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それぞれの戦い~ジャンヌ~

「はぁ・・・はぁ・・・次の方、どうぞ」

「もういい! お嬢ちゃん休んでくれ! ずっと回復魔法を使ってるから疲労してるじゃないか!」

「休むわけにはいきません。お兄ちゃんとお姉ちゃんが戦っています。なのに私だけが何もせずにいるなんて出来ません。

 次の方どうぞ」

 ひっきり無しに来る怪我人の方々。戦いの激しさを物語っています。機械兵と人間の戦い。まさかこんなに激しい戦いになるなんて。

 お兄ちゃんとお姉ちゃんが最前線で戦ってるんだから私も負けてられない。とにかく怪我をした人たちを治していかないと。

「・・・つ、次、この方をお願いします」

「はい! ・・・え? そんな・・・」

 次に運ばれて来た人を見て私は思わず固まってしまいました。運ばれて来た方は片腕を失い、全身にひどい怪我をしている方。

 誰がどう見ても助かる見込みがないその方を見て、誰もが黙り込んでしまいました。

「ぐ・・・頼む・・・死なせてくれ・・・苦しい・・・痛い・・・」

「・・・ッ!」

 死なせてくれと頼むこの方をそのまま死なせなければいけない。けど、そんなことをしたくはありません。

「死なせません! お願い! お願いだから生きて!」

 何度も何度もかけ続ける治癒魔法。だけど、だけど・・・。

「お嬢ちゃん。もういい。彼はもう死んだ」

「そんな・・・。私はまた救えなかった!」

「いや、救われたさ。この国を愛してこの国のために戦った。こいつは自分の成したいことを成したんだ。そして、死ぬときに苦しさを紛らわしてくれた」

「そんなの救いではありません! 戦って死ぬ? 違います! 戦って、生きて、帰って来る! そうじゃないとダメなのです!」

「そんなの分かってる! ・・・すまねぇ。だけど、これは戦争だ。戦えば死ぬ人間も出てくる。理想で全てを語れないのが戦争だ」

 そう言うと男の人は去っていきました。去り際にその目から涙を流していたのを私は見てしまい、それ以上は何も言えませんでした。

「悪いな。あいつも苦しくて痛いんだ。体じゃなく、心がな。死んだそいつはあいつの親友でなー。一緒に国を取り返すんだって・・・クソッ! クソ!」

 みんなが傷つき、みんなが苦しむ戦争。どうして、戦わなければいけないのでしょうか。

「少し・・・休みます」

「あ、ああ。お嬢ちゃんも疲れただろうから休むといい」

「ありがとうございます」

 私はその場を頼み、階段を駆け上がります。戦争が・・・戦いが無くならないのなら、私も戦います。お兄ちゃんやお姉ちゃんに任せるだけでなく、私自身が関わったこの戦争を終わらせるために。

「・・・ひどい。機械兵との戦いでここまで凄惨なことになるなんて」

 硝煙の臭い、油の臭い、血の臭い。辺りからはうめき声が聞こえてくる。こんな・・・ことって。

「あれは! 助けないと!」

 私の目の前に機械兵に今、襲われようとしている人がいる。助けないと。力も無い私に何が出来るかは分からない。けど、みんなよりも力があるのなら助けたい。

「ちっ・・・。ここまでか」

「敵補足」

「ぐっ・・・。が・・・うぅ・・・うあ・・・」

「敵の呼吸圧迫による生命の危険を感知。このまま続行」

「させません!」

 私は魔法を放って、機械兵の手から襲われていた人を助けます。良かった。何とか生きてる。

「きゃっ!」

「新たな敵発見。魔力レベルが高水準と判断。周りに救援を要請」

「そ、そんな・・・。こんなにも機械兵が」

 周りには20体以上の機械兵が集まってきてる。この人を置いていく訳にはいかない。誰か助けて・・・!

「はぁ・・・はぁ・・・逃げろ。俺を置いて行けば君なら逃げれる。君のような子供が死ぬ必要はない。これからの世代を担うべき子供が死ぬ必要は無いんだ。

 行け!!」

「・・・行きません」

「何!?」

「私は、目の前でこれから殺されると言っている人を放っておける人間にはなりたくありません。目の前で助けを求めている人がいる。なら、助けます!

 ・・・私の魔力が特別なら戦う力を貸して! こんな戦争を終わらせるための力を!」

―――汝の呼びかけに応じよう

「誰!?」

―――我、竜王女と姉妹の契りを交わし者の力となり、白の魔力を持つ者よ。我の名を呼べ

「あ、頭に何かが流れてくる・・・。黒き竜 ウロボロス?」

―――汝、ジャンヌダルクの呼びかけに応え、我、盟約の竜となろう

 突然、手の甲が光り出して痛みを放つ。何これ。変な紋章みたいなのが浮き出てくる。見たこともない紋章。

 そして、その紋章が完全に浮かび上がると、より強い光を放った。

「・・・え? 竜?」

「我が主よ。契約を交わしし主の呼びかけに応じて現れた」

「主? え!? 私があなたの主なの?」

「そうだ。竜王女―――人間での呼び名はアーデルハイト=スカーレットだったな。アーデルハイト様との姉妹の契りを交わした汝の呼びかけに応じたのだ。

 アーデルハイト様の妹君なら我にとっては主も同然」

 目の前に現れたのは漆黒の竜。大きくてとても怖そうな竜が目の前にいる。

「お姉ちゃんの知り合いだったんだ。けど、主ってのはやめて欲しいかなー。何だか聞き過ぎて自分がそうなんだって実感が湧かないから。

 普通にジャンヌって呼んで欲しい・・・かな。ダメ?」

「主の・・・いや、ジャンヌがそう望むならそうしよう。して、どういった状況なのだ?」

「機械兵に囲まれてる。力を貸して」

「ほぉ。人形共か。一瞬で片づけよう」

 尻尾を一薙ぎして、周りの機械兵を一瞬で片付けてしまう。お兄ちゃんよりも強そう。

「さて、ジャンヌよ。これからどうするのだ?」

「・・・この戦いを早く終わらせる。お姉ちゃんとお兄ちゃんのところにまで行く。手伝ってくれる?」

「当然だ。我はジャンヌに付き従う存在」

 私は黒き竜と一緒に街を走る。こんな凄惨な戦いは終わらせる。お兄ちゃん、お姉ちゃん待ってて。私も戦うから!

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