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潜在能力

「魔力とは体に眠るもう一つの力。それを制してこそ本当に強くなれる。だが、少年はその魔力がまだ芽吹いていない。

 いや、正確には向こうの世界では無かった力にまだ目覚めていないといったところか。だからこそ、無理やりこじ開ける。その体に眠った魔力を呼び覚ます」

「はぁ・・・はぁ・・・だからってこんな・・・ことばっかりしてたら・・・死ぬ」

「これぐらいで根を上げるな。強くなりたいんだろう?」

 あれからひたすらにモードレッドと戦い続けた。プラマハーに見せたようにひたすらに速度を上げて上から下から横からの攻撃を繰り出すも、全てを動かずにその場で防がれる。

「強い・・・」

「少年、心のままに体を動かせ。考えるな」

「はあああぁぁぁーーー!!」

 再び攻撃を繰り出す。考えるなって言ってもこうも攻撃が防がれたのならどうやって攻撃するのか考えないとダメだろ。

 横がガラ空きだ! 食らえ!

「甘い」

「がはっ!」

「少年は何のために戦う? 覚悟が無いのに世界に関わろうとするな! 半端な覚悟は世界も己も滅ぼす。さぁ、立て。

 心の意志を持ち、戦うのだ。プラマハーの時は何を想って戦った?」

「生きたい・・・ただ、それだけのために戦った」

「なるほど。ならば、もう一歩進め。少年は、何を成したい」

「成したい?」

「そうだ。強くなり、力を持ち、どうしたい。無関係なこの世界で何のために戦う」

「そんなこと・・・分かるかーーー!! ただ、無関係な世界なんてことを言わせない。俺は、この世界に来て、いろいろなことがあった。そして、この世界が崩壊することも知った。

 強くなって、力を持って、どうしたいか? そんなこと知るか。アーサー王―――アンドロイドにも言われたな。何のために戦うのかって。

 戦うことに意味を持たせるのがそんなに大事か? 大切なことなのか? 目の前で助けを求めている人がいるなら助ける。世界が滅びるっていうのなら何とかするために戦う。俺はそんな人間だ。理由や理屈が必要? 俺は、そんな小難しいことなんて考えながら戦えねぇ!!」

「ふっ・・・ハハハハハハ!! 主様、さすがだ」

「なるほど。そういった考えもあるか。ならばこそ、心で戦え。頭で考えるよりも先に動け。全てを超えろ。時間も何もかも!」

 俺は、心に問う。何を求めるのか。心は応える。全てを救いたい。俺は、答える。いいだろう、全てを救うために戦う!

「どうした? そんなものなのか。お前の戦うという意志は」

「まだ・・・まだだ・・・」

「・・・もういい」

 今までとは違った本気の一撃。その一撃を受ければ確実に死ぬ。その攻撃を見ながらいろいろなことを考えた。

 ・・・いつまで経っても攻撃が来ない? 目の前の攻撃がゆっくりになっている。この速度なら避けられる。

「あの一撃を避けた?」

 モードレッドの攻撃の全てがスローモーションで見える。遅い。全ての時間の流れがそう感じるほどに周りの世界がゆっくりに感じる。

「主様の力が覚醒した・・・」

「・・・すぅー・・・はぁー・・・。こっちも反撃する」

「バカな。今までの攻撃とは全てが違う!」

 俺は、攻撃を全て避けて攻撃を続ける。何もかもがゆっくりになった攻撃を躱すのは容易で、そこに攻撃を与えるのも簡単だ。

 体が軽い。全身に力がみなぎって来るみたいだ・・・。

「魔力が溢れている。Sランク? いや、SSSランクか? この魔力は―――!」

「ランクオーバー。EXランク。主様の潜在能力がこれほどとは・・・」

「まだだ! まだ、俺は高みへ行く! はあああぁぁぁーーー!!」

 俺はありったけの力の込める。魔力をもっと高まらせて更なる高みへと昇るために。

「更に上昇している!?」

「主様、そのままもっと強く、強くなれ!!」

「ああ! 更なる高みへ!!」

 高まった魔力をそのまま体に留める。ただ力が放出していただけの状態とは違い、力を留めることで、より濃密な物へとなる。

「なるほど。圧倒的なまでの魔力をその体に留めたか。魔力量だけでなく魔力のコントロールまでも行えるとはな。

 だが、まだまだだな。本当の力を見せてやろう」

「ぐっ・・・! まさか、こんなことが・・・」

 モードレッドは隠していた魔力を全開放した。その魔力を体に留める。俺のとは密度も何もかも違う・・・。これが、七つの大罪なのか。

「魔力総量では俺は少年に敵わない。だが、魔力操作はまだまだ未熟。来い。本当の力の使い方を教えてやる」

「ああ!」

 俺は全力でモードレッドにぶつかりに行く。魔力による力の上昇は劇的で、今までよりもより速く、より強くなった。

 だけど、モードレッドには敵わない。

 全ての攻撃を受け止められ、逆に反撃される。

 上からの振り下ろし、空いた胴への横薙ぎ、隙を突いた攻撃の全てを軽く避けていく。こんなにもまだ力量差があるのか。

「より密度を高め、より洗練された魔力は己が武器となり、防具にもなる。魔力を高めた少年なら見えるはずだ。

 魔力を凝らして見るがいい」

 モードレッドの体を覆う魔力を目を凝らしてよく見る。目に魔力を集中させた状態で見るモードレッドの体には鎧が覆われていた。

 白銀の鎧。その鎧は”いかなる銀よりも眩い”鎧だ。なんて神々しくて綺麗な鎧なんだ。剣とは対照的な鎧か。

「さぁ、少年も更なる高みへと昇るがいい」

「・・・スカーレット」

「なんだ? 主様」

「俺は・・・もっと強くなれるのか?」

「うむ! 何せ妾が愛している主様だから! 世界全てのどんな存在よりも強くなれる!!」

「ああ、そうだよな! いくぜぇぇぇーーー!!」

 スカーレットの声援は不思議と力が湧く。愛すべき女性に見守られながら俺は、更なる高みへと昇り詰める。

 どこまでも、どこまでも強く、強くなるために。

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