計画阻止のために
「このサイレンは・・・」
「分からぬのじゃ。特に外部からの敵も感じぬが」
『突然の警報失礼。マクスウェルである』
国中に鳴り響く声。そして、空中には老人が立った映像が流れている。
「あれが、マクスウェル?」
「そうじゃ。魔法で映像投影などを行っておる」
『この警報は重大な物ではないことを知っておいて欲しい。敵が攻めてきたなどの危険は無いので安心するように。
では、何のための警報だったのか・・・。
3日後に国中に、あるリングを配る。それを装着し、翌日に開催される国の祭りに参加をして欲しい』
「リング?」
「・・・なるほど。国民には悟らせずにリザレクションコアを発動させる気じゃな」
「どういうことだ?」
「リザレクションコアには魔力を使用すると言ったはずじゃの。その魔力を集めるのに使用するのにリングを用いるのじゃ」
「なるほど。だけど、それなら装着した瞬間に魔力が奪われるんじゃないのか? それなのに翌日に祭りを開催するなんて」
「リングが装着者の体に馴染むのに時間が掛かるのじゃ。それが、1日間」
「祭りで安心させつつ、確実に計画を進めるって訳か」
「その通りじゃ。しかし、ワシらの魔力も計算に入れておるのなら計画は成功しないはずじゃが・・・」
「祭りが全ての締めということだろう。そこで、全ての魔力を奪い去るつもりだ。国民が危険なら妾達も来るということを知っての作戦という訳だ」
「考えておるのー・・・」
「オリヴィアはどうしたい? 俺たちはオリヴィアの助けになりたい」
「私は・・・」
オリヴィアは顔を上げて俺たちに決意を告げる。そして、俺たちの国落としが始まる。
「この先で国中に放送が出来るのか?」
「そのはずよ。マクスウェルの場合は独自の魔法を使ってたみたいだけど、本来はこの先の場所が国に知らせる放送の場所よ」
「なるほど。急ごう」
サイレンが鳴り響き、マクスウェルによるリザレクションコア計画が発動した翌日に俺とオリヴィアは国中に放送が出来る施設へと向かっていた。
「にしても、警備が薄すぎないか?」
「そもそも警備なんてあって無いような物よ。この場所はマクスウェルが宰相になってから一度も使われたことの無い施設。
そして、使う意味も無い施設もである」
「なるほど。なら、警備なんてする意味ないか」
「そういうこと」
警備がほぼ無い状態の施設を突き進み、国中に放送が出来る場所へと着いた。俺がいた世界の放送室とは全然違うな。
中央に球体があるだけか。
「この球体が投影と拡声をしてくれるの。さぁ、やるから離れてて」
「あ、ああ」
オリヴィアによって球体が起動し、放送が開始される。球体に国中が映ってる。凄いな。
『皆さん、突然の放送を失礼します』
球体に映し出される人々は急な放送に驚き、慌てている。
『私の名前はトワイ―――いいえ、オリヴィアと言います。この放送は何だろうと疑問に思うかもしれません。
3日後に国で開催される祭りで・・・この国を落とします。その過程として、集まる人々を殺していきます。
なぜ、こんな犯行を声明するのかと思うでしょう? 私たちは、血を見たいのではないからです。死にたくなければ、祭りに参加しないことです。
あぁ、本当に出来るのか疑問に思われるでしょうから、デモがてら教会を落としておきますね』
その合図と同時に無人になっている教会が吹き飛ぶ。その様子を見て、国の人々は動揺をあらわにする。
「これで、祭りに来ることが無くなってくれればいいが・・・」
『では、失礼しますね。我らが組織、紅の蓮が全てを終わらせます』
放送が終了してオリヴィアが一息つく。
「紅の蓮ってなんだよ」
「組織名があった方がいいでしょ?」
「組織って言うほどでも無いんだけどなー・・・」
「何言ってるの? あなた達の戦力を考えれば、組織なんてレベルじゃない。国家の軍事力に相当するわよ。
竜王女、竜王女の眷属、純白の魔力を持つ聖女。3人だけで世界を覆すことも可能な戦力なのを自覚した方がいいわよ」
「あ、ああ。・・・にしても、良かったのか? これで、オリヴィアはもう王として戻れないのに」
「私は、王としてこの国にいるよりもこの国を守ることを誓った。私が愛され、愛した国を守るのに王である必要は無い。
大事なのは国を想う気持ちでしょ? 竜王女に教えられたわ」
「そうか・・・。なら、この国を守らないとな」
オリヴィアは頷き、この部屋を出ようとする。が、球体が突然輝きだして、とある人物を投影する。
『やはり、お前たちか』
「マクスウェル!?」
『竜王女の眷属と敗北の王。珍しい組み合わせだな。祭りを中止に追い込んだところで、この国が終わる運命までは変わらぬ。
もう全てが終わりなのだ』
「いいえ、終わっていないわ。まだ私たちがいる。全てを守り抜いてみせるわ」
『負けた王が何を言っても無意味。紅の蓮と言ったか・・・。捻り潰して、ワシの計画を遂行する』
「やれるものならやってみなさい。あなたが対峙するのは四帝、竜王女、竜王女の眷属、聖女よ。私たちは勝つ」
『面白い。ならば、3日後の祭りで全てを終わらせようではないか。待っているぞ』
マクスウェルはそのまま映像を切ってしまう。宣戦布告みたいなもんんか。にしても、オリヴィアは心が強くなったな。前までだったら怖気づいてただろうに。
スカーレットによって変わったのか・・・。
「3日後・・・。それで全てが終わるのね」
「ああ。勝っても負けても全てが終わる。けど、負けるなんて未来は来ない。俺たちが勝つから!」
オリヴィアと決意を新たに宿へと戻る。そして、教会を破壊するために出向いていたスカーレット達と合流する。
宿の店主は、アリスの部下ということもあって、あの放送があった後でも問題無く泊まれるようにしてくれている。
「そうか。マクスウェルが接触してきたのじゃな」
「ああ。特に何をするでもなく、宣戦布告みたなことをされたな」
「面白い。主様、いずれは決着を付けなければいけない相手。向こうから売られた喧嘩なら買おうじゃないか」
「その通り。戦うべき相手からの宣戦布告。なら、戦って勝つ!」
全ては3日後に決着する。国全てを巻き込んだ計画を終わらせるための戦いが始まるんだ。そう、この時まで何もかもが上手くいくはずだと信じてた。
信じてたんだ・・・。




