表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/62

悲しい戦い

 俺とアーサーの打ち合いで起こる衝撃波で部屋はボロボロになっていく。何度も爆発を剣に当てているのに傷一つ付かないなんて。さすが聖剣か。

「2人の円卓の騎士を倒すので力をかなり使ったと思ったが、まだまだ戦えるのか」

「当たり前だ! 俺は、負けない。この国の人が助けを求めている。スカーレットが助けた人が祈って待っている。なら、立ち止まれない!!」

「・・・真っ直ぐだな。そして、強くなった。想い、信念といった心こそが強さになる」

 今なら戦える。アーサーと同等に戦える。だから、勝つ! いろいろな人の思いが紡いだ戦いに勝つんだ。

「「いけーーー!!」」

「小僧負けるな!」

 いつの間にか扉の近くに国の人々がいた。機械兵の動きが鈍りつつあるから来たのか。応援の一つ一つが力になる!

「面白い。・・・真実を教えてやろう!」

「まさか! させるか!」

「なぜ、止める? そこにいるアーサーはアンドロイドだ! 傷口から血が出ていないのが何よりの証拠。お前たちは機械によって統率されていたのだ!」

 指揮していた人物であり、みんなが尊敬していたアーサー王だと思っていた人物が本当はアンドロイドであった。その事実を知ったらみんながどうするか。

 ・・・何も起こらない。いや、むしろ座り込んでいたアンドロイドに肩を貸してあげてる。

「ど、どういうことだ。なぜ、誰もが離反しようとしない! そいつはアンドロイドなんだぞ!」

「だからどうした」

「何・・・?」

「アンドロイド? 俺たちがいつアンドロイドだから今の王様はいけねぇって言ったか? 違う! 俺たちが愛した王様は国を愛し、民を愛し、何よりも機械弄りが好きな王様だ!!

 国を捨て、国民を犠牲にするような奴よりもこの人の方がよっぽど王様だ。アンドロイドとか関係ねぇ! 俺たちが信じる王様は、俺たちが決める!!」

 うおおおぉぉぉーーー!! という怒号が部屋に鳴り響く。その様子を見てアーサー王は狂いだす。

「どうして、なぜ、分からない、何で、どうすれば・・・」

「何が、起こってる?」

 アーサーは狂ったままエクスカリバーの剣撃を民に飛ばす。あの威力だと全員死ぬ! クソ。間に合わない。

「ぬおおおぉぉぉーーー!!」

「あ、あんた・・・」

「そのままだと死んじまう!」

「私は・・・私は、こんなにもみんなに愛されていた。ならば、守る。私はこの国の王だ! 何よりもこの国と民を愛している!!」

 その決意と共に魔力が一気に溢れ出す。そして、エクスカリバーから放たれた剣撃を打ち消す。体で受け止めていた影響で体が傷まみれになり、血が出ている。血が出ている・・・。

「私こそが王。アンドロイドはお前の方だ」

「分からない、どうして、何が・・・」

「狂ったか。目を覚ませアダムよ!」

 民を背に1歩ずつアダムと呼んだアンドロイドへと近づいていく。そして、思い切り殴り飛ばした。

「ア・・ダム・・・。私の名前だ。あぁ、王よ。どうされたのですか? そんなにも傷だらけになって」

「アダム・・・? 嘘だろ」

「何でアダムがこんなことを!」

「皆さん? どうされたのですか? それに、この城の有様は・・・」

 まるで今までのことを忘れてしまったかのようにアダムは驚いている。何が起こってるんだ?

「彼の名前はアダム。私の付き人をしているアンドロイドだ。・・・アダム、お前は暴走して国民を傷つけたんだ」

「私が・・・? ・・・なるほど。私は、心を持ちました。アーサー王と国民に愛され、とても幸せな日々を過ごしました。

 しかし、大戦によって王はいなくなった。王が残した言葉は”国を守って欲しい”でした。私は愛すべき人のために国を守ろうとした。

 けど、やり方が間違っていたんですね。愛すべき王のために愛すべき国民の方々を傷つけた。機械の導き出した答えに従う度に心が叫んでいました。痛い、苦しい、助けて。

 そして、暴走してしまった。私は・・・機械として犯してはいけない罪を犯してしまいました。アーサー王、私の心は一時的にあなたの呼びかけで戻れました。ですが、もう暴走した心は直りません。なので、あなたの手で私を止めて下さい。

 私は、愛すべき人と愛すべき人々をこれ以上・・・傷つけたくありません」

 彼は泣いていた。機械だけど心がある。そんな彼の悲願。愛すべき人の手によって全てを終わらせること。アーサー王もまた泣いていた。国民からもすすり泣く音が聞こえてくる。

 誰もが傷つく戦い。だが、戦いは終わらせなければいけない。

「アダム・・・。お前がして来たことは間違いだった。私の国民を傷つけたのだから。だが、お前もまた私の国民だ。お前も傷ついていたのだな。

 すまない。私はダメな王だ」

「ダメな王ではありません。誰もが愛する優しい王様です」

 アーサー王は落ちていたエクスカリバーを拾い上げて振りかぶる。剣を震わせ、見上げるアダムを見る。雄叫びと共に悲しき剣が振り下ろされた。

 快晴だった天気は曇り始めて、雨が降る。大粒の雨が降りしきる。どれだけ振っても止むことがない雨。

 悲しい戦いの終幕。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ