再会
「魔力の練りが甘いのー。魔法は想像力と繊細な魔力コントールじゃ。うぬが見せた、でみすおぶかたすとろふぃは未完成じゃ」
「あれで未完成なのかよ!」
「ほれ、また魔力が乱れておる。・・・そうじゃ。魔力の流れを感知するのじゃ。そして、自身の体に留める。魔力は自身を強化するのに用いられるが、本質は違う。だから、知らねばならぬ。魔力が持つ真の力を」
「ふぅー・・・魔力を感知するのがこんなに難しいなんてな」
「当たり前じゃ。普段では使わぬ力なのじゃ。力の使い方を知らぬのにいきなり使うんだーと言っても無理な話じゃろ」
俺はアリスから魔力の操作を習っていた。マクスウェルが興味本位で終焉の破局を見たいって言ってきたから見せたら、修行という形になぜかなっていた。どうしてこうなった。
「ワシも長い間、魔法に携わってきたがうぬのように魔法の資質ある若者を見るのは久々じゃのー」
「久々? 前にもいたのか?」
「・・・トワイライト。四帝の一人であり、この国の王様じゃよ」
「へぇ、やっぱり四帝は強いんだな」
「才能という言葉でトワイライトを片付けれぬ」
「どういうことだ?」
「うぬのように資質は確かにあった。だが、それ以上が無かったのじゃ。常人と同じ努力をしても常人に抜かれ、他の四帝の兄達よりも弱い。トワイライトは相当辛かったはずじゃ」
「けど、強いんだよな?」
「強いよ。鬼のような努力をしたからの」
「鬼のような努力・・・」
「魔力は人間の力じゃ。使い過ぎればどこかに歪が出る。トワイライトは魔法の鍛錬だからとひたすらに魔力を酷使し続けた。
その結果、何度も吐血や気絶を繰り返しておった。それでも辞めなかったのじゃ。何度も何度も倒れても繰り返し魔法の鍛錬を続けておった。
そして、四帝に見合った力を身に付けたのじゃ」
「凄い努力家なんだな。会ってみて話してみたいな」
「それも難しいじゃろうな。マクスウェルが追い出してしまったからのー」
「それだけ強かったら何とか出来なかったのか?」
「ワシとトワイライトで応戦したが無理じゃった。それほどまでに心が強かったのじゃ。己が世界を取り戻すという信念がワシ達を遥かに凌駕しておった」
「なるほどなー。・・・うし。そろそろ帰るか」
「うむ。うぬもそれなりに魔力の操作を身に付けて来たようじゃの」
「さすがにこれだけの魔物と戦わされればな・・・」
俺は魔力の操作をしながら魔法だけで魔物の討伐の仕事をしていた。近接による攻撃は禁止された状況で魔法弾だけでの討伐を命じられた。
数が少なければ問題無いが、何十体も魔物を相手にするのに1体1体に全力だと魔力がもたない。だから、魔力の操作で1回1回の魔法の魔力使用量を抑えてる。
「にしても、魔法って本当に奥が深いよなー」
「当たり前じゃ。この世界が創造された時からあるのだからな。科学よりも歴史は古い」
「凄いな。俺の両親は何でこの世界を創ったんだろうな」
「それは、歪のために―――」
「あ、いや、そうじゃなくて根本的なことなんだ。何で他の平行世界を消す必要があったのかなって」
「ふむ・・・。それはワシにも分からぬな。世界の起源についてはある程度、書物などで分かることは出来たが」
「やっぱり、竜王に聞くしかないのか」
「竜王なら知っておるやもしれんな。何しろこの世界が誕生すると同時にいたとされているのじゃ」
「どれだけの年数生きてるんだよ」
談笑しながらだから宿までの道のりも早く感じるな。そして、宿へと到着して部屋に入る。
「主様、おかえり」
「ただいま。ダウンも来てたのか」
「ええ。少し仕事の話でもしようかなと思って」
「ほほー。客人か! 可愛い子なの・・・か・・・生きていたのか」
「ッ!! マクスウェル様!? 会いたかったです!!」
マクスウェルは俺が壁になっていて見えなかったダウンの顔を見て驚く。そして、ダウンも同じく驚く。そして、ダウンは涙を流しながらアリスへと抱き付く。
アリスがマクスウェルって何で知ってたんだ?
「スカーレット。ダウンにアリスの正体を話したのか?」
「いや、何も。主様が帰ってくる少し前に来たから挨拶程度しかしていない」
「なるほど。何でダウンは正体を知ってたんだ・・・」
「主様、アリスが知っていて、ダウンがアリスのことをマクスウェルと知っている可能性は一つだけだと思う」
「ダウンが四帝の一人であるトワイライトか」
スカーレットが言っていた可能性は当たっていた。ダウンこそがトワイライトだった。
「まさかグレン達の知り合いがトワイライトだとは思わなかった・・・」
「私もマクスウェル様に出会えて良かったです」
感動の再会って感じだなー。にしても、散り散りになったのに同じ街にいたなんて。
「トワイライト・・・いや、オリヴィアと呼んだ方がいいかの」
「ええ。マクスウェル様から頂いた名であるオリヴィアは気に入っておりますのでそちらでお願いします」
「2人が知り合いだったなんてな」
「うむ。ワシの弟子であり、国の王であるのがオリヴィアなのじゃ」
「私の全てを救って下さったのがマクスウェル様だ」
「なるほどねー。だから、そんなに距離が近い感じなのか」
オリヴィアがアリスを認識してから常に抱きかかえた状態で座っている。まぁ、アリス自体は幼女みたいな感じだから抱きかかえてる姿は様になってるな。うん、可愛い。
姉妹? というよりも恋に近い? のかな。そこら辺は突っ込まない方がいいか。
「それで? オリヴィアは何をしておったのじゃ?」
「はい。私はこの国で掲示板に貼ることが出来ないような仕事を頼みたい人の仲介人をしていました。何も出来ないよりかは出来ることをしたかったので」
「・・・そうか。オリヴィアは立派じゃのー」
「さて、王様とやらに会えたのはいいが、どうしたもんかねー」
「うむ。主様の要望通りにはいかぬだろうな。国が死んでいるような状態だ」
「国は死んでいない! まだ生きている・・・」
オリヴィアはスカーレットが言葉にした国が死んでいるというのに反応して掴みかかる。
「・・・放せ。事実だろ。別の世界の人間が実権を握っている国。そして、その思惑は国民を使っての世界の再生。
死んでいるといわず何と言えばいい」
「それでも! それでも、この国にいる人が生きている」
「その国民が死ぬと言っている。王であるお前が不甲斐ないせいでもう死んでいるんだ」
「・・・分かっている。分かっているさ。けど、もうどうしようもないんだ」
「はっ! 王なのに諦めるのか」
「なら、どうしろっていうの! 私たちでは勝てない。勝てないのよ・・・」
「王が諦めるなよ。身体を血に染め、傷付きながらも戦う王がいる。自身が何者かも分からないのにただひたすらに民を想い、限界を超えた力を発揮する王がいる。
妾達はその王の姿を見た。分かるか? お前は逃げてるんだ。口では国民という言葉を使うが、お前自身はそこまで国の事を思っていないのではないか?」
「そ、そんなこと・・・」
オリヴィアはよろけて座り込んでしまう。あまりにも辛辣な言葉。だが、スカーレットがアーサー王のことをそこまで評価していたなんてな。
「もうよかろう? うぬらの言いたいことは分かった。ワシらは休ませて貰う」
アリスはオリヴィアを抱えて立たせると部屋を出ていく。その去り際にスカーレットは話しかける。
「忘れるな。妾達がいるということを」
その言葉を聞いて2人は部屋を出ていく。
「スカーレットがあんなことを言うなんて驚きだったな」
「主様の計画のためにも腑抜けて貰っては困るからな。それに、個人的にムカついた」
珍しく怒りをあらわにしたスカーレットをなだめながら時は進んでいく。この国の終わりへの時も同時に進む。




