほど。そういうことかよ。

『くぅー・・・まだ、子供たちだな! けど、その力は計り知れない。その犯罪者達に制裁を加えるところを見て貰うために皆さんに集まって頂いた!!

 犯罪者達を処刑する断罪者を紹介する!!』

「主様、これは・・・」

「ああ。俺たちが犯罪者だから晒し上げにすることで、魔力を吸い取ろうとしてるんだろうな。魔力を最小限にして、戦われるとリザレクションコアの魔力が足りないんだろう。

 にしても、逃げろって言ったのにこんなにも人が集まるなんてな。この国の危機管理を改めた方がいいんじゃないのか?」

「か、考えておくわ」

『さて、1人目の断罪者はこいつだ! 北から攻めてきたタイラントドラゴンを10頭も討伐したことで有名な竜殺しの騎士! レディオ!!』

「お前たちはここで殺す。国落としなど絶対にさせん!」

『さて、犯罪者達は誰が戦う!?』

「なるほど。決闘方式って感じか。誰が行く?」

「妾が行こう」

「大丈夫なのか? ワシが言うのもなんじゃが、あやつは竜を殺せる騎士じゃぞ」

「問題無い。妾が奴らの戦意を喪失させてくる」

 スカーレットが前へと進み出る。相手は竜王女だってことに気付いてないのか、かなり挑発的な態度を取ってるな。

「俺は、女性だろうと関係なく、犯罪者なら殺す。ただ、そうだな。許しを請い、俺の女になるというのなら考えてやらんこともない」

「ふむ・・・。おい、どうやったら勝敗が決まるんだ?」

『相手を戦闘不能にするか殺せば勝ちだ。負けた人間をどうしようが勝者の自由。ルールはそれだけだ』

「だそうだな。勝ったら考えてやろう」

「生意気な女は嫌いだ!!」

 レディオはスカーレットとの距離を一気に詰める。そして、手に持った巨大な斧を片手で振り下ろす。常人なら死ぬ一撃。

「なっ・・・」

「人間にしては高みにいる。けど、済む次元が違い過ぎたな。やり直してこい!」

 指1本で斧を止めたスカーレットは、レディオの腹部を思い切り殴り飛ばす。その衝撃で、レディオが入ってきた入口まで吹き飛ぶ。

「さて、まだ戦う気があるのなら妾が戦おう。なぁに、殺しはしない。だが、かなり痛い思いはして貰うぞ」

 スカーレットの睨みに断罪者を名乗る騎士達は怖気づく。

「スカーレットも丸くなったな。前までだったら問答無用で殺してただろうに」

「そうなの?」

「ジャンヌと会う前までは、竜として人間を見下してたところがあったからな」

「私に会う前・・・」

「そう。ある意味では、ジャンヌがスカーレットを変えたってことだな」

 その言葉を聞いて、ジャンヌは微笑む。スカーレットは確かに前に比べると変わった。

「スカーレット、多分、戦う意志は無い。もう終わりでいいだろう」

「―――、―――」

「え? アリス何か言った?」

「何もじゃ・・・」

 オリヴィアの問いにアリスが答えたと同時に後ろに控えていた騎士達が急に殺気立つ。何が起こった? 今までと比べ物にならないぐらいの魔力量に跳ね上がってる。

「む・・・奴ら、ドーピングをしおったか」

「ドーピング?」

「うむ。一時的に魔力を底上げ出来ることが出来る。確か・・・レヴォと言ったか」

「ここに来ても麻薬か。けど・・・」

 ドォン! という音共に襲い掛かってきた騎士たちが壁へと吹き飛ばされる。スカーレットは涼しい顔で俺たちのところへと戻ってくる。

「妾達に挑むのがそもそも間違いだったな」

「ここまでなのか・・・」

 観客たちもシーンと静まり返り、司会の人間も静まってしまっている。

「ちょいとマイク借りるぞ」

「あ、おい!」

『あーあー。俺たちは騎士達を簡単に倒せた。この意味が分かるか? 今すぐにでも立ち去らないと、分かるよな?』

 うわわわぁぁぁーーー!! という叫び声と同時に観客たちが一斉に逃げ出す。そして、誰もいなくなった会場には司会の人間と俺たちだけが取り残される。

「さて、もう正体を見せたらどうなんだ?」

「は?」

「あんたがマクスウェルなんだろ?」

「何言っ―――」

 俺は、司会の人間をデミスで斬りつける。だが、剣が見えない何かの壁に止められて、それ以上は行かない。

「止せ。その者は無関係だ」

「マクスウェル様!」

「逃げろ。ワシが全てを終わらせる」

 司会の人間が走り去る。やっぱり、こいつだったのか。最初に戦った騎士のレディオ。それが、マクスウェル。

「いつ気付いた?」

「レヴォの作用から狂暴化した騎士達をみた瞬間。あの時、あんただけが何事も無く、いたからな」

「なるほど。お前たちを殺すには、いい機会だ。ワシが終わらせ―――」

「残念じゃが、そうはいかぬ。ワシの代わりはもうお終いじゃ」

 マクスウェルの胸に一線の光が走ったと同時に崩れ去った。何が・・・起こったんだ?

「ワシこそがマクスウェル。そやつは、偽物。消された世界のマクスウェルこそがワシなのじゃ。そして、計画の全てを発動する」

 俺たちの後ろにいたアリスがそう云い放つと、コロシアムがバリアに包まれる。そして、急激な重力の変化により、体が重くなる。

 何がどうなってるんだ。

「ワシは、ワシの世界を復活させる。その為の贄となってもらう。そう、このリザレクションコアの贄に!」

「アリス! 何で、どうしてこんなことを」

「言ったはずじゃ。ワシは、消された世界のマクスウェルじゃと。世界を復活させるのが目的じゃ」

「なら、こっちの世界のマクスウェルはその殺された人だってのか!?」

「違う。こちらの世界のマクスウェルは・・・お前じゃ。オリヴィア」

「え?」

「何も話すことは無いのじゃ。うぬたちの魔力と国民の魔力を使い、理想とする世界を復活させるのじゃ」

「そんなことさせないわ。私が知ってるアリスにそんなことはさせない」

「ワシの何を知っておる? 世界を消されたワシの何を知っておるのじゃ!!」

「知ってるわよ。好きな食べ物は甘いお菓子、嫌いな食べ物は辛い物。厳しくも優しい人。そして、誰にでも平等に接する器の大きさも持っている。

 生まれも育ちも知らない私を受け入れてくれ、名前までくれた。真帝から守ってもくれた。

 私の親のような人、それが、あなたよ。アリス。

 だから、私が止めてみせる。オリヴィア=トワイライトとして、過ちを犯そうとしている人を止めてみせる。四帝の一人としてではなく、娘として、あなたを止めてみせます」

「な、何を言っておるのじゃ! どんな事を言おうと、うぬらに何も出来はしない。ここで、終わるのじゃ」

 アリスの計画が急激に加速する中で、オリヴィアもまた、決意を固める。そう、心によって人はどうとでも強くなれる。他が備わっている人間ならば特に。

 今、戦いが始まろうとしている。

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