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戦いの終焉

「にしても、ここまでたどり着くのにどれだけ掛かったんだろうな・・・。考えたくもない」

「我は楽しかったがな」

「俺をボコるだけボコるんだから楽しかっただろうな! ・・・ありがとな」

「礼を言われるのは・・・悪く無いな。現実の世界での時間は止まっている。お前が修行をして強くなったのを見せてやれ」

「ああ。またいつかこの世界のことを聞きに来る」

「いつか、な」

 俺は目の前にそびえ立つ壁にそっと拳を突き出す。力はいらない。必要なのはそれを操る心。そして、壁が崩れ去り、俺は旅立つ。

「私たちの子供はどうだった?」

「・・・大きく立派になった。世界を救えるだけの存在になるはずだ」

「そう。あの子に私たちの罪を贖罪して貰うことになるなんてダメな親ね」

「ダメな親でもあいつの親に変わりはない。我の友である君たちの子供だ。最後までしっかりと見届ける」

「悪いわね。世界をこんな風にしてしまった大罪人なのに、あなたはいつも手を差し伸べてくれる」

「当然だろ。我を育ててくれた恩人だ。竜神になろうともこの気持ちだけは変わることは無い」

 女性は霧となって消えた。後に残った竜神は悲しげに下を俯いている。

 そして、時は再び動き出す。


「ふぅー・・・」

「先ほどまでの殺気が無い。何がどうなっている」

「竜神なら帰ったぞ」

「・・・そうか。ならば、今が好機。今こそ確実に殺す!!」

 レムナントの一撃。前までなら避け切れずに凶刃によって死んでいただろう。でも今は違う。その刃を見切り、避ける。鼻先を通る剣をゆっくりと見ながらモードレッドへと向く。

 そして、思い切り顔面を殴る。

「これが俺の本来の魔力か。まだまだ使いこなせてない感じだな」

「主様! 何があったのだ?」

「・・・スカーレット」

 俺はスカーレットを見ると思い切り抱きしめた。俺の戦うべき理由を忘れまいと抱きしめてその感触を覚える。

 そうだ。俺はスカーレットのために戦う。世界だとかどうでもいい。世界が彼女を奪おうとするのなら世界すらも俺が倒す。

「ぬ、主様!?」

「ああ、悪い。まぁ、悪いついでだから」

 俺はスカーレットにキスをする。あまりにも積極的な行為にスカーレットはショート寸前になっていた。遠くから見ていたジャンヌも顔を真っ赤にしながら目を隠していたが、指の間からしっかりと見ていたようだ。

「もう離さない。俺が戦うべき理由を竜神との修行でハッキリと分かった」

「・・・そうか。なら、勝って。勝って妾達の旅を続けよう」

「そうだな。残り2人の四帝と真帝を倒して竜王に謁見。そして、スカーレットとの婚約を許して貰わないとな!!」

 モードレッドが吹き飛んで行った場所へと瞬時に移動する。瓦礫から出てきたモードレッドはたった一発の拳で血を流していた。

 さっきまでは俺の攻撃が一切通らなかったが、今なら通るのか。

「何が起きた。竜神で無くなったお前になぜ俺がダメージを貰う。なぜだ!!」

「お前が信念無き戦いをしているからだ」

「何?」

「お前は言ったな。心で戦えと。そして、アダムにも言われた。戦う信念を持てと」

「それが、どうした。俺は復讐という志のために戦っている。それが全てだ!」

「違う!! あんたの本当の心は違うはずだ」

「違わない・・・」

「なら、なぜアーサー王だと気付いていながら地下のアジトで殺さなかった。魔力を失った状態のアーサー王なら簡単に殺せたはずだ。

 あんたは一時でも父と子の関係を味わいたかったんだ。いや、ずっとあの関係でいたかったんだ」

「うるさい・・・うるさい!! 黙れ!! あいつがやったことを俺は―――」

 そこでモードレッドの言葉は止まる。激昂していた感情が徐々に冷静になっていき、うな垂れる。モードレッドも分かっていたんだ。憎しみの戦いはしたくないということを。

「だが、ここで止まることは出来ない。悪人は最後まで悪人で無ければいけない。そうしなければ、傷付いた人々が報われないからな。さぁ、最後の戦いだ」

「俺は、あんたを殺しはしない。けど、勝つ。竜神よ、新たなる力を貸せ!

 神をも討ちし竜の爪牙、汝全ての始まりを討ち、全てに終焉を」

 創世の刀 ジェネシスではない新たなる武器。自身の体に眠っていた力とスカーレットの力が合わさり出来た新たなる力。

「終焉の剣 デミス。全てを終わらせる」

「レムナント。・・・アーサー王から貰った剣。漆黒に染まった剣を今、元通りにする!! うおおおぉぉぉーーー!!」

 真っ黒だった剣は黒が剥がれて行き、全てを反射するような白銀の剣へと移り変わる。あれが、元々のレムナント。なんて綺麗なんだ。

「俺の過ちであり、罪はこの剣に乗り移っていた。だが、罪は清算しない。俺の罪は俺自身が全てを背負わなければいけない。

 だから、この戦いで全てを決する」

 俺とモードレッドは対峙する。互いが全力の状態。恐らくマステマの目を発動させただけのモードレッドよりも遥かに強いだろう。

 信念がある。心がある。戦いにおける強さとは力だけでは無い。心が必要なんだ。そのことをこの戦いを通じて教えて貰った。

「ありがとう。だからこそ、勝つ。俺の全ての力を使って」

「礼を言うな。俺は敵だ。俺にも負けられない信念がある」

 一足飛びで互いの距離を詰める。剣同士がぶつかり合う余波で地面は大きく凹む。そして、バチバチとスパークが起こり始めて、互いに吹き飛ばされる。

「何で笑ってるんだよ」

「グレンの方もな」

 互いが全力でぶつかり合う。そこに私怨も憎しみも無い。ただただ互いの信念と心をぶつけ合う戦いは楽しくて、面白い。

 剣同士がぶつかり合う余波がそこら中で鳴り響く。低く重い音。だが、周りで見ている国民に恐怖は無い。戦士の―――信念ある強者同士の戦いを見守る。

「うおおおぉぉぉーーー!!」

「はあああぁぁぁーーー!!」

 鍔迫り合いの状態から両者が吹き飛ぶ。息を切らしながら両者が立ち上がる。そして、剣を握り直す。

「お姉ちゃん。どっちが勝つのかな」

「正直、分からない。だが、主様の新たな力の剣が何も効果を発揮していない。それ次第では・・・」

 またも剣同士がぶつかり合う。何度かのぶつかり合いの後に2人は対峙して言葉を交わす。

「なぜその剣の真の力を使わない?」

「使わないというより使い方が分からない感じだな」

「そうか。それを負けた言い訳にするなよ」

「もちろん。あと少しで何かが掴めそうなんでな!」

 デミスの特性は未だに分からない。終焉の剣だから相応の力だと思うが・・・。

『アブソーブ!!』

「な、何だ!?」

『システム発動。レディエイションしますか?』

「わ、分からないが、それで」

 デミスがキィーンという音を立てて真っ赤になっていく。そして、剣から衝撃波が飛ばされる。その衝撃波はモードレッドを貫通して後ろの建物を何棟も破壊していく。

「がはっ! な、何だ・・・」

「どういうことなんだ?」

『この終焉の剣 デミスの1つの特性である吸収と放射の力です。他にもシステムはありますが、今はこれだけで十分でしょう。さぁ、頭を使って戦って下さい』

「命令されるがままは嫌だが、力は使わせてもらう!!」

 まだ残ってる力を後ろに放射することで推進力を得る。そして、その力のままモードレッドを斬りつける。まだだ、まだまだーーー!!

「うおおおぉぉぉーーー!!」

「ぐあああぁぁぁーーー!!」

 衝撃波と高速の剣撃による攻撃でモードレッドはついに倒れた。扱いが難しい剣だな。

『使いこなせないマスターが悪いのです』

 口も悪そうだ。

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