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騎士王アーサー

 全存在を消せる剣がある。聖剣エクスカリバー。鞘と剣を対に持つことで真価を発揮する。至高の宝の中でも特に宝とされる剣。


「なんて威圧感・・・。これが聖剣エクスカリバーか」

「私は悲しいよ。君と戦うのがこんな形だなんてね」

「そうかよ!」

 俺は魔力武装によって生えた翼の軌道を使い、縦横無尽に斬る。死角からの攻撃なども織り交ぜた攻撃。だが、その全てを片手に持ったエクスカリバーで防ぐ。

 嘘だろ。一切見ずに攻撃を防ぐのかよ。

「悪く無い攻撃だ。プラマハー兄さんが負けたのも分かる。だけど、兄さんの本気までは見てなかったようだ。今のままでは勝てない」

「あれから強くなったのにそれ以上に強いのか・・・」

 だけど負けてられない。まだだ! まだ攻撃出来る! 手足が動かなくなるまで戦うんだ。

「もういい。終わりにしよう」

「がはっ! 嘘・・・だろ。ジェネシスが消えた・・・」

 俺の手に握られていたジェネシスが消えた。確かにそこにあったのに何で消えたんだ・・・。

「私のエクスカリバーは存在を消すことが出来る。君のジェネシスは消させて貰った。さらばだ、グレン」

 その凶剣が俺を捉える。そして、構えから解き放たれる攻撃を俺を避けれないと悟った。ここで・・・終わるのか。

「おっと。主様には手を出せはしないぞ」

「お兄ちゃんお待たせ!」

「スカーレットにジャンヌ!? どうしてここにいるんだ!?」

「もちろん主様と一緒に戦うため!」

「お兄ちゃんと一緒に戦うため!」

 2人は揃って戦うために来てくれたと言ってくれた。心強い援軍だ。けど、武器を失った俺はどうすればいいんだ・・・。

「主様、ジェネシスは絆の武器。だから、妾と絆が消えていない限り、何度でもその手に宿る」

「・・・そう、だったな」

 再び俺の手にジェネシスが戻る。そして、振り下ろされるアーサー王の攻撃を受け止める。何て重い剣なんだ。これが騎士王の剣。

「竜王女、聖少女、異界の人間・・・。私一人ではさすがに荷が重いか。紹介しよう。円卓の騎士だ」

 王座の後ろの壁が壊されて騎士が現れる。いろいろな色の甲冑を着た騎士。だが、人間の気配が感じれない。こいつらも・・・。

「円卓の騎士。私に付いてきてくれた最強の騎士達」

「だけど、人間じゃないな」

「・・・過去のこと。今、戦うために必要のないことだ」

 円卓の騎士達が一斉に押し寄せる。まだ3人なのが救いか。

「主様、妾は一人を受け持つ。アーサーを狙え」

「お兄ちゃん。私も戦うよ」

「スカーレット、ジャンヌ!? いや、ジャンヌは戦わせる訳にはいかない!」

「主様、なぜ妾は戦わせてもいいのか後でたっぷりと聞くとしよう。ジャンヌはもうただの生娘ではない!」

「そう。私も戦える! みんなを救うために戦う。だから、力を貸して。ウロボロス!」

 黒き竜。漆黒の竜がジャンヌの前に現れて円卓の騎士の攻撃を受け止める。な、なんだこれ!? まさか、ジャンヌが竜を召喚したのか?

「さすが妾の妹だ。ウロボロスを召喚したか。おい! 妾の妹に傷を付けたら・・・分かっているな?」

「勿論。それに竜王女様の命でなくてもこの白き魔力を持つ少女を傷付けさせはしない。白と黒は交わること無き物。我にとっても必要となる存在」

「はっ! どんな理由でもいい。ジャンヌを守れよ」

「御意!」

 ウロボロスとスカーレットが一人ずつ相手をする。もう一人が残ってる。こいつの相手は―――

「俺がやろう。ランスロット卿・・・今、解放してやろう」

 モードレッドが残りの一人を相手にしたことでアーサー王への道が出来た。

「アーサー王。全てを終わらせる」

「終わらせる? 違う。ここから始まるのだ。人間という脆弱な生物から機械兵という新たな兵へと生まれ変わる」

「そんなこと誰も望んで無い。あんたの独善に巻き込む人々を犠牲になんてさせない」

「・・・全てがわかった時、同じ言葉が出たのなら褒めよう」

 ジェネシスを構えて走り出す。魔力武装。もっと魔力を高める。じゃないと追い付けない。追い越せない!

 駆け抜ける勢いで斬りつけるが、エクスカリバーで防がれる。

「速度だけ上げたところで私には勝てない」

「やってみないと分からないだろうが!」

 何度でもやってみせる。もっと、もっと速く相手を斬るんだ!

「何度やっても同じだ。私には君の”心”が届くことはない。軽いのだ。君の攻撃は軽すぎる」

「軽いだと・・・」

「覚悟、信念、思想・・・様々な思いが乗ることで攻撃はより重くなる。つまり、君は何もかもが足りずに中途半端だ。

 改めて問おう。何のために戦う?」

「モードレッドにも聞かれたが、知らねぇ! 目の前に救いを求めている人がいたら戦う。小難しいことなんて考えない!」

「いいや、違う。そんなことのために戦ってはいないはずだ。もっとシンプルな理由なはずだ。思い出せ。最初に戦うことを決めた時のことを」

「何・・・言って・・・」

「君は子供だ。ゆえに様々な戦いの中で、大人たちと戦う中で流されて、忘れてしまっている。君が戦う理由。全ての起源」

「俺が戦う理由・・・」

「・・・まだ分からないか? 最初に君が戦うと決めた時、そこに誰がいた?」

「スカーレット・・・」

「そうだ。君は竜王女のために戦うのでは無かったのか? それがどうした。世界を救う? 目の前の人を守る? おこがましいぞ。

 子供が―――いや、大人でもそんなこと出来る範囲なんて限られている。だから、だからこそ守る人のために戦うのだ。失わないために。

 竜王女という好きな異性のために戦う。そうではなかったのか?」

「そんなことの・・・ために戦えない」

 アーサーの攻撃が今まで以上に強烈な物になり、俺は吹き飛ばされる。怒りが混じった攻撃。今までには無いアーサーの感情による攻撃。

「そんなこと? 人が人を好きになり戦うのは簡単なことではない。舐めるな。大きな理由を付けて戦おうとするな。

 好きな人のために戦う。好きな人を想え。守りたいんだろ?」

「守りたい・・・」

「だったら立て。立って戦うんだ。世界だとか誰かを救いたいとかではない。好きな人を想った戦いをするんだ!」

 アーサーの言葉一つ一つで俺は立ち会がる。大層な理由を掲げようとしていた。世界が崩壊するから何とかしないといけないと思っていた。力があるから誰かを救わないといけないと思っていた。

 全て調子に乗っていた子供の思い上がりだということに気付かずにいた。それをアーサーは気付いて叩きのめした。

 好きな人・・・。スカーレットのために戦う。俺は―――戦う!

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