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力試し

「悪いな。わざわざ宿にまで来てもらって」

「いいんだ。私のところに来る方が逆に危ない」

「そうなのか?」

「私のところにはいろいろな仕事が来る。ということは、それが邪魔な人間もいるってことだ。いつ狙われてもおかしくない」

「だけど、ダウンは無事じゃないか」

「・・・まぁ、いろいろとあるんだ。それよりも仕事だろ?」

「ああ、そうだったな」

 机の上にいろいろな仕事が書かれた紙が並べられる。どれも魔物討伐だな。要望通りの仕事を用意してくれたのはありがたい。

 うーん・・・なんだこれ?

「この仕事だけやけに高額の報酬じゃないか?」

「あー・・・それだけは止めておいた方がいい。誰も受けない仕事だよ」

「そうなのか?」

「その討伐対象の魔物がヤバイんだ」

「スカーレット」

「うむ・・・。主様、その魔物は討伐ランクA級に属する。しかし、厄介さなど合わせるとS級相当すると言われてる」

「A級? S級? エンペラーアンデッド時に言ってたやつか?」

「そう。クエストの指標になる」

「お連れのお嬢さんの言う通り。ちなみにエンペラーアンデッドのランクはどれだったの?」

「AAA級とか言ってたっけか」

「凄いな・・・。AAA級は手練れの冒険者が10人以上のパーティを5つ以上組んで戦うレベルの敵だよ」

「そんなにだったのか。あの王様め。そんな敵を倒せなんて言いやがって・・・。ちなみにS級ってどれぐらいの敵の強さなんだ?」

「S級は英雄が戦うべき敵だって言われてる」

「は? 英雄?」

「そうだよ。英雄。四帝とは違う功績を残した人に与えられる称号」

「英雄とか四帝とかややこしいな」

「四帝以外にいる強い奴って覚えればいいよ」

「なるほどね。その英雄様が倒さないといけないほどの魔物ってのがこの近辺にいるのか」

「ええ。魔物の名前はタイラントドラゴン。竜種の中でも別格の強さを誇る竜。弱点は知性が限りなく低いってことぐらい」

「スカーレット。タイラントドラゴンに俺だったら勝てそうか?」

「今の主様なら余裕だな。英雄級以上の力がある」

「え? ちょっと待って。まさか一人で倒すつもり?」

「もちろん。強くなるために必要だからな」

「言い忘れてたのだけれど、タイラントドラゴンの数は数十頭よ。大丈夫?」

「・・・主様、さすがに厳しいと思う」

「ですよねー」

 一人での討伐を諦めて俺、スカーレット、ジャンヌ、ダウンの4人での討伐になった。ダウンは最後まで4人なんかじゃ無理!! って言ってたけど問題無いだろ。

 こっちには竜種の2番目に強い竜王女がいるからな。


「へぇー・・・あれが外界なのか。思った以上に綺麗だな」

「どんなところを想像してたのだ? 人の手が加えられていない自然。だからこそ資源も多い。世界全体での資源で考えたらそうでも無いのだが」

「なるほど。それで、あの空に飛んでる何十頭のドラゴンがタイラントドラゴンか。他の魔物が恐れてるからか他の気配が一切無いな」

「当然。妾もあの数のタイラントドラゴンは見たことが無い。何が起きてるんだ?」

「・・・魔王の影響だと思う」

「魔王? 魔物の王様ってことか。それが何で竜種の中でも強いタイラントドラゴンに影響を及ぼしてるんだ?」

「魔王の抗争が活発になってるって話らしい。各魔王の争いに巻き込まれないために移動して来たんだろう。けど、放っておいたら内界に甚大な被害出てしまう。だから、対処するしかない」

「なるほど、ね。スカーレット、ジャンヌやるぞ」

「妾の呼び声に応え、半竜化せよ。・・・うむ。久々にやったが何とかなりそうだ」

「私のところに来て! ウロボロス!」

「ジャンヌよ、今日の敵はあれらか?」

「うん。お願い!」

「は、はははははは・・・。竜王女に無限を司る竜 ウロボロスを使役する少女か。壮観だね」

「俺は何も無いんだよなー。何かそろそろ称号みたいなの欲しいな」

 半竜化したスカーレットは翼で飛んで行く。尻尾が生えて腕は竜の腕そのもの。小さい竜って感じだな。スカーレットがタイラントドラゴンにどんどんと攻撃をしていく。単体の強さがそもそも高水準だからかスカーレットが減らしていく数も多くない。

 ジャンヌは召喚したウロボロスと共に戦っていた。

 ウロボロスによる攻撃、ウロボロスを補助・回復する白の魔法を使ってジャンヌは支援している。2人共凄いな・・・。俺も負けてられないな。

「うし。無属性で何でも出来るって聞いてから練りに練ってた魔法を試すいい機会だな。

 おーい! スカーレットとジャンヌ。俺が魔法打つから合図したら離れてくれ」

「魔法? しかも無属性!? けど、あの竜王女とウロボロスを使役する少女を避難させる魔法なのか?」

「まぁ、見てろって。それと、あいつらの名前も覚えてやってくれよ。竜王女がアーデルハイト、ウロボロスと一緒に戦ってるのがジャンヌ。じゃあ、やるか!」

 俺は、無属性だと聞いてからいろいろと魔法のことを考えていた。何でも出来る。範囲が広すぎて考えが纏まらない言葉だ。

 だけど、ある一つの魔法を考えた。俺に足りない物。

 単騎での戦いならいいが、多数での殲滅力は俺に無い。だったら、魔法でド派手にやっちまえばいい。その方がカッコいいしな。魔法が超戦略級で使われることが無いならその通りの魔法を使う。それが、この魔法だ。

「スカーレット、ジャンヌ! 行くぞ! 終焉の破局デミスオブカタストロフィ

「むっ! ジャンヌ! 退け! 主様の魔法が来る・・・」

「この魔力・・・凄い。それにいろいろな属性が合わさって何が起こってるの?」

「嘘でしょ・・・。こんな魔法を撃つのは稀代の魔術師ぐらいよ」

「うおおおぉぉぉーーー!!」

 魔力の圧縮を繰り返し行い、力を掛け続ける。そして、無限にも続く力の圧縮と付与によって生み出されるのは。

「まぁ、ブラックホールみたいなもんだよな」

 出来た球体をタイラントドラゴンの真ん中に放つ。そして、周囲何㎞にも及ぶ広範囲が一瞬で消え去った。

 生えていた木々や地面すらも全て飲み込んで消滅。塵すらも残されていない。

「こんな威力とか聞いて無いんだが」

『マスターが聞いて来なかったからです。この魔法は数ある魔法の中でも群を抜いて危険な魔法です。残っていた何十頭ものタイラントドラゴンを一瞬で消し去り、周りの地形すらも消し去りました。

 もし魔法にもランクが存在するならEXクラスでしょう』

「EXクラス?」

『エクストラクラス。つまり、S級にも属さない規格外の魔法ということです』

 なるほどね。まだまだ魔法にも可能性があって面白くなってきたな。スカーレットとジャンヌも戻ってきて魔法の跡地を見る。

「・・・主様は本当に驚かせる」

「お兄ちゃんの魔法・・・凄いね」

「君たちは一体何者なんだ? 3人で国家と戦えるレベルの戦力を持ってる! こんな人たちが野放しでいていいのか・・・」

 ダウンが懸念してることも分かるなー。まぁ、国じゃなくて戦うべき相手は帝国なんだけどね。

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